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トップ経営者が考える分煙の取り組みとは? 経営への波及効果も期待できる分煙を、うまく店舗作りに活用する

現在、飲食業界にとって分煙は、経営を左右する重要なファクターとなっている。しかし、どのように実施すればいいか迷っている飲食店も多い。今回、渋谷の「オステリアウララ」や原宿の「ALA」をはじめ、「ビババンコ」、「フレスコ」、「アカベコ」「暁月」など、都内を中心に7店舗を展開するダルマプロダクション(東京都渋谷区、代表取締役 古賀慎一氏)の代表・古賀氏に、同社の分煙の取り組みについてお話を伺った。


――古賀氏は海外で生活された経験もありますが、飲食店における分煙について、どのように考えていますか?

私は4年間、イタリアで生活をしていた経験があります。イタリアでは、法律によって喫煙ゾーンが設けられており、完全に隔離されている場合もありました。そのため、たばこを吸いたい人は、お酒を持って喫煙ゾーンまで行くのが当たり前です。私もバルなどへ遊びに行ったとき、そのような光景をよく目にしました。

 

イタリアでは、分煙が文化として根付いていましたが、食事中に席を離れないといけないことに不便だと感じた点があるのも事実です。飲食店にとって、喫煙される方も喫煙されない方も、お客様であることに変わりはありません。私自身も、かつては喫煙者でした。だからこそ、双方の気持ちが分かるので、当社ではどなたでも気分よく過ごしてもらえるように取り組んでいます。

 

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近隣のアパレル関係者などで連日満席となる「ALA」

 

――飲食業界と分煙が上手に付き合っていくには、どうすればいいでしょうか?

エリアの特性はもちろん、業態や価格帯に合った戦略を立案していくことが大切です。例えば、当社が中目黒で展開している「アカべコ」は立地上、お客様が「たばこが吸えるだろう」と思って入店をしてきます。そこで、店側がどのようなケアを行っていくかが重要となるでしょう。

 

当社では、基本的に店舗デザインの段階で、全てのお客様が気持ちよく過ごせる空間となるように設計をしています。原宿で展開している「ALA」では、空気の流れが読みづらいカウンター席を禁煙とする一方、テーブル席は分煙にしています。喫煙席のすぐ隣に禁煙席がありますが、空気の流れを読んだ店舗設計となっているので、クレームなどはありません。また、禁煙・喫煙のどちらでも使用可能な個室も用意しており、ハード面だけなく、接客などのソフト面からのケアも同時に行っています。

 

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お客様のニーズに合わせて、フレキシブルに使える個室

 

――「たばこと料理」「たばこと酒」の関係性について、どのように考えていますか?

「たばこと料理」については、価格帯などによって、料理だけを楽しむシーンもあるでしょう。しかし、嗜好品としての「たばことお酒」の関係は、切っても切り離せません。だからこそ分煙の取り組みが必要なのですが、店の外に喫煙所を設置するなど、喫煙者の不便性が大きい場合もあります。

 

当社では、たばこを吸う人も吸わない人も、お酒を飲む人も飲まない人も、全てのお客様に平等に楽しんでいただきたいと考えています。そこで、喫煙ゾーンでも楽しんでもらえるように、雑誌やパンフレット、アルコールなどを用意しました。たばこを吸うときに、一人で喫煙ゾーンへ移動する方も多くいるでしょう。喫煙ゾーンにエンターテイメント性を加えることで、そうした喫煙者が味わえる楽しみを提供したいと考えています。

 

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レジカウンター近くの喫煙ゾーンには、ウイスキーなども置かれている

 

――飲食業界と分煙の未来像は、どのようになっていくでしょうか?

飲食店にとって、分煙を行うことは多くのメリットがあります。スピード感のある経営を行う上で、助成金などを利用することが難しいこともありますが、経営者の工夫次第で課題を解決することは十分に可能です。現場でも、オペレーションに縛られない臨機応変な対応をすることで、お客様のニーズに応えていくことができるでしょう。結果的に分煙が、老若男女を問わず、楽しめる空間作りに繋がっていくのです。

 

現在、大門の新店のオープンが、2016年の3月に控えています。同店では、エリア特性や業態、価格帯を考慮して、フロアで喫煙・非喫煙エリアを分けました。これも来店が予想されるお客様の満足度が最大になるように、店舗設計から考えた結果です。分煙にも、さまざまな方法があります。今後も当社では、多くのお客様に楽しんでもらえる店舗作りを行っていきたいと考えています。

 

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現在7店舗を展開するダルマプロダクションの代表取締役社長・古賀慎一氏

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