2010年11月30日に竣工し、東京・品川の新たなランドマークとして親しまれているのが「品川フロントビル」(中日新聞社:愛知県名古屋市、社長:大島寅夫氏)。そして、その10日後には地下1階~2階に11店舗もの飲食店がオープンし、品川の街を大いに賑わせている。そうした中でも特に話題を一身に集めているのが、愛知・名古屋から念願の東京初進出を果たした「名古屋名物 元祖手羽先唐揚と御食事 風来坊 品川店」だ。
「風来坊」と言うと、店名にも掲げる“元祖手羽先唐揚”の店として名古屋近辺で知らぬものはいないと言われるほどの繁盛店であり、昭和38年の創業以来、店舗数は海外も含めいまや80店を越える。だが、すべてを創業店の企業が経営しているのではなく、またFC店でもない。その多くは「風来坊」創業者の風来坊チェーン会長、大坪健庫氏のもとで修業を積み、その実力を認められたものだけが開業を許された昔ながらの暖簾分けの店なのである。
こうした厳しい味へのこだわりが確かな評判を長年に渡って守り続け、いまやその評判は全国へと広まりつつある。事実、名古屋近辺に出張などで訪れた際に「風来坊」を利用してその味に惚れ込み、再訪の際に何度も足を運ぶといった人も少なくない。それだけに今回の出店は、多くの「風来坊」ファンが待ちに待った念願の東京初進出とも言えよう。
「風来坊 品川店」を経営するのは風来坊エスカ店(愛知県名古屋市、代表取締役社長:松岡太一氏)で、愛知県内においてテイクアウト専門店1店を含む、計8店舗の「風来坊」を運営する企業である。今回、「品川フロントビル」のテナントに声をかけられたのを機に東京出店に挑戦しようと開業を決めたもので、同店の成功いかんでは今後のさらなる東京展開をも視野に入れる。
メニューは看板商品の「手羽先唐揚(5本)」(450円)を筆頭に、同じタレで仕上げる「手羽元唐揚(4本)」(500円)、「手羽餃子(3個)」(500円)、「名物ターザン焼(半身)」(980円)、「もも焼(1本)」(500円)。さらに「若鶏唐揚(5個)」(520円)、「つくね(タレ2本)」「砂肝(3本)」「やきとり(タレ2本)」(各350円)、「ささみの霜ふり(湯引き)」(480円)、「かくしわさび(湯引き)」「梅肉巻(湯引き)」(各580円)の鶏料理で脇を固める。
その他メニューは、「鰻ひつまぶし」(1200円)などの名古屋名物料理3種、「冷奴」(250円)などの一品料理が28種、「生野菜サラダ」(480円)などのサラダ6種、「たこぶつ」(600円)などの刺身8種、「いか塩焼き」(450円)などの焼き物13種、「川海老唐揚」(430円)などの揚げ物2種、「茶漬け(梅・鮭・しぐれ・のり)」(各430円)などのお食事11種で構成。「手羽先唐揚」という看板商品を売り物にするものの決して気どった店などではなく、「『安くて、美味くて、感じがよい』店を!」をモットーにする大衆店なのだ。
同店が根強い人気を誇る要因の一つに、自店を“食事処”と捉えていることが挙げられる。“居酒屋”と謳うと客層が飲酒客に限られてしまうが、“食事処”と謳えば飲酒客も食事客も幅広く取り込むことができる。実際、甘辛いタレで味つけした「手羽先唐揚」はごはんともよく合うと評判で、愛知近辺では郊外や住宅地に店舗を構える店も多く、立地を問わない業態の強みを大いに発揮している。「風来坊 品川店」でも平日はサラリーマン客の居酒屋利用が多いが、土日はファミリー客が来店し、「手羽先唐揚」と料理2~3品にごはんやおにぎりを注文して食事処として利用するケースが少なくない。
現在、客層は男性客が8割を占め、42坪・80席で1日に昼は平日100人、土日50人、夜はともに200人を集客する。オープン景気と忘年会・新年会シーズンの追い風はあるものの、名古屋の繁盛ぶりをそのまま東京で再現したような幸先のよいスタートだ。目標月商は1800万円を掲げており、はたして名古屋で築いた名声を東京でも確立することができるのか? クセになるおいしさの万人受けする看板商品と、幅広い利用目的客を取り込む懐の深い業態力。「風来坊」の動向から、いま目が離せない!
ヘッドライン
[ニューオープン]
2011.01.13
名古屋を中心に80店舗以上展開する繁盛チェーン店が東京初進出!風来坊エスカ店が12月10日、「品川フロントビル」に「名古屋名物 元祖手羽先唐揚と御食事 風来坊 品川店」をオープン
- 客席はカウンター席、テーブル席、座敷席で構成。1人客からグループ客まで幅広い客層に対応する
- 「品川フロントビル」2階の飲食フロアに立地。気どりのない店づくりで気軽な日常利用を促す
- 名古屋ではドリンクよりも先に「とりあえず『手羽先唐揚』!」と注文するお客が多く、これを頼まないお客はまずいないというほどの看板商品だ
- テイクアウト利用のお客も多く、品川店では売上の1割ほどをテイクアウトで占める
(取材=印束 義則)