コラム

ヒートアップする「中野飲食戦争」

キリンビール本社グループの移転、3大学の移転、商業施設開発などで沸く「中野エリア」。飲食激戦区"の北口、JR駅舎移動に伴う開発で将来性がある南口レンガ坂。それぞれに個性のある飲食店が続々とオープンしている。都内では、新橋に並ぶ最先端飲食エリアといえるだろう。そんな中野エリアの"飲食戦争"を追ってみた。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


2014年年明け早々、中野北口飲食街のメインストリート、ふれあいロードにやきとん業態「やきとん あさちゃん 中野店」がオープン。フォーシーズの新業態で、1本80円からのやきとんを売りにした大衆居酒屋業態。同社はすでに大衆酒場「串かつでんがな」を近くにオープンさせている。「やきとん あさちゃん」は11時半から23時半まで(土日祝省く)の営業で、豚丼630円、純レバ定食680円など600円台の4つのメニューのランチを売りに、昼からの集客を狙っている。というのもキリンビールと大学の移転で、昼間人口2万人が一気に増え、ランチ難民という問題が生じているからだ。関東エリアで8店舗を展開しているプロジェクットMの「酔っ手羽 中野店」も、年中無休の24時間営業でランチ需要にも対応している。大手では、サッポロライオンの「銀座ライオン 中野北口店」も参入。11時半から23時までの年中無休営業だ。

いま、ハイスピードで広がりを見せるカキ業態も中野にオープンした。多様な業態を展開しているジャックポットの「かき小屋 中野店」は、元老舗うなぎ店だった一軒家を改装オープン。一人600円で好きなだけドリンクを持ち込めるシステムも採用し、地元客取り込みを狙う。はみ出しカルビで人気沸騰のFTG「大阪焼肉 ホルモン ふたご中野店」も1月にオープンした。そんなチェーン系飲食企業が出店チャンスを求め競争する中野北口とは異なり、大手が攻めて来ない中野南口には、個性の強い小さな店が増え始めた。わずか100m前後の中野レンガ坂とその1本路地裏の“裏レンガ坂”はいまオープンラッシュ。中野北口エリアで日本酒専門店として人気を集めている「十七番地 中野南口レンガ坂店」も南口に進出した。

裏レンガ坂には、もつ焼き業態で有名な「久遠」の新業態、「焼き貝 久遠」も昭和時代の小料理屋跡にひっそりとオープン。「ビーボ・デイリースタンド」「アガリコタラート」「青二才」の繁盛店三羽烏で賑わうレンガ坂もアーチ型のゲートができ、ちょっとオシャレな通りに変身。そのど真ん中に、世界のビールと和がベースの野菜料理が味わえる「カフェキッチンroot」がオープン。世界を旅し輪を繋げる「たびはちプロジェクト」が提案する集いの場で、スタッフ全員が世界の旅人というユニークさ。「ビーボ・デイリースタンド」とともにグローバルチックな風を吹かせている。1月にオープンした「ビストロトランク」は食材会社ミツワの経営。50種類のワインと産直食材が売りのビストロ。池袋、赤羽で展開するグローバルダイニング出身の石井康之さんの繁盛イタリアン「五感」もレンガ坂に物件を取得した。「アガリコ」の大林芳彰さんとの“グローバルダイニング卒業生対決”もこれから見ものである。

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