第三次「立ち飲みブーム」到来！

池袋東口の豊島区役所裏にオープンした「Shin-Washoku 到」。創作性に富んだ和食とワインのスタンディングの店。本店は西口にある予約の難しい「新和食 到」。本店は連日、女性客で賑わっているが、この立ち飲み業態はズバリ、女性ターゲット。日本酒を「ライスワイン」と定義づけて提供、ワインと同様にワイングラス、カラフェで出す。スペインの名店だった「エルブジ」で出されていたボトルビールを1,990円で提供するなど、女性客の心をつかむ演出は素晴らしい。いま、こうしたハイカジ型立ち飲みの店が急増している。今回の「第三次立ち飲み」ブームの発端は、新橋の飲食街に登場し、瞬く間に5店舗を展開した「俺のイタリアン」、そしてそれに続く「俺のフレンチ」シリーズ（現在、3店舗）。ＣＰの高いフォアグラのソテーも健在なフレンチ版。ミシュランの星付きレストラン出身のシェフのハイクオリティな料理をリーズナブルに提供するスタイルも変わらない。立ち飲みにすることで、ハイクオリティなワインや料理をリーズナブルに提供することを可能にし、狭小店舗でも出店可能になる。そして、今の立ち飲みスタイルは「かっこいい」、「おしゃれ」と映る。演出性が高いことやワインバルの進化系が多いのもハイカジ型の特徴だ。渋谷にオープンしたヒカリエの商業施設のターゲットは20代から40代の女子ワールド。そのヒカリエの1階に、立ち飲み業態「ポチ428」がオープンした。総ガラス張りの店舗のカジュアルシックなおしゃれな環境で目を引く。人気のデリ総菜にボリューム感もあるビストロ風総菜まで揃えた豊富なフードメニュー。ドリンクはワインが中心だが、スパークリング日本酒なども揃えた女子目線の立ち飲みである。形態的には立ち飲みスタンダードと、着席スペースを設けた立ち飲み＋αの形態がある。馬喰町「東京ぶどう酒店」。日本を代表するトップソムリエ、阿部誠氏の店で1階は立ち飲み、地下は着席の形態。厳選ワインは2000円から9000円まで1000円刻み。阿部氏のセンスと実力が気軽に楽しめる。フードメニューはホテル西洋銀座の総料理長がアドバイザーとなり現場は一流ホテルで修行したシェフが守る。阿部氏自身が「一流のカジュアル」を謳うように、日本飲食界のトップテイストと技が手軽に味わえるまさにハイカジ型の立ち飲み。神田「ブラスッリーザン」。自家製ロティサリーチキンとフランスで修行したシェフの本場バスク料理に、カジュアルワインが楽しめる。食材はいっさい冷凍しないクオリティ重視のハイカジ店である。1階は立ち飲みで2階は着席の典型的な「立ち飲み＋α」形態だ。東京スカイツリーのふもと、押上にオープンした「角打ちワイン利三郎」。予約の取れないワインバル「遠藤利三郎商店」、高級ワインレストラン「向島葡萄家」を経営する遠藤誠氏のハイカジ立ち飲み業態。遠藤氏は、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の講師でもあるワインに精通したプロである。そんな彼の3店舗目は昔の角打ちをイメージした日常使いの立ち飲み業態であり、厳選したハイクオリティワインがリーズナブルに楽しめる。グラスワイン、料理がすべて500円、しかも店舗デザインは日本を代表する橋本夕起夫氏と超一流だ。池袋のワインバル「BUDOSYU」。コの字カウンターの立ち飲みスタンダード。高めのカウンターがヨーロッパ風でおしゃれカッコいい。280～780円で、お手軽タイプから銘譲タイプまで揃えるグラスワインは、タイプに合わせたグラスで提供する本格ワインバースタイル。ワインばかりでなく、日本酒専門のハイカジ型の立ち飲み。新橋駅前ビルの「庫裏」。名高い日本酒バー「銀座庫裏」の新業態。3坪にも満たない狭小スペース。プロのこだわりで厳選した日本酒が気軽に楽しめる。圧巻は壁一面、日本酒のラベルの額が飾られているおしゃれな空間は、日本酒に馴染みのない人も足を止める。中には幻となったラベルもあり、日本酒通にはたまらない魅力の店だ。「第三次立ち飲みブーム」はクオリティにこだわることで付加価値の高い業態となっている。「機能」だけでなく「スタイル」を提案しているといえよう。