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海鮮居酒屋「魚真」で11年、取締役を経て独立。魚一筋で研鑽を積んだ代表が、二子玉川「さかなや かねなり」で腕を振るう

二子玉川駅から徒歩5分。ガラス張りで入口のショーケースと厨房が外からも伺える
18坪38席の店内。テーブル席からも厨房の様子が奥まで見える
「刺身盛り合わせ」(1人前 1,300円~)
毎日ディスプレイにこだわるショーケース。これを見て注文をするお客も多いという
代表の杉山量紀氏

(取材=福井 晶)


二子玉川駅近くの裏路地に飲食店、美容院、雑貨店などが立ち並ぶコンセプトエリア“柳小路”がある。運営は高島屋S.Cを手がける東神開発で、同エリア内に7棟の商業施設を構える。11月30日オープンの7棟目、“南角”は計6店舗の飲食店が入居し、近隣住民からも大きく注目を集めている。
同日、2階に開業した「さかなや かねなり」は老舗鮮魚卸・海鮮居酒屋「魚真」出身の杉山量紀氏が代表。同氏は魚一筋で業界を歩み、「魚真」を運営するシン(東京都世田谷区、代表取締役:加世井眞次氏)で取締役まで務めた。独立1店舗目となる同店は、安価で良質な魚を提供しながら、お客に調理風景を魅せるエンターテイメント性を重視。「魚真」のDNAをしっかりと引き継ぎ、自慢の腕を振るう。こだわりの魚メニューのみならず、戦略的に展開するドリンクメニューや〆ご飯にも注目だ。

飲食一本、魚一筋。「魚真」では取締役を経験

杉山氏の業界経歴は魚一色。寿司屋など何店舗かの飲食店で勤めた後、スーパーの魚屋に転職し2年ほど勤務。その後、飲食業の魅力が忘れられず、シンに入社。「魚真」でのキャリアをスタートさせる。店長を経験し店舗拡大などに携わりたいという思いがあった同氏は、当時5店舗ほどの規模だった「魚真」の拡大にも尽力。合計で11年ほど働き、うち取締役としては5年勤めあげ、満を辞して独立した。
当初の予定では、もう少し早く独立する予定だったと語る同氏。「独立を決意した前後に親父(社長)の口から引退の話が出たんですよね。トップが辞めるなら会社が大変だと思って、時期を先延ばしにしたんです。そうしたら、いつまで経っても引退しない。笑 改めて聞き直したら『まだまだ、やるぞ』って言うんですよ。じゃあそろそろ、と思って独立するタイミングを再設定しました」

開業にあたり、物件の狙いは二子玉川駅周辺に絞った。“魚料理”ど直球の居酒屋が少なかったからだ。物件探しの難しさは先輩から聞いていたため、準備期間として1年は覚悟していたという。第2希望として三軒茶屋にもアンテナを張りつつ物件を巡っていたが、探し始めて2、3ヶ月で「魚真」が出店依頼を受けた物件を任されることに。これまで築いた信頼関係で、トントン拍子に話が進んだ。

ショーケースと厨房をみて楽しむ内装

店内は18坪38席。内装も魚真スタイルを継承。見どころは入り口のショーケースと客席より1段高くつくられた厨房だ。ズラリと新鮮な魚が並ぶショーケースは迫力満点。お客とのコミュニケーションを図る武器になっている。厨房はカウンター席から手元がはっきりと見え、調理風景をエンターテイメントとして魅せる店づくりにこだわった。 また、施設自体の建築の意匠である梁や柱には苦戦しながらも、うまく活かした。厨房もコンパクトにまとめ、1箇所に集約。デットスペースを最小限に抑えた。カウンター席上には吊り戸棚を作らず、開放感を演出。趣のある梁が良いアクセントになった。

1軒目で〆まで注文させるメニュー構成

「魚真から仕入れる最高の魚を良心的な価格で提供するのが、まず一番。気軽に入ってほしいですし、注文してくれたらすごいの出すぞ!という意気込みがあります。」と笑う杉山氏。ショーケースに並ぶアマダイ、蟹などの旬の魚介はお客の要望に合わせて調理。「刺身盛り合わせ」(1人前 1,300円~)や「蒸し鮑と雲丹 卵黄和え」(1,500円)をはじめ、シンプルに素材を活かした料理を提供する。魚料理の他にも、A5ランクの仙台牛を使用した「いちぼローストビーフ」(1,800円)や「ランプ肉炙り焼」(2,200円)など、焼肉屋の店長だったスタッフが手がけた肉料理も揃える。 またデザートや〆に食べられるメニューも充実させた。1軒目として来店する客が多いため、最後の〆まで食べてもらう狙いだという。オープン当日に完成させた「つけ麺」は、大量に廃棄となってしまう魚のアラをうまく活用した自信作。その成果もあり、客単価は当初の目標値である6000円と順調な滑り出しだ。
ドリンクは日本酒とワインがメイン。それぞれ日替わりで8種類以上を取り揃え、お客が毎日来ても飽きず、何杯も飲み比べたくなるよう意識した。ワインに詳しいスタッフが仕入れており、ドリンクの注文は日本酒とワインで7:3ほどの割合。サワー類の注文は少ないという。「お客様は店のターゲットでもある40~60代の近隣住民が多く、ゆっくりお酒を愉しんでもらっています」と杉山氏。ターゲットの客層をメニュー構成でうまくキャッチしたといえる。

立ち上げのメンバーは杉山氏を除いて3人。「1人で独立開業したというより、みんなで独立して作った店だと思っています」とチームワークの強さをのぞかせ、「スタッフ全員、店長を任せられるほど優秀。あと3店舗作って、それぞれ店を任せたいですね」と今後の展望を語ってくれた。威勢の良い声が響く「さかなや かねなり」の成長に期待が高まる。

店舗データ

店名 さかなや かねなり
住所 東京都世田谷区玉川3-13-7 柳小路南角 2F

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アクセス 二子玉川駅より徒歩5分
電話 03-6805-6506
営業時間 [月~土] 17:00〜24:00(L.O:23:00) [日・祝] 16:00〜24:00(L.O:23:00)
定休日 無休(年末年始などを除く)
坪数客数 18坪38席
客単価 5000円〜6000円
オープン日 2018年11月30日
関連リンク さかなや かねなり(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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