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コラム

新外食「第四世代」の時代がきた!

既存大手チェーンとは、企業カルチャーも展開の発想も異なる「新外食」グループの主役が「第四世代」に移ってきた。新しい「顧客価値」と「社会価値」を提案する「第四世代」の動向に注目したい。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


「新外食」という用語は、私が初めて業界に向けて発信したキーワードだ。米国型のチェーンストア理論に基づく既存チェーンを「旧外食」、1990年代から登場した旧外食チェーンとは異なる感性とカルチャーを有するグローバルダイニングや際コーポレーション、ワンダーテーブルなどの多店舗化企業群を「新外食」と捉え、それまでの外食業界が「旧外食」のチェーンばかりに光を当てていなかったことを批判し、「新外食」こそマーケットでは顧客に評価されており、それをもっと取り上げるべきだと主張した。その考え方を軸に2000年に私が創刊した雑誌が「アリガット」だった。創刊当時、ゼットンやジェリーフィッシュが東京進出を果たし、「新外食第二世代」が登場してきた。グローバルダイニングが株式上場し、それを機に独立をした経営者たちも第二世代グループといえる。そして、2005年頃からダイヤモンドダイニング、エムグラントフードサービス、APカンパニーなどの「第三世代」が台頭してきた。私は、それらの経営者をフィーチャーし、「共に育つ場をつくりたい」と勉強会「サードG」を立ち上げた。2007年のことだった。それから5年、彼らは飛び抜けて成長を果たし、第二世代を凌ぐ勢いで業界に新しい風を巻き起こした。そしていま、時代が外食ビジネスに求める価値観が大きく変わった、とくに3.11以後、マネーゲーム的な店舗展開の発想は評価されなくなった。ゼットンの稲本氏が言うように、時代は「リセット」されたのだ。飲食店に求めれている新たな時代のニーズは「顧客価値」と「社会価値」の提案。「ただ店を増やせばいい」「店舗数が多い企業が立派」という尺度は通用しなくなった。「顧客価値」とは顧客が支払う対価よりも高い満足度を提供できること。「お値段以上の価値」である。「社会価値」とは地域への貢献や生産者支援などの「その店、企業が社会にどんな価値をもたらしているか」である。この二つの価値で飲食店の評価が決まる。評価が高ければ「共感」を呼び、「価値のシェア」によって顧客が増えることになる。チェーン化の「仕組み」と箱に業態パッケージを落とし込んでいくような安易な展開を続ける企業はもう生き残れない時代なのだ。「仕組み」はもちろん必要だが、店主の顔が見え、店に魂が宿るような真の「業態力」がないと勝ち残れない。店舗数を増やすという発想ではなく、品質を上げ、人間をつくり、顧客が望む展開でなければならない。あるいは地域になくてはならない存在になる。「店舗の数よりも地域一番店」をつくるという発想が重要だ。いま伸びてきているバイタリティやノートなどの「ネオ大衆酒場」、グローバルダイニング卒業生第二世代のワイン業態、地域密着型の「地バル」を展開する企業など、新たにマーケットを牽引しつつある「第四世代」の登場に注目したい。彼らは大手企業にいたり、失敗を重ねた「飲食経験値」の高い経営者。「顧客価値」づくりでは定評がある。あとは「社会価値」にコミットするミッションとビジョンさえ備われば、これから大きく伸びていくに違いない。 

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