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クラフトビールの「次に来る」と言われるリンゴ酒の「サイダー」。そのパイオニアを目指す樽詰サイダー専門店「サイダーノート(Cidernaut)」が奥渋谷にオープン!

3月15日、通称「奥渋谷」エリアの渋谷区神山町にオープンした「サイダーノート(Cidernaut)」は、リンゴを発酵させて造られるお酒「サイダー」の専門店。クラフトビールと同様にタップでグラスに注ぐ「樽詰サイダー」を常時10種近く揃える。オーナーの武田 光氏は、イギリス滞在中に現地のパブでサイダーに惚れ込み、帰国後に同店をオープン。クラフトビールの「次に来る」とも言われるサイダーで、日本でのパイオニアを目指す。

最寄りの渋谷駅駅や、小田急線・代々木八幡駅から少し歩く場所に立地。ブルーを基調にしたファサードが印象的だ
入口を入るとすぐに、オープンなカウンター席がある。テーブル席はカウンター席の近くと店内奥に設けている
常時10近くを揃える「樽詰サイダー」は、味わいも色あいも多彩。サイダリーごとの豊かな個性を楽しめる
生地から自家製のベーグル。写真の具材は「タンドリーチキン」
右が代表の武田 光氏、左がマネジャーの和田将玄氏。二人とも調理とサービスを行う

(取材=亀高 斉)


パブの本場・イギリスで昔から親しまれてきたサイダー

リンゴを発酵させて造るお酒は、フランス語では「シードル」、英語圏では「サイダー」と呼ばれる。日本では、まだ馴じみが薄いが、パブの本場・イギリスでは昔から親しまれてきたお酒だ。サイダーの醸造所は「サイダリー」と呼ばれ、クラフトビールと同様に、多彩な「クラフトサイダー」もある。「サイダーノート(Cidernaut)」のオーナー・武田 光氏は、イギリス滞在中にサイダーに惚れ込んだ。現在44歳の武田氏は、日本でIT系の会社に勤めた後、「一度、海外に住んでみたかった」という夢を叶えるために31歳で渡英。約6年間滞在し、最後の1年間は現地の大学院でMBAを学んで帰国した。

そのイギリスでの滞在中、武田氏がパブでよく飲んだのがサイダー。ビールがあまり得意ではない武田氏は、「程よい甘さがあって飲みやすく、しかも、ビールほどお腹に溜まらない」サイダーを好んで飲んだ。「これだけイギリスで親しまれているお酒なのに、なぜ日本ではあまり知られていないのか?日本でサイダー専門店をやったら面白いのではないか?」という構想を描くようになる。帰国後は、まず個人投資家として活動するが、「サイダーノート」の現マネジャー・和田将玄氏との出会いで構想が具体化。実は武田氏と和田氏は、最初にイギリスで出会っている。ワーキングホリデーで渡英した和田氏が、当時、武田氏がアルバイトをしていた現地の寿司店を訪れて知り合った。そして、二人は縁あって日本で再会。和田氏が都内のアイリッシュパブで働いていることを知った武田氏が、「だったらサイダー専門店の構想があるので一緒にやらないか」と誘い、「サイダーノート」が誕生することになった。

サイダーの多彩な味、新しい美味しさは「驚きの連続」

「サイダーノート」は、樽で仕入れてタップからグラスに注ぐ「樽詰サイダー」にこだわっている。12タップのうち、常時8~9種類はサイダーで、残りの3~4種類がクラフトビール。日本のアイリッシュパブでは、「樽詰サイダー」を提供していても種類は1つしかないケースも多い中、常時10種近くを揃えているのは、かなり画期的だ。武田氏によれば、日本ではまだ、樽で仕入れることができるサイダーの種類はクラフトビールに比べるとかなり少ないが、それでもサイダリーの数で約30社、種類にして70種類前後あり、その中から選んだものを日によって内容を変えながら提供している。

その大きな魅力は、サイダリーごとの個性的な味わいを楽しめること。「サイダーは、リンゴのみで造られるものもあれば、別の材料を合わせて造られるものもあります。味わいは大きく分けるとドライ、ミディアム、スイートがありますが、サイダリーごとの個性がとても豊かで、見た目の色あいも多彩です。特にアメリカのサイダーは、ユニークな材料が使われているものも多く、このお店を初めたことで、僕自身がサイダーの新たな魅力に気づきました」と武田氏は話す。

取材時のサイダーは8種類で、イギリス産が3種、アメリカ産が4種、国産(長野のサイダリー「カネシゲ」産)が1種というラインナップ(価格は「Half」が690円~、「Medium」が990円~、「Pint」が1190円~)。例えば、そのうちの1種「Lost Tropic」は、アメリカ・ニューヨークのGRAFT社の定番サイダーで、ホップを使っているのが特徴だ。オレンジとグレープフルーツも加えており、ジューシーさとともに苦味と酸味を楽しめる。また、「Cucumber Hibiscus」(アメリカ・シアトル)は、その名の通り、キュウリとハイビスカスを使用。夏らしさのある「サマーサイダー」で、同店ではジンを加えて(+100円)、カクテルのように楽しむ飲み方も提案している。他にも、ルバーブを使ったピンク色のサイダー「Roisie’s Pig」(イギリス・ヘレフォードシャー)、パイナップル果汁や数種類のスパイスを加えている「Viva La Pineapple」(アメリカ・オレゴン)など、そのバリエーションの豊かさ、意外性のあるテイスト、今まで経験したことのない美味しさは、きっとサイダー初心者にとっては「驚きの連続」だ。オープンから間もない現在は、実際にサイダー初心者の利用が多いため、自分好みのサイダーを見つけてもらうために無料の試飲サービスも行っている。

フードは食事系&つまみを用意。内装は「モダン」路線

現在、「サイダーノート」は、12:00~23:30の通しで営業。フードメニューは、食事系でベーグルとスパイスカレーを売りにしながら、パブらしいつまみ料理を揃えている。生地から自家製のモチモチ食感のベーグルは、「プルドポーク」「スモークサーモン&クリームチーズ」「タンドリーチキン」の3種類の具材を用意。単品800円で、フレンチフライ、サラダ付の1000円のセットでも提供している。つまみ料理は、「グリーンサラダ」(790円)、「生ハムとリンゴ クリームチーズwithハチミツ」(950円)、「国産鶏のチキン&チップス」(950円)、「ナチョス」(870円)、「バッファローウィングス」(820円)、「おつまみスパイスキーマwithスライスベーグル」(870円)、「タンドリーチキン」(770円)など10数種類を用意。今後、フードメニューは、さらに新商品も投入していく予定だ。

また、店舗デザインは、軽やかさのあるブルーを基調にしたファサードが印象的。「最近はイギリスでも、重厚な感じのクラシカルなパブとは違った、モダンなデザインのタップルームが増えています。タップルームは、クラフトビールやクラフトサイダーが飲めるタップのある店のこと。そのモダンなタップルームをイメージしました」(武田氏)。ビル1階の路面店で、規模は約16坪・35席。道路に面した側は、扉を開けてフルオープンにできるようにしており、その開放的な雰囲気も同店の魅力だ。

クラフトビールブームで、サイダーにも勝機が生まれた!

武田氏がサイダー専門店の開業を決めたのは、日本でクラフトビールがブームになったことも大きな理由の一つ。「クラフトビールを好きな人は、新しいものが好きです。サイダーは、日本人にとって馴染みが薄い新しいお酒ですが、クラフトビールがブームになったことで、次の新しさを求めるニーズにサイダーはマッチすると考えました。実際、アメリカでは、クラフトビールの次にクラフトサイダーという流れがあります」と武田氏は話す。「奥渋谷」エリアに出店したのも、感度の高い人たちの利用が見込める立地であると判断したからだ。

また、「このところ、徐々にサイダーが盛り上がりを見せている」(武田氏)のも、「まずはサイダーの認知度を上げることが当面の目標」と考える同店とって嬉しい動き。例えば、この7月にも、アメリカとオーストラリアから新たに7種類のサイダーが日本初上陸。さっそく同店でも、このサイダーのイベントを8月上旬から中旬にかけて開催予定だ。さらに、国内のサイダリーにも注目の動きがある。リンゴの産地である東北の県で、新たなサイダリーができるという情報があるという。確かにこれらは、今後、サイダーのムーブベントが大きくなっていくことを予感させる動きで、そのパイオニアになるべくサイダーの魅力を伝え、サイダーファンを増やしているのが「サイダーノート」だ。

店舗データ

店名 サイダーノート(Cidernaut)
住所 東京都渋谷区神山町16-4 堀内ビル1F

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アクセス 渋谷駅から(出口によって)徒歩7~10分、小田急線・代々木八幡駅から徒歩10分
電話 03-6407-9222
営業時間 12:00~23:30
定休日 不定休
坪数客数 16.74坪・35席
客単価 2000~4000円
オープン日 2020年3月15日
関連リンク サイダーノート(Facebook)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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