先月、新宿三丁目において同一フロア内に3店舗をオープンさせ、着実に東京進出に乗り出している大台フードプロジェクト(大阪府大阪市、代表取締役社長・貝谷祐晴氏)。今回はアッパー層向けの既存2店舗を出店している池袋エリアにおいて、若い世代を主力ターゲットにした昭和レトロなテーマパーク型複合飲食店街「くいだおれ横丁」を展開する。地元大阪で名を馳せた炭火焼鳥の「鳥美人」、炉辺魚貝焼の「炭のちから」、炭火焼肉「黒ベコ」といった大阪のうまいものを集結させ、新業態の焼きとん「豚のさんぽ」を携えての布陣となった。同店は関西では肉の旨さで誰もが知る繁盛店であり、その牛肉文化の高さをそのまま東京に伝えるべく満を持して東京に進出。大阪といえば、お好み焼きやたこ焼きといった、B級グルメが名物に挙げられるが、それ以上に美味しいとされる関西の肉文化を伝えながら、若い人にも気軽に楽しんでもらえるメニュー構成で新たな顧客の開拓に挑む。当初は4つの店舗の中に焼きとん業態は入っておらず、バル業態の出店を予定した内装デザインなどが進行していた。しかしながら、バルは粋な立地でないと集客が難しいことから、下町横丁感覚にマッチした焼きとん業態へ急遽変更したという。「価格が安ければいいという時代ではなくなり、大型チェーンが厳しい状況に置かれています。小型の専門店の方が現在では人気があることに着目し、そのような専門店を集約したかたちで横丁スタイルを採用しました。一昔前の屋台村のように、採算に乗らないノウハウの弱い個人店が集まって展開するパターンではなく、1社が業態の異なる4店舗を運営するため、それぞれの店が個性を持ちながらも本格的な料理をしっかりとしたサービスのもとで提供できる体制となっています」と貝谷社長。“食べる”という行為がおろそかになっている現代において、“食べる”ことの喜びや楽しさ、大切さを、食に関わる企業としてしっかりと伝えていきたいという思いが根底にあるようだ。4店舗共通となるメニューには、大阪・新世界通天閣の「串かつ おまかせ5本盛り合わせ」(660円)を筆頭に、元祖鶴橋の「どて焼」(280円)や道頓堀の「たこ焼」(280円)、千日前の「ソース焼きそば」(480円)といった安くて旨い大阪名物をラインナップ。備長炭の七輪で味わう「黒ベコ」では、「はねした」(各1480円)や「しんさんかく」(1800円)といった数量限定の希少部位までを提供する一方で、国産牛食べ放題のスタンダードとプレミアム(各120分2980円、3980円)を揃える。また、新業態となる「豚のさんぽ」では、焼きとんを筆頭にこれからの季節にぴったりの鍋や、東京ではなじみの薄いホルモン鉄板焼きの「親不孝焼」(680円)などをラインナップする。料理は、銀座の割烹料理屋で10年研鑽を積んだ村上雅宏氏が統括料理長として腕を振るうため、客の舌をうならせる質の高い料理を手頃な価格で供することが可能となっている。今回、インパクトのある昭和の横丁を手掛けたのは繁盛店の店舗デザインを数多く手掛けるカームデザインの金澤拓也氏。「貝谷社長から直々にご依頼いただき、横丁というコンセプトのもと、アイデアを出させていただきました。かつての屋台村のような中途半端な作りにはしたくなかったため、4つの店の特徴をうかがい、それぞれの個性というか “顔”のある店舗を作り上げました」と金澤氏。池袋サンシャイン通り沿いの飲食ビルの4階フロアは、エレベーターを降りると目の前に昭和の横丁が広がっている。通りに面したビルの壁面には、アイキャッチ効果抜群の貝谷社長のキャラクターが店の存在をアピール。客層は学生からサラリーマンまでを想定し、目標月商は2400万円で、新宿と同店の繁盛を足がかりに東京での10店舗出店を計画している。長きに渡り大阪で培ってきたノウハウが東京で実を結ぶのか? もしくは東京の飲食店にどのような刺激を与えるのか。同店の動向から目が離せない。
店舗データ
店名 | 炭火焼鳥 鳥美人 |
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住所 | 東京都豊島区東池袋1-21-13 ORE池袋4F |
アクセス | JR・地下鉄・私鉄各線 池袋駅より徒歩3分 |
電話 | 03-6914-2303 |
営業時間 | ランチ11:00~15:00、ディナー17:00~翌3:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 16.47坪・50席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 株式会社大台フードプロジェクト |
関連リンク | 大台フードプロジェクト |
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