三軒茶屋駅のほど近く、近隣住民でにぎわう商店街の茶沢通りから1本入った路地にあるビル2階に佇む、「ニューマルコ」は、日本酒や自然派ワインとともに和食が楽しめる居酒屋だ。表に掲げられているのは、知らなければ通り過ぎてしまいそうなシンプルな看板のみ。扉を開ければ、6坪にカウンター11席に5名程度の立ち飲みスペースを配置したスタイリッシュな空間が広がる。控えめな外観に小体な店内だが、連日、多くのお客が詰めかけ、日に50人を集客することもあるという繁盛店だ。同店は、三軒茶屋の人気酒場「三茶呑場 マルコ」の姉妹店として、2017年9月19日にオープンした。
同店を運営する2TAPS(東京都世田谷区)の代表取締役である河内亮氏は、アパレル業界から飲食の道に入った人物だ。現在は同社取締役を務める小柴直哉氏とともに、22歳のときに「10年後に飲食店を開業しよう」と決意し、2人はそれぞれ異なるジャンルで修行を開始した。河内氏は和食を、小柴氏はワインを中心にそれぞれ研鑽を積み、2014年12月、「三茶呑場 マルコ」をオープン。「これまで人と人との縁で生きてきた僕たちなので、恩返しの意味を込め、今度は僕たちが人と人との縁を生む、地域のコミュニティ的な役割を果たすような場所を作りたかったんです」と河内氏は話す。「三茶呑場 マルコ」では、河内氏の地元である新潟の産直素材を多用した和食と、それに合う自然派ワインや地酒がウリだ。2人の修行に裏打ちされたクオリティの高い商品に加え、「お客さまに寄り添い、お客さまの求めることに対するレスポンスの速さを意識している」(河内氏)という彼らの接客が作り出す居心地のよさが評判を呼び、「三茶呑場 マルコ」はたちまち坪75万円を売り上げるほどの繁盛店へと成長。「次第に、満席のためお客さまをお断りすることも増えてきました。加えて、『三茶呑場 マルコ』はカウンターが6席のみと少なく、より密に接客をしたい1名や2名の“個人客”にアプローチできていないことも課題でした。常連のお客さまも、当店の混雑状況を考慮し、気を遣って早い時間か遅い時間に来店するようになり、本来の思い描く店の姿とのギャップに心苦しさがありました」と河内氏。こういった現状を打破するため、2016年9月ごろから2号店の開業を検討しはじめたという。そして「三茶呑場 マルコ」から徒歩1分に立地する同物件に巡り合い、「ニューマルコ」のオープンに至った。
「三茶呑場 マルコ」ではしっかりと食事ができる店であるのに対し、活気あふれる雰囲気と細やかな接客はそのままに、「ニューマルコ」ではより酒をゆっくりと楽しんでもらえる設計とし、棲み分けを図った。カウンターメインの店内は、スタッフとお客の距離も近く、お客一人ひとりに合わせた細やかなサービスが可能。1名や2名の個人客がゆっくりと酒を楽しむのに最適な環境を整えた。メニューは「三茶呑場 マルコ」と同様、新潟産をはじめとする産直素材を使った和食ベースのつまみを日替わりで30~40品(350円~1500円)を用意し、1~2名にぴったりなポーションとなっているのが特徴だ。ドリンクは、自然派ワイン約8品(800円~1100円)と日本酒に5品(850円~1200円)に加え、新たにクラフトビールもタップで3品(750円~850円)を用意する。よりドリンクに特化した店であることの象徴として、作り付けで備えたワインセラーも見どころのひとつだ。
現在、オープンから約4か月が経過。視認性は良いとはいえない立地ながらも、「三茶呑場 マルコ」と至近距離ということもあり、順調に認知度は向上。満席になることも少なくなく、早々に三軒茶屋の人気店への仲間入りを果たしている。「店舗を開業してみて、商店街沿いの場所で店をやるということに大きな意義を感じています。多くの地元の人が行き交う商店街、そこから少し入った場所に店を作るからこそ、コミュニティが光るんだと実感しました」と河内氏は話す。地域のコミュニティとして酒場の果たすべき役割を実直に追い求めている同社だが、さらなる店舗展開も見据え、今後は同社の商品・接客クオリティを大衆居酒屋へと落とし込んだ業態にもチャレンジする予定だ。
店舗データ
店名 | ニューマルコ |
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住所 | 東京都世田谷区太子堂2-28-2 ライファービルⅡ 2F |
アクセス | 三軒茶屋駅から徒歩4分 |
電話 | 03-6805-5678 |
営業時間 | 【月~土】18:00〜26:00(LO25:00)、【日、祝日】18:00~24:00(LO23:00) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 6坪11席+スタンディング5名程度 |
客単価 | 4500円 |
運営会社 | 株式会社2TAPS |
オープン日 | 2017年9月19日 |
関連リンク | マルコ&ニューマルコ |