47都道府県の蔵元の日本酒150種類に加え、店主の“隠し酒”約50種類を揃えた「日本酒専門店 萬亮(まんりょう)」。唎酒師でもある稲村亮太氏が、ビジネスと歴史の街、大門に3月1日オープンさせた店だ。「いい日本酒と日本酒に寄せた料理、さりげないサービスでつくるおいしい時間のおもてなし」がコンセプト。600年もの歴史を持つ増上寺の総門の名に由来する大門は、地下鉄が2線、さらに至近距離にはJR浜松町駅、東京モノレールが走る。そのアクセスのよさから、観光地の一面とともに大手企業も数多く集まるオフィス街としても知られる。オフィスワーカーが多く、大門の顔となっている老舗居酒屋をはじめ新しい飲食ビルまで、新旧の飲食店が集うエリアだ。そんな街の一角、東京タワーを近くに望むビルの地下、隠れ家のように構える同店は、緩やかに日本酒を味わうにぴったりの環境だ。
プレート看板だけを目印に階段を降りると、日本酒銘柄の名前を染め抜いたのれんが迎えてくれる。正面の壁一面は日本酒がずらりと並ぶ冷蔵庫に、日本酒専門店であることを実感してもらうため、空間は白をベースに焦茶色の木をアクセントにしたテーブル席だけのシンプルで落ち着いた雰囲気に仕上げている。
初めての人にも常連である人にも別け隔てないコミュニケーションや客の意向をくみとれるようなサービスへこだわるため、あえてカウンター席を作らずにしたという。テーブルをまわり客の嗜好をくみ取り、丁寧な接客を心がけているからだ。オーナーの稲村氏は、もともと酒の場が好きだったことから、起業を目指して異業種から飲食の世界に飛び込んだ。そのスタートは、六本木の高級和食だったいう。知識も経験もなくゼロからの厳しい修行を重ねながら、3年後には別会社の新店立ち上げ、店長を務めるまでにサービスの心をブラッシュアップさせてきた。そんな稲村氏の真摯な姿勢が念願の出店へと繋がったようだ。それは、修行した高級和食店時代からのお客も数多く通うということからも実証されている。
同店で揃える日本酒は、全国47都道府県の蔵元から選んだほぼ定番銘柄150種類、旬のタイプやスペシャル銘柄などの“隠し酒”約50種類、合わせて200種類近くにものぼる。なかには同店のためだけに醸した日本酒もある。稲村氏は作り手の顔が見え、伝えることを大事にしたいという想いから、同世代の蔵元の日本酒を積極的に選び、関わりを深めているという。システムは時間を気にせずにゆっくりと楽しめる「アラカルト」が、100ml500円、250ml1300円(隠し酒やスペシャル銘柄は省く)。メニューに載る日本酒すべてから選べる2時間2800円、2時間30分3400円、延長は30分600円の「時間制飲み放題」がある。時間制と料理がセットとなった前日予約制のシステムは、2時間料理6品で5000円、2時間30分7品6000円、2時間30分8品7000円とグループ利用や接待に向けたシステムもある。ほかにもアイテムは少ないが焼酎、梅酒、ソフトドリンクも用意し、日本酒が飲めない人へも配慮する。
料理は前職場が一緒でパートナーでもある統括の栗林悠氏が手がける。毎日築地から仕入れる鮮魚の「刺身5点盛り」(900円)をはじめ、「魚のカマ焼き」(700円)や「あら煮」(700円)。大山鶏を使った「大山鶏の塩焼」(900円)、「自家製つくね焼き」(600円)に栗林氏おすすめの「酒粕ハムカツ」(600円)など。旬の素材や定番の素材を用いてシンプルに仕上げた料理からひと手間かけたものまで日本酒に寄せた逸品が揃う。今後は、日本酒専門店をもう一軒出店したいと考えるが、今は日本ワインへの興味もあるという。
店舗データ
店名 | 日本酒専門店 萬亮(まんりょう) |
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住所 | 東京都港区芝大門1-11-9 ライオンズマンション芝公園 B102 |
アクセス | 都営地下鉄大江戸・浅草線 大門駅より徒歩3分 JR山手線、東京モノレール 浜松町駅から徒歩5分 |
電話 | 03-6884-4424 |
営業時間 | 17:30〜23:00 |
定休日 | 日祝日(予約がある場合は営業) |
坪数客数 | 16,5坪・30席 |
客単価 | 5000円 |
運営会社 | 日本酒専門店 萬亮(まんりょう) |