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コラム

「ペルソナ」の時代が来た!

最近、よく聞く「ペルソナ」「ペルソナデザイン」。アメリカで流行っているマーケティング手法で、日本の企業でも導入が始まった新しい顧客把握、顧客開拓の方法である。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


先日、ある30代の居酒屋経営者と話していたら、「ウチの店のコンセプトは、“ペルソナ”に基づいて作ったんですよ。ニューヨークの30代のビジネ スマンを想定し、彼が普段使いできる和食店とはどんなものか、メニューはどう構成すればいいか、それを追究していったのが“新日本和食”という業態、メ ニューにはドライアイスを駆使してサプライズを演出したんです」と。若いスタッフから提案があり、コンセプトづくりに導入したという。それによって大きな ヒットを生んだわけではないが、居酒屋がひしめくマーケットの中で、ある種の差別化をすることはできたのではないか。 飲食店はオーバーストア、大競争の時代に入ったが、数々の原材料値上げや“官製不況”の深刻化で外食動機はますます減ってくる。一方、マーケットは 多様化、顧客の顔が見えないどころか、一人の客が多様なニーズを要求するわがままな“モンスターマーケット”の時代に入った。これはインターネットの浸透 よって、PCさえあれば瞬時にいろんな商品やサービスを選べるようになったことが背景にあるようだ。飲食店選びにおいても、グルメ検索サイトから口コミブ ログ、ホームページなどから選び放題である。予約を入れてきたからといって、ただちにその顧客が店のターゲット客かどうか把握できない。 「ペルソナ」は店側が最初から“最も重要で象徴的な顧客モデル”を想定する手法だ。これから店をつくる場合だけでなく、現在の顧客データベース、た とえば顧客属性、利用動機、注文実績などから、顧客層をセグメント化し、さらにいくつかの層から代表的なユーザー(ペルソナ)を描き上げる。たとえば「青 山の外資系広告代理店に勤める34歳のOLのAさん。大きなゴールは40までに結婚だが、当面はダイエットとグルメブログ更新に生き甲斐を感じている。外 食回数は週二回、選ぶ店の基準は健康志向のコンセプトの店のみ。最近は薬膳料理にハマッている」といった具合。店側は、その「ペルソナ」の潜在的なニーズ や深層心理を考えたメニュー提案、サービスを心がける、というわけである。 これまでは、コンセプトやターゲットを考える場合、ざっくりと「30代のOL」という括りだったが、これからは「どんな30代OLなのか」を明確に、そして詳細に把握しなければいけない。飲食店も「ペルソナ」マーケティングの時代に入ったと言えるかもしれない。

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