JR渋谷駅南口から徒歩9分。賑やかな喧騒から少し離れた住宅街・鶯谷町に4月6日、「活惚れ(カッポレ)」がオープンした。「活魚の“活”に対して、もっと価値を見出す」とのコンセプトの元、刺身と魚介の炭火焼きを看板メニューに掲げている。わずか12坪の店内は、厨房を取り囲むように大きくコの字型のカウンターが配され、生簀から引き上げた車エビやサザエを、すぐ横の炭台やまな板で調理するという動線を確保。活きの良い魚介をその場で調理し、その過程をお客は“つい、見入ってしまう”エンターテイメントとして楽しむことができる。
店主・松永大輝氏は現在33歳。割烹料理店で5年間修業した後、魚に興味を覚え、さらに多くを学びたいと、老舗鮮魚卸・海鮮居酒屋「魚真」(東京都世田谷区、代表取締役:加世井眞次氏)に入社。その後9年間、同店で腕を磨いた。30歳での独立を目指し、当初は魚を学んだ後は、また和食の世界に戻ることを考えていたが、築地で加世井氏が仕入れる魚介が、どれも素晴らしかったことから、魚の魅力にどっぷりとハマってしまったという。「活惚れ」の魚介も「魚真」から仕入れている。
9年間の経験から、新鮮な魚介を生かす調理法も熟知した松永氏。「極上刺身五種盛」(2,980円)には、旬の魚に土佐醤油やヒマラヤ岩塩などを添えて、その魚の旨さが一番引き立つ形で供される。「自家茹で毛蟹 冷製カニ玉風」(1,980円)は、生簀のカニをそのまま鍋に移し、湯がくため、身も柔らかく甘みも強い。ほぐした身には自家製のまろやかな黄身酢がかけられている。炭火焼きでは、「焼ハマグリ」(2ケ500円)や「活サザエ ツボ焼」(1,280円)などがあり、他にも、煮物、揚げ物、珍味、〆のごはんとおよそ50種類のフードメニューを展開する。
「魚と一緒に、国産のクラフトな飲み物とのペアリングを楽しんでもらいたい」(松永氏)。言葉通り、ドリンクメニューも日本各地の素材や、手仕事が感じられるラインナップだ。ビールは、キリンが展開するクラフト生ビール“タップ・マルシェ”「ブルックリン・ラガー」をはじめ4種類(各650円)を用意。神奈川の「湘南ゴールド」、和歌山の「きよみ」、愛媛の「せとか」といった、国産の柑橘を使った生搾りサワーは3種類(各650円)展開する。日本酒では、山形の「ばくれん」(650円)、静岡の「開運」(650円)など8種類(各1合)。ワインは「ソレイユ・甲州 白」(700円)、「奥出雲ワイン 赤」(800円)など、日本各地のワインが、赤・白・ロゼ・スパークリングと計8種類ある。
客席はカウンター10席と、2名掛け・4名掛け・5名掛けのテーブル席、合わせて21席。店名の「活惚れ」は、松永氏の故郷・静岡市清水区で夏に行われる「清水みなと祭り」に因んで付けられたもの。「一年で一番、地元が盛り上がる祭りで、みんなカッポレを踊っている。そんな盛り上がる店にしたかった。また聞いた話、昔、漁師は大漁の時、カッポレと言いながら港に帰ってきた、という話も聞いた。魚の“活”を提供していきたいと考えているので、この名前にした」(松永氏)。ロゴマークに霊峰富士をあしらうなど、松永氏の地元への想いが見て取れる。
一口に「渋谷」と言っても鶯谷町は閑静な住宅街。飲食店はあるものの、繁華街とは言い難い。「出店にあたり、わざわざこの店を目指してこの辺りに来てもらえるようにしたかった。そのため、繁華街での出店は頭になかった」(松永氏)。当初は、感度が高く、街としても落ち着いている北参道で物件探しをしていたが、思う物件がなかったという。「ここは以前、37年間営業していた中華料理店だったが、店主が高齢のため閉店となった物件。自分もそれくらい長くこの店を続けていきたいし、この界隈を“谷渋谷(タニシブヤ)”というワードでどんどん盛り上げていきたい。そして、スタッフにもそれぞれ店長となる店を持たせられたら」と松永氏は意気込む。渋谷にまた新しい注目エリアを作るべく、活きの良い魚と老舗で磨いた腕を武器に、松永氏の挑戦が始まった。
店舗データ
店名 | 活惚れ(カッポレ) |
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住所 | 東京都渋谷区鶯谷町19-19 第3叶ビル102 |
アクセス | JR渋谷駅から9分 |
電話 | 03-6455-3170 |
営業時間 | 【月~土】17:00〜25:00(LO.24:00) 【日・祝】16:00〜24:00(LO.23:00) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 12坪21席 |
オープン日 | 2018年4月6日 |
関連リンク | 活惚れ (FB) |