ファンドによる飲食企業買収の隆盛
また、ここ10年間の飲食M&A市場を振り返ってみますと、買収側としてファンドの台頭がありました。当社でも2018年にJISによる「ガブリチキン」等を展開するブルームダイニングサービス社への資本参画を支援させていただきましたが、成長が期待される飲食企業へのファンドによる投資は、コロナ以前までは大変活発でした。しかし、2020年、ファンドによる飲食企業への成長投資は皆無となりました。私自身が進めていた案件も停止しましたし、当時動いていたファンドと交渉中の飲食案件は、私が知っている限り全て交渉中止となりました。ファンドは自己資金と融資の組み合わせで投資するため、融資が下りないと投資ハードルは極端に上がります。コロナ禍の終わりが見えない中で金融機関としては一様に飲食企業へのリスク融資を敬遠し、結果としてファンドによる飲食企業への投資は2020年、姿を消しました。
さて、2021年11月現在、未だコロナ禍の影響は色濃く残ってはいますが、冒頭にご紹介したホットランド社とい志井グループのM&Aしかり、徐々に飲食業界でのM&Aの事例が出るようになってきました。アジアの大手ファンドPAGがsubLime社やカフェ・カンパニー社をグループに抱えるGYRO HOLDINGSへの資本参画を発表したことは大変な驚きでしたが、ファンドによる飲食企業への投資も再開されたことを示していると言えます。ポストコロナへの移行が始まっていることを徐々に実感してきています。