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コラム

2011年前半期の飲食トレンドを総括する

2011年の前半期が終わる。1~2月は低価格競争の末期戦が展開され、3.11の大震災でマーケットは底割れした。もはや市場に隙間はない。新しい「価値」を自ら生み出すしかない。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


今年前半期のトレンドをまとめると、以下のようになる。1、カジュアルワイン業態が増えた。がぶ飲みワインの「東京バル」スタイルに加え、多様な料理を提供する「東京ビストロ」スタイルが多く誕生した。がっつりボリュームたっぷりの「肉系バル」も増えた。2、「新世代日本酒業態」の小さな店が増えた。とくに大震災以降、東北地方の日本酒への応援消費の動きが活発となり、日本酒を見直そうという動きにつながった。3、「クラフトビール業態」(樽生地ビール)が増えると同時に、割高感のあった提供価格を安く出す店が増えた。マニアックなファンが支えるマーケットが大衆化しつつある。料理にも多様化傾向が見られる。4、新しいスタイルの「メキシカン料理」、ヒスパニック系の料理や酒に注目が集まる。「モヒートバー」や「テキーラバー」も登場。アジア系では韓国「マッコリバー」も脚光を浴びる。5、「ジャパンクオリティ」をキーワードに、国産食材への見直しがさらに高まる。とくに日本固有の伝統野菜や地魚、高品質和牛や馬肉などへの回帰現象が見られる。「醗酵食材」への注目も高まり、醗酵食を志向する「醗酵女子」という言葉も生まれた。和酒や国産ワインも品質志向へ。 こうしてみると、今年のトレンドは「業態」ではとらえきれない。アルコールビバレッジや特定の食材を打ち出し、その提供法や調理法にもオーナー、料理人の思いやこだわりが詰まっている。同じ業態にみえても、一つひとつ個性が違い、特長が際立っている。そんな店が増えているのだ。メニューにも幅があり、常に新しいアイデアを取り入れる努力を怠らない。グランドメニューはあるものの、売りは「本日のおすすめ」であり、その日しか食べられない限定品なども出す。印刷されたメニュー表ではなく、手書きで料理人の思いを伝える。飲食マーケットが縮小するなかで、待っていても客は来ない。客を呼ぶには、その店にしかできないクリエイティブを提供しなければならない。それはリアルでレアーな戦いなのだ。繰り返すが、もはや市場に隙間はない。新しい「価値」をつくることが「勝ち組」への唯一の道である。 

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