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コラム

「取材拒否」の店について その壱

話題のニューオープン店は体力の続く限り覗くようにしているが、「これは面白い!いい店だから話が聞きたい」と思って取材を申し込んでも、「ウチはオーナーの方針で取材はお断りしています」と取材拒否"する店が最近増えてきた。 "

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


そんな時、私はジャーナリスト気質が頭をもたげてきて、「取材は拒否されたときから始まる…」と新聞記者時代の上司の言葉を思い出して、余計その店 への関心が高まってしまう。そして、ノンフィクション取材の原点である“調査報道”の手法を駆使して、その店の背景、オーナーの人間関係を周辺取材、会社 の登記簿などを洗い、客観的事実をつかんだうえで、再度取材を申し込む。それでも「いえ、ウチはメディアに出たくないだけです」とあくまで拒否の姿勢を貫 く店もある。 しかし、そうした店に言いたい。確かに取材を拒否する自由はあるが、いったん店を開いた以上、あなたがたは“公”の存在なのだ、と。ましてや、ブロ グ、口コミサイトなどのサイバージャーナリズムの発達で誰に何を書かれても仕方のない時代が来た。勝手に書かれることのリスクと取材に応えるリスクのどち らが高いか、オーナーはそこのところをしっかりと認識すべきだ。下手をすると、この「つぶやき」や「友里征耶ブログ」で超辛口批評の洗礼を浴びないとも限らない。 これまで取材拒否に遭った店をいくつか紹介しよう。例えば西麻布の「サイタブリア」。石田聡、石田弘子夫妻がつくり上げたホスピタリティの高いレス トランだが、ここはオープン以来メディアの取材を拒否し続けている。私も何度石田さんにインタビューを申し込んだことか。レストランに隣接したバー(毎日 変わる暗証番号を知っている客だけが入れる)をオープンしたときも客として訪ね、「書かしてくださいよ~」と何度も頼んだ。でも、かたくなに拒否する。し かし、ウエディングや求人情報サイトには石田さんが顔出しで堂々とインタビューに応えている。私は「なんじゃそれ…」としらけてしまった。あまりにも自分 勝手じゃないですか!(こんなことを書いたら恐らく出禁に違いない)。 そのほかにも、東麻布「タワシタ」、西麻布「霞町三一ノ一(かすみちょうさんまるいちのいち)」、六本木「博多串焼き ジョウモン」、中目黒「木山Dining」など、いい店なのに書かせてもらえないところのリストが増えている。拒否の理由は様々である。「常連客だけの店 だからメディアに出る必要はない」「まだまだオペレーションが出来ていないから…」「オーナーが表に出ない人なんです」「東京○○○○○さんから、ウチが 出すから他の媒体には一切出ないようにと止められている」等々。私は「アー、そうですかぁ。ブツブツ…」とつぶやくしかない。取材する側、される側の格 闘、このバトルは今夜も続く。

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