「魚業態」の進化の方向性は以下の5つにまとめることができよう。
1、産直型&地方活性化型
2、高級食材のカジュアルダウン型
3、鮮魚、甲殻類の専門特化型
4、流通革命型
5、斬新提供型
1では、エーピーカンパニーの「四十八漁場」に代表される朝獲れを店舗にという流通のイノベーションと産地を明確に打ち出す地方活性化支援というミッションをもつ。それがお客さんの支持を呼ぶ仕組みだ。
2はオマール海老やカニ、雲丹、アワビをいった高級食材のカジュアルに提供するスタイル。
3は、オイスターバーや牡蠣小屋、海老バル、イカセンター、浜倉氏の一連の甲殻類シリーズなどがあげられる。
4は、自ら買参権を取得したり、漁船ごと契約したり、市場の競り残りを仕入れ、店では圧倒的にリーズナブルに提供するスタイル。「魚金」やMUGENの「築地もったいないプロジェクト 魚治」などはその例。
そして、5はいまブームになりつつある手づかみシーフード系の店など。
こうしたパターンに分類され、それぞれがまたこれから進化していく。ますます面白いマーケットになるだろう。
5月1日、六本木・麻布エリアで4店舗を運営するシティスコープ(代表 須田俊之氏)が、赤坂みすじ通り沿いにモダンチャイニーズバル「KOO(クー)」をオープンする。同店は、日本初「手掴みシーフードチャイニーズ×ワイン」をコンセプトにした最先端の中華新業態。中華鉄鍋に盛られたロブスター、海老、蟹、帆立貝のシーフードの美味しさを豪快に手掴みで堪能させる。ワインは、ニューワールドワインを中心に、カジュアルなモノから新進気鋭の生産者までバラエティ豊かに取り揃える。「手掴み」系では、昨年10月、新宿にオープンした「DANCING CRAB(ダンシング クラブ)」が有名。シンガポール発の大人気レストランで、スパイシーに調理されたシーフードをテーブルの上に広げ、ナイフやフォークを使わず手づかみで食べていく豪快なスタイル。東京で初めて「手掴み」系シーフード業態をオープンしたのは、ハワイスタイルの手づかみシーフードダイナー「FINGERS(フィンガーズ)」だった。2013年4月、飲食店初開業の近藤豊さんがオープンした。オープン以来、予約が困難な店となり、2号店の開業を準備している。
3月23日、アジア・中東を中心に59店舗展開している“ハラル”シーフードレストラン「The Manhattan FISH MARKET(ザ マンハッタンフィッシュマーケット)」の日本初上陸となる1号店が池袋にオープンした。ハラル対応のメニューは、サクサクの衣が特徴の「フィッシュアンドチップス」をはじめ、バーナーで炙って仕 上げる「プラッター」など、シーフードとチキンが中心。アルコール類は一切出さず、店内は禁煙。醤油を使うなど日本風にアレンジしたボリュームも食べ応えもあるメニューを用意し、ファミリ—層をターゲットとする。カレッタ汐留地下の飲食フロアに、スペインをテーマにワインと共に楽しむカジュアルスタイルのシーフードダイニング「BARCELONA FISHMARKET」がオープン。スペインスタイルの鉄板料理、鮮魚のプランチャをメインに前菜からアクアパッツアなどシーフード料理を50種類近くも揃えている。「築地食堂源ちゃん」ブランドで知られるサイプレスの新業態だ。
同じ新橋西口には共立フーズサービスが甲殻類をメインにしたシーフード業態「FISHERMAN’S BAR」をオープンした。アメリカ西海岸の有名観光地をイメージさせる地下の店舗は、船上パーティをテーマに100席以上ある大規模店舗で、個人利用からパーティまで対応する。メニューは毛蟹、ダンジネスクラブ、オマール海老と国内から海外までの多種類の甲殻類、牡蠣をメインに鮮魚なども数多く揃え、まさに店名に相応しいシーフード業態。シンプルなスチーム料理からチリソースやグラタン、鉄板焼き、揚げ物、アヒージョと多彩だ。食べ放題などもあり、まさに食エンターテイメント業態といえる。六本木には、交差点から芋洗坂を下って直ぐの場所に一際目を引く艶やかな店がオープンした。飲食業界人なら誰もが知る浜倉的商店製作所代表の浜倉氏の新業態「Crab SAKABA“CARAT”」も食エンターテイメント型だ。北海道、羅臼産の蟹をメインに鮑、ふぐ、雲丹などの高級食材をカジュアルに、しかもリーズナブルに楽しめる“大人の蟹SAKABA”。なんと24時間営業のシーフード業態である。飲食マーケットトレンドはいま、肉業態一色の印象が強い。しかし、魚業態の人気も相変わらず高く、新しいコンセプトやスタイルのシーフード業態からも目を離せない。