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コラム

スクラップ&ビルドから攻勢に

かつて元気の良かった飲食店経営者たちから、最近同じような話を聞く機会が多い。「ここ2年ぐらいは臥薪嘗胆でした。4、5年前から商業施設を含めた出店攻勢をかけたものの、その反動で不採算店が増え苦しみました。ようやくスクラップ&ビルドが終わり、赤字の店がなくなったところです。これから攻勢に出ますよ」。レストランバブルの危機を早期に察知した会社がいま、甦りつつある......。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


2002年の六本木ヒルズ、丸ビルから始まったレストラン供給過剰は、街場の店を巻き込んで「レストランバブル」「デザイナーバブル」を生み出し た。その波に乗って出店攻勢をかけたレストラングループは総じてその投資負担が経営を圧迫、ソーホーズ破綻にみられるような事態を招くことになった。そこ にITマネー、不動産ファンドマネーが登場、救世主として、経営危機に陥ったいくつかのレストラングループを救済した。しかし救われた企業は、IPOとい う十字架を背負うことになるのだが…。 そうしたブームにあおられて、店舗を拡大してしまったグループの中には、いち早く危機を察知し、スクラップ&ビルドという名のリストラ策に取り組む ところも少なくなかった。立地の失敗による店舗閉鎖、転売、、業態転換etc…。そうした企業が、いまトンネルを脱出し、「攻め」に転じ始めたようだ。か つて、危機を乗り切る方法の選択肢として、「オペレーションか業態か」という議論があった。インタビューしたWDIの清水社長やワンダーテーブルの林社長 は迷わず、「いまはオペレーション。業態は追わない」と断言した。2004年後半のことだ。 さて、スクラップが終わり、ビルドの構築に入ったグループが次に目指すのは何だろうか?この数年の混乱期にも勝ち組はあった。マルチブランド戦略を 掲げた会社、オーガニックバイキング、テーマレストラン、ブランド食材を極めた専門店…。2006年の後半は「攻め」の主役たちが変わるかもしれない。最 後の利権の要塞になる六本木ミッドタウンも新丸ビルもまた、レストランバブルを演出した反省なき強者が独占しないことを祈るばかりだ。

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