日本の食文化である馬肉だが、昨今、食の安全・健康・美容面で改めて注目の食材となっている。馬肉を使った焼肉の専門店「東京馬焼肉 三馬力」が西池袋に6月14日オープンした。運営はOICY(オイシー、本社:大阪市南堀江、代表取締役:兼子栄治氏)。代表の兼子氏は15年前、23歳で独立し、当時閑散としていた大阪・北堀江にエッジの効いたカフェをつくりエリアの活性化を図った。その後、エイトジーを立ち上げ飲食店を出店。ダイニングカフェのプロデュースやスイーツの開発、最近ではウェディング業態にも関わる。今回東京進出でタッグを組んだのは同じく飲食店経営や飲食業態の開発を行なう、ワイズクルー山川博史氏。お互い「仕事で一緒に組みたい」と思う存在に初めて出会えたと話す。OICYは昨年6月フランチャイジーとして「串カツ田中 蒲田店」、10月「串カツ田中 赤羽店」を出店し、東京進出を果たした。
OICY初のオリジナルブランドとなる「東京馬焼肉 三馬力」。きっかけは、新業態のリサーチで訪れた熊本で感動的な馬肉に出会ったこと。そこは、日本で唯一の馬肉専用の畜場、一貫生産の生食専用工場を持つ創業200年の「千興(センコウ)ファーム」。すぐに工場へ向かい馬肉を広めることを決意した。「馬肉はおいしいだけでなく、低カロリーで高タンパク。エネルギー源となるグリコーゲンも豊富で栄養バランスに優れ、疲労回復や美容効果も高い。鉄分も多く、女性にもおすすめ。焼き肉、刺し身、さまざまな食べ方で馬肉の魅力を体験してほしい」と兼子氏。データでは牛肉(和牛モモ)と比べ、馬肉はカロリー60%以下、脂質は25%以下、鉄分150%以上と健康食材として優れている。馬肉はもともと高価な食材。熊本から直送する費用を含めると食材費は50%になっているが、できるだけカジュアルな価格を設定し、馬肉を広めたいと話す。
馬焼肉を展開するにあたりこだわったのは焼き器だ。馬肉はたんぱく質が多く焼くと硬くなりやすいため、低温で遠赤外線効果のある陶器の焼き器を導入。焼き加減も重要。部位の札は2色に分けてあり「赤の文字の部位はレア、黒の文字の部位はミディアムの焼き加減がおすすめです」と説明する。メニューは「馬焼肉5点盛り合わせ」(1人前1,480円、2人前~)、赤身のうまさが味わえるハラミの「カクマク」(980円)、バラの部分で甘みのある「カイノミ」(980円)、「馬ソーセージ」(380円)。焼肉と一緒に「焼きバーニャカウダセット」(1人前380円)。馬刺しは「極上馬刺5点盛り合わせ」(1人前840円、2人前~)、絶品の「ユッケ」(680円)、バラの一番外側部分でジューシーな「フタエゴ」(700円)。サイドメニューは特製スパイスを配合した「馬肉のから揚げ」(550円)、馬肉たっぷりの「三馬力特製ホクホクコロッケ」(600円)、「馬すじ入りミニクッパ」(580円)など。ドリンクは女性を意識したヘルシーなオリジナルメニューを展開。「健康野菜サワー」(各種680円)は、緑黄色野菜×フルーツリキュールを目の前でジューサーにかけて提供。疲労回復「ビネガーサワー」はブドウ酢、レモン&ライム酢など(各種400円)。
今後について、「馬肉はおいしくてあっさりとした肉質なので、健康面からも老若男女を問わず長く食べ続けられる食材。馬肉を豚肉、鶏肉、牛肉と肩を並べる食材へとメジャー化させる事をミッションに『東京馬焼肉 三馬力』を東京のターミナル中心にまずは10店舗展開を目標とする。そして、香港、シンガポールなどアジアに向けて日本の食材馬肉を広めたい」と話す。池袋から兼子氏の挑戦が始まった。