コラム

最新トレンド「7つのキーワード」

2012年もちょうど半分の折り返し地点です。上半期を振り返りつつ、今年後半の飲食トレンドを読むための7つのキーワードをまとめてみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


このコラムでも個別には紹介してきたが、マーケット及び業態トレンドとして、以下の7つのキーワードを挙げたい。繁盛店事例を分析すると、これらの7つのカテゴリーに当てはまる。複数の要素を兼ね備えた業態はより強いと言っていいだろう。1、「ネオ大衆」(ネオ大衆酒場)2、「ハイカジ」(ハイクオリティ・カジュアル)3、「ネオトラ」(ネオ・トラディショナル)4、「ローブラ」(ローカル・ブランディング)5、「リーイン」(リージョナル・イン)6、「ジャパン」(ジャパン・クオリティ)7、「キラコン」(キラーコンテンツ)一つずつ説明しよう。1の「ネオ大衆」は、大衆酒場のエッセンスを取り入れた“ポスト低価格居酒屋業態”。若手経営者たちが新しい感覚で「大衆酒場」をつくり始めた。ポイント“低価格・高感性”。「老舗の再生」にも挑戦。常連客を意識した「新定番メニュー」「新定番ドリンク」を打ち出して差別化。客単価は3,000円以下。2の「ハイカジ」は、空洞化している客単価4,000~7,000円のミドルマーケットを変える“高品質高CP業態”。「一流なのにカジュアル」。そのギャップがサプライズを生む。「原価率」「客単価」指標ではなく、「客数」「客層」重視の店舗経営。3の「ネオトラ」は、かつて流行った業態や伝統的な業態を見直す動き。日本古来の食文化や伝統料理への再評価をはじめ、アイリッシュパブやオーセンティックバーの再人気などもこのカテゴリーに入る。「伝統的な料理」「調理法」「調味料」などを見直したり、「醗酵」「熟成」の技術や食材を使った料理を提供する動きも然り。4の「ローブラ」は、地方自治体や食材そのものをブランディングする動き。地方食材を打ち出した店や業態、いわゆる「地産都消」は飽和状態。これからは、地方の自治体名をまるごと冠にして差別化したり、生産者や行政と組んで、地方食材をブランド化する動きが主流になる。5の地域密着「リーイン」は、地域の生活者をターゲットに“地元飲み”を狙った戦略。「地元でおしゃれに飲食を!」という潜在顧客を掘り起こして、成功している若手経営者の店が増えている。需要と供給がアンバランスな街、中心街を敢えて外す“ブルーオーシャン”出店戦略。新たなコミュニティの場を提供する“地バル”の可能性ももっと広がってくるだろう。6の「キラコン」は、圧倒的な“差別化メニュー”。口コミ効果とリピーターを生む最大の販促効果を生む。原価度返し、常識破壊の“トリガー”メニューの開発、盛り付けの逆転発想。小さな皿にガッツリ盛るサプライズ演出。「こぼれスパークリング」や「一升瓶こぼれワイン」なども、キラコンになる。また、生産者とのコラボ、流通革命による“オリジナルブランド化”のメニュー開発も有望。7の「ジャパン」は、3の「ネオトラ」、4の「ローブラ」とも共通するが、日本の“地のもの”“古来のもの”の再発見。日本酒の復活、国産クラフトビールや日本ワインなどの「ネオ和酒」が脚光を浴びている動きはその典型だ。経産省の「クールジャパン」を海外に発信、輸出していくという国策にも合致している。海外進出も、「ジャパン・クオリティ」を向こうに移植するというミッションが必要だろう。  

コラム一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集