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USEN-NEXT GROUPに参画し急成長のバーチャルレストラン。“マルチブランド使い放題”を打ち出し、デリバリーで飲食店の収益アップに貢献。25歳代表・牧本天増氏インタビュー

コロナ以降、人々のライフスタイルや働き方の変化によって、急成長を遂げたフードデリバリーサービス。中でも注目を集めているのがバーチャルレストラン(東京都品川区、代表取締役社長:牧本天増氏)だ。飲食店が既存の設備を活用して導入するデリバリー限定ブランドのFC事業を展開。「マルチブランド使い放題」を謳い100以上のブランドを用意(2023年1月時点)。代表の牧本氏は現在25歳。大学在学時から事業を興し、2022年9月にはUSEN-NEXT HOLDINGS傘下に。USENとのシナジーを発揮しながらさらなる拡大を図る。今回は、牧本氏が考えるデリバリー事業の可能性や未来について伺った。


バーチャルレストラン代表・牧本天増氏
1997年生まれ。不用品回収事業や進学塾、就活支援サービスを立ち上げたのち、2019年3月、タピオカ専門店「OWL TEA 明大前店」をオープン。1年で直営5店舗FC3店舗まで事業を拡大。その後、コロナ禍に見舞われつつもデリバリーで売上を大幅に伸ばす。2020年6月にデリバリーのコンサルティング事業を行う株式会社バーチャルレストランを創業し代表に就任。2022年9月、USEN-NEXT GROUPへ参画。

バーチャルレストラン
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実店舗を運営しながら、コストをかけずに+αの売上を創出

――改めて、バーチャルレストランのサービスについて教えてください。

いわゆる(社名ではなく用語としての)「バーチャルレストラン」とは、既存の飲食店が通常のイートイン営業と並行して、デリバリープラットフォーム上で別業態の店舗を構える仕組みです。デリバリーは飲食店の営業許可さえあればどこでも開業可能で、既存の設備や人材を活用するため、新たにコストを割く必要がなく、効率よく実店舗+αの利益を得ることができます。

弊社、バーチャルレストランは、その仕組みを提供するコンサルティングサービスを提供しています。最大の特徴は、「マルチブランド使い放題」。100以上あるデリバリーブランドが使い放題、入れ替えも自由。エリアや客層、売れ行きを見て常に最適なブランドで営業することで利益の最大化を目指します。

弊社で展開するブランドは、どの店舗、スタッフでも調理可能、かつ商品の品質を担保できるよう、簡易オペレーションで設定しています。また、現在一部ブランドでは調理済みの状態でお届けしており、店舗では温める、盛り付けるといった簡単な作業で商品提供が可能です。今後は、全ブランド調理済みの状態でお届けできるよう準備を進めています。

クラッシュビスケットが入った濃厚チーズドリンク「GOKUCHEE」は、同社のヒットブランドのひとつ

泡のような形をしたモチモチのワッフルに、アイスやトッピングを包んで食べる「Paffle House」も同じく人気ブランド。スイーツブランドを多く擁するのも同社の特徴

――現在、100以上のブランドを展開されているとのことですが、どのように業態開発を行っているのでしょうか。

定番商品のブランドを展開しつつ、常にSNSやデリバリープラットフォームで人気のブランドや商品をリサーチし、新しいブランドの業態開発を行っています。実際の商品開発については食品のプロが行うわけですが、加盟店数が多いからこそ、クオリティの高いOEMパッケージの開発にもスピーディーに応じてもらうことができる。ただし、トレンドは新陳代謝しなければ売り続けることは難しいため、拠点ごとの平均売上をモニタリングしながら、売れなくなったブランドは淘汰し、常に最先端のトレンドが導入できるよう体制を整えています。

「油そば天増」は、デリバリー専用に開発したオリジナル麺とこだわりのタレが特徴で性別・年齢問わず人気のブランド。スイーツのみならずしっかりと食べ応えある食事ブランドまで、守備範囲は幅広い

――加盟店へのフォロー体制について教えてください。

店舗からの依頼や問い合わせが入った場合に、デリバリーサービスへのアカウント申請手続や、店舗情報登録、メニュー設定などの運用サポートも行っているほか、導入後、店舗の状況に応じてサポートミーティングを行い、売上を上げるための改善案などを提案しています。

弊社ではすべてのブランド売上データに加えて、売上が伸びる時間帯も把握しており、各加盟店にはバーチャルレストランでの売上目標や、稼働できる時間帯などをヒアリングしながら導入ブランドを提案しています。例えば、ランチやディナー営業がメインの店舗であれば、14~17時のアイドルタイムを活用して、この時間帯によく出るスイーツのブランドを8割、他のフード系ブランドを2割導入するといった形です。これなら実店舗を営業しながら、無理のない範囲で売上を上げることができるわけです。

USEN-NEXT GROUPへ参画することにより急成長

――現在の加盟店の状況について教えてください。やはり、副業として複数のブランドを展開する飲食店が多いのでしょうか?

加盟店数は順調に増えており、中には実店舗を持たずデリバリー専業の「ゴーストレストラン」もありますが、ほとんどは既存飲食店です。これまで自社でデリバリーをしていなかったお店も多いのですが、「デリバリーをやってみたい」という動機よりも、コロナ禍をきっかけに売上が落ちていたり、実店舗+αの売上を確保するための新しい集客支援サービスとして利用されているケースが多いですね。例えば、毎月数10万円をかけてネットなどに広告を出した場合でも、月に3~5組集客できれば良い方で、それも、手元にはほとんど利益が残らない、なんてことも少なくありません。一方、バーチャルレストランの場合、売上金額の30%は手元に残ります。さらに、導入したブランドが伸びなければ他のブランドに入れ替えることもできる。こうした点に魅力を感じて、導入を決めていただいているようです。

――2019年、大学在学中にタピオカドリンク専門店「OWL TEA(オウルティー)」を出店したのを皮切りに、2020年コロナ禍をきっかけにバーチャルレストランを創業されました。3年で事業を拡大させた背景はなんだと思いますか?

一つには、2022年9月にUSEN-NEXT GROUPへ参画したことが挙げられます。それから、ドライに聞こえるかもしれませんが、僕はいい意味で食に対して興味がないんです。食に対するこだわりが少ないからこそ、先入観にとらわれることなく、スピーディーに行動できていることも理由ではないかと思います。

タピオカブームの最中にオープンした「OWL TEA(オウルティー)」。写真はオープン当時の行列の様子。コロナ禍ではデリバリーで売上を伸ばし、そこでデリバリーのノウハウを積み上げていった

――USEN-NEXT GROUPに参画された背景について教えてください。

USEN-NEXT GROUPが持つ営業リソースや顧客基盤を活用して、一気に事業を拡げたいという想いがありました。まず、グループ会社であるUSEN Mediaが運営するグルメメディア「ヒトサラ」の掲載店舗にデリバリー事業を拡大できたらと思っています。

また、次の展開として、レジャー施設やホテル、医療機関など、飲食店以外の営業許可証がある施設でもバーチャルレストランを活用してもらいたいという想いもあります。店舗での調理が不要で、どんどん最新トレンドのスイーツが提供できるという点では、レジャー施設にはもってこいのサービスだと思うんですね。今後はホテルや医療機関に向けたサービスを展開しているグループ会社「アルメックス」との連携など、様々な業態でシナジー効果が発揮できるのではないかと期待しています。

デリバリーを通じて「食文化のインフラ」を作りたい

――今後の展望について教えてください。コロナ禍が落ち着きつつありますが、引き続きデリバリーの需要はあると思いますか?

台湾や中国、韓国などアジア圏ではフードデリバリーがかなり進んでいて、24時間利用可能でリーズナブル、それも様々な選択肢から選べるデリバリーサービスが当たり前に存在しています。
日本では現状、「食事を作ったり、買い物に行くのが面倒だから」という目的でデリバリーを利用する方が多いと思うのですが、海外だと「便利だし、選ぶのが楽しいからデリバリーにしよう」という考え方が主流。価値観が全く違うんですね。

僕が目指しているのはデリバリーを通じて「食文化のインフラ」を作り、食の選択肢の豊かさを向上すること。現在は関東、関西を中心に展開していますが、今後は食の選択肢が少ない地方での展開も視野に入れています。例えば、原宿の最新スイーツが首都圏以外の地域で夜11時に頼めたり、世界の食文化がデリバリーで楽しめるようになったり。付加価値を増し、人々の暮らしを豊かにすることができれば、日本のデリバリー事業はますます伸びるのではと思っています。

――ありがとうございました。これからもバーチャルレストランの活躍を期待しています。

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