コラム

「上半期ランキング」からトレンドを読む!

2013年上半期 (2013年1月1日~6月30日掲載分、2013年8月20日集計) 、フードスタジアムに掲載されたヘッドライン記事のPVアクセスランキング上位10位が決定した。そのランキングから飲食トレンドの今とこれからを読んでみたい。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


上位10の記事は以下の通り。1、シーフードダイナー「フィンガーズ」 (神楽坂、4月25日オープン、アブソリュート、代表取締役・近藤豊氏)2、炭火焼の塊肉とワイン「ブッチャーブラザーズ」 (神田、2月18日オープン、エッジオブクリフ&コムレイド、代表取締役・針生真氏)3、NYスタイルビストロ「ブランチキッチン)/マーサーカフェ)」 (鎌倉、4月26日オープン、MERCER OFFICE、代表取締役・羅直也氏)4、日本ワインビストロ「ビストロ アンコニュ」 (恵比寿、3月22日オープン、イーデザイン、代表取締役・佐藤充氏)5、日本ワインと日本酒×おばんさい料理「蔵葡 Kurabuu」 (築地、4月12日オープン、いまでやワインズ、代表取締役・小倉秀一氏)6、チーズとオリジナル料理、酪農農家ビストロ「スブリデオレストラーレ」 (恵比寿、2012年11月15日オープン、オーナーシェフ・吉田健志氏)7、日本酒バル「中野 青二才」 (中野、1月28日オープン、オーナー・小椋道太氏)8、創作居酒屋「月来ル。 (つきくる) 」 (赤坂、2012年12月10日オープン、as kitchen、代表取締役・大野早苗氏)9、日本酒バル「川口酒店」 (日本橋、2012年12月3日オープン、バレンタインブルーコーポレーション、代表取締役・玉井康裕氏)10、スタンディングバー「Bar 333 (バー トリプルスリー) 」 (銀座、5月9日オープン、KING COBRA、代表取締役・大島健司氏)トップを飾ったのは、手づかみシーフードの「フィンガーズ)」。オーナーの近藤氏は、葛西や八丁堀でバルを展開、自らハワイで体験してきた“手づかみシーフード”に衝撃を受け、日本初業態にチャレンジした。メディア露出効果は大きく、オープン5か月になるが好調が続いている。バル業態が増えるなかでの新たな挑戦に注目したい。2位の「ブッチャーブラザーズ」はトレンドとして定着した根強い人気の“肉バル業態”。「東京ブッチャーズ」に続くエッジオブクリフ&コムレイド・針生真氏の神田2号店である。針生氏の店づくりの考え方は「流行りを追わず、街に定着して長く続けること」。客目線にこだわった空間づくりにも同氏のセンスがにじみ出ている。神田でドミナント展開するというのも面白い。トレンドの業態でありながらトレンドに流されない強い吸引力をもった店づくりの天才である。3位に入ったのは、「マーサーカフェ」グループ8店舗目の鎌倉店。2007年恵比寿に「マーサーカフェ」1号店をオープンさせて以来、恵比寿、表参道、白金台に展開。カジュアルリッチな空間とライフスタイルをコンセプトに、東京の飲食シーンでは少なかったカフェとフォーマル過ぎないレストランの中間業態を確立し、最新のフードライフスタイルを提案している。昨年、12月には日本初業態“NYスタイルのブランチを日常に楽しめるカジュアルレストラン”をコンセプトとした「マーサーブランチ」を六本木に出店した。同社の店づくりの指揮をとる副社長兼クリエイティブディレクターの森野成貴氏は「鎌倉駅周辺から小町通りエリアは小型の飲食店が多く、お昼時は混雑している店が多い。観光地にふさわしい、ゆったりとした時間を過ごせる飲食店が今まで不足していた」と鎌倉店出店の理由を話す。既存店でブレークした「シフォンケーキ」や「フレンチトースト」、卵料理などのキラーアイテムが絶好調。“ブランチマーケット”という隙間を切り開いた点でこれからも注目したい企業だ。4位の「ビストロ アンコニュ」と6位の「スブリデオレストラーレ」はビストロ業態。ワインバルが増殖し過ぎて都内では飽和感が出てきているが、それに代わってビストロ系が台頭してきたのがこの上半期のトレンドでもある。一方、「ビストロ アンコニュ」と5位の「蔵葡 Kurabuu」は、“日本ワイン”をメインに打ち出した業態。ワイン業態人気のなかで、徐々に日本ワインのポジションが高まってきた。まだ価格と味の点で専門業態化が難しいが、クオリティは確実に上がってきており、マーケットの期待感と相まって、今後注目のジャンルである。7位の「中野 青二才」、9位の「川口酒店」はともに“日本酒バル業態”という新しいジャンル。8位の「月来ル。」は業界で人気の楽コーポレーション卒業生、岩澤博氏(ガンさんとして親しまれている)の門下生の女性オーナー独立店だが、ここも日本酒を売りにしている。ワイン業態ほどアクセス数は多くないが、日本酒を専門に出す業態への注目度が高まったことも、この上半期のトレンドの特徴である。この傾向は、今後もますます強まるのではないか。上半期を総括して、業態キーワードを三つ上げれば、「ネオ・ビストロ業態」「日本ワイン業態」「日本酒業態」であろうか。  

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