東急東横線、渋谷駅から5つ目の距離にある都立大学に大人の酒場「都立大学 ぶらんこ」が6月12日オープンした。コンセプトは店主植竹貴俊氏がお酒に寄せきっちりと仕上げた料理をじっくりと味わい楽しむ大人の酒場。「ぶらんこ」という印象的な店名はまま、公園にあるぶらんこに由来し、都立大学が公園で店はぶらんこという。いろいろな人が集まる公園で、誰もが気軽に立ち寄れる居心地の良い場、ぶらんこを目指している。
賑わう隣駅の自由が丘とは至近距離にありながらも一歩入れば高級住宅が建ち並ぶブランドエリアの都立大学。それでも駅周辺の商店街にはスーパーを始めとした商店、飲食店も建ち並び、日常の生活環境にも優れた街を実感させる。さらに都立大学には付加価値性や高品質性に優れた名店も潜む、飲食指数の高い街でもある。そんな都立大学の駅近くの北口、東急線に沿う通りに面した場所に店は構える。搔き落とし仕上げのセメントモルタルのグレーの壁にビンテージ風の木枠のガラス戸の入り口。それぞれの素材の質感が織りなすセンシティブでシックな構えの同店は静かでいて存在感を際立てる。和のようであり洋のようでもある独創的な雰囲気は和食になり過ぎず日本酒にこだわりすぎずにお酒全般を楽しん考える植竹氏の想いが反映されている。デザインは「DESIGN WORKS(デザインワークス)」(東京都港区 代表取締役生長弘丞氏)の手によるもの。
植竹氏の料理暦はすでに小学校時代までに遡る。家事の手伝いとして自然に始まっていた料理は当時、楽しかったという。植竹氏が普通高校の学生時代に農業高校とチームを組み一緒にイベントを行った際に生産へも興味を持ったという。そんな料理の楽しさと興味から調理専門学校で和食を学び、ホテルへ就職し順調に料理人の道を歩んできた。しかし、いつしか料理することの情熱を失い一時期、異業種に赴き飲食業との距離をおいたこともあった。だが飲食業への想いは強く、その後は本格日本料理の名店などでの料理修行に加え、和食バルで接客も経験し今へと繋がるカウンターコミュニケーションの面白さも体感したという。そして当初から独立を視野に神泉の予約必須の人気店「うみはたけ ぽつらぽつら」(東京都渋谷区 オーナー米山有氏)とその姉妹店日本酒専門店「うつらうつら」の両店でスキルを磨き、32歳で独立に至ったのだ。
ふぐの調理師免許も持つ植竹氏の高い調理力から繰り出される料理は和食の枠に留まらない広がりを見せる。フレンチスタイルのウフマヨを加えた「ウフマヨポテトサラダ」(750円)。大胆に中華のテイストと合わせた「牡蠣と空芯菜のXO醤炒め」(1200円)といったような新鮮で個性的なスタンスを見せる。当然ながら「刺身の盛り合わせ」(2人前2000円)や「魚の塩焼き」(950円)といったシンプルな和食らしい一品も用意する。おすすめは「北海道産 短角牛のロースト」(2000円)。ストレスのない環境でのびのび育てられた短角牛の赤身の美味しさを味わって欲しいからという。基本、日替わりの献立はどれも用意する日本酒などのお酒が進むものである。揃えるお酒のメインは植竹氏が選んだ日本酒だ。なかでも田んぼ作りから醸造までを蔵で行う全量米酒造として知られる泉橋酒造(神奈川県厚木市)の「いづみ橋」(1000円)がおすすめという。ほかにも「長珍」(1200円)や「王録」(1300円)。温めて飲む「十旭日」(850円)など、いずれも酒造りに熱い想いを持つ蔵元の日本酒が並ぶ。ほかに日本酒の蔵が造る焼酎をベースにした「レモンサワー」(700円)や自然派のボトルワインなど店主の思いが伝わる揃えである。
料理を造る植竹氏との会話を楽しみながらお酒を飲むキッチン前のL字のカウンター席と時には仲間同士で盛り上がれるテーブル席。目的に応じた使いこなしが出来る店は和食であっても難しくない、気軽な酒場使いを楽しんで欲しいとの想いが反映されている。そしてあえて少量仕入れの日替わり献立には、その瞬間に出会える料理とお酒の相性のように通う度に新しい発見を楽しんでとの理由がある。今後は生産地にまでも自ら出向き食材を吟味し、美味しさの本質を追求していきたい考える植竹氏だ。
店舗データ
店名 | 都立大学 ぶらんこ |
---|---|
住所 | 東京都目黒区中根1-1-7渡辺ビル1F |
アクセス | 都立大学駅より徒歩1分 |
電話 | 03-5726-8413 |
営業時間 | 18:00〜24:00(L.O 23:00) |
定休日 | 月曜 |
坪数客数 | 13坪/20席(カウンター10席テーブル10席) |
客単価 | 7000円 |
オープン日 | 2018年6月12日 |