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コラム

2007年マイ流行語””

ちょっと古い話題だが、今年の「流行語大賞」はそんなの関係ない"とか"どんだけ~"、そして"宮崎をどげんかせんといけん"だったが、私の記憶に残ったのは次の三つの言葉だった。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


まずは、産地偽装や期限改ざんが明らかになり、世間から袋叩きに遭った高級料亭「船場吉兆」のテレビニュースを見ていたら、ある解説者が創業者の故湯木貞一がこんな言葉を残していたという。「料理屋とできものは大きくなれば必ず潰れる。料理屋と屏風は広げれば必ず倒れる」。 この教訓は飲食店経営者にとって耳が痛いはずだ。あるいは商業施設のディベロッパーやベンチャーキャピタル、証券会社にとっても自戒すべきと言葉ではない か。飲食店出店のスピードは、その会社の経営者の能力と思想に従うべきだ。「企業はその経営者の器以上は大きくはならない」という言葉もある。 次は、以前このコラムでも紹介したが、幻冬舎の見城徹社長の一言。これもテレビの「情熱大陸」を見ていてたまたま耳にした。「いい作品を書く作家は自分で“世界”を創れる人。でも、どこかいびつで異常な人たち。そういう人たちと本気で付き合うのが編集者の役割」。 飲食業界を日々取材している編集者の私としては、「ベストセラー作家=繁盛店経営者」ではないかと直感した。変人オーナーこそが面白い飲食店を創る。偏執 狂オーナーこそが魅力的なレストランを創る。幕末、「面白くこともなき世を面白く…」と辞世の句を残した高杉晋作も狂の人だった。彼らを育てた吉田松陰は 「狂」を肯定してこう言っている。「『狂』とは病める心のことではない。壮大で純粋な心である。代償を求めない大儀に生きる精神である。闇を裂 き、星の如く生きる精神である。地位も名誉も金も、彼らの前には、塵ほどの意味を持たない。『狂』を生きる、それは爽やかな男達の生きかたである」。飲食 店経営で他を一歩でも抜く覚悟のあるオーナーは“狂”の思想を持たなければならない。 最後は「気合いを入れて力を抜く」。これは何かのスポーツ番組(すべてテレビからの情 報ですみません)で某解説者が語っていた言葉。居酒屋甲子園の人たちは「気合い」ばかりで「力を抜く」ことを知らない若者が多い。だから「宗教みたい」と 揶揄される。しかし、居酒屋甲子園出身の吉田将紀さん経営の「絶好調てっぺん」へ行って、「あっ、力が抜けているな~」と思った。気合いの感じられない店 はつまらないが、力の抜けていない店は居心地が悪い。実は「気合いを入れて力を抜く」という言葉には続きがある。「…打ち気を見せずゆるりと腹を出す」で ある。これは剣道の用語なのだ。この境地に至れば八段といわれる。合気道でも「押しより引き」である。“引き技”こそが相手(客)を倒す武器となる。 2008年は「本物」「本気」「本性」がキーワード。「オーセンティック」への回帰が始まる。「店格」「品性」が問われる。気合いを入れて、肩の力を抜い て行きましょう! 

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