中原 陸氏・プロフィール
事業戦略部 部長、事業承継・M&Aシニアエキスパート。千葉県出身、慶応義塾大学卒。2006年上場経営コンサルティング会社入社。経営コンサルタントとして中小企業向けのコンサルティングに従事。2011年当社のMEBO後、2013年よりM&A部門の主力メンバーとして事業化を実現。大企業から中堅・中小企業、および投資ファンドまで多くの支援実績を有し、特に飲食業界のM&Aにおいて数多くの成約実績を有する。2019年より現職。
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コロナ禍で一時停滞した飲食M&A市場、徐々に回復へ
2021年10月5日、「築地銀だこ」などを展開する株式会社ホットランドによるい志井グループの買収が発表されました。これを手掛けたのが当社インクグロウです。飲食M&A市場に対するコロナ禍の影響は甚大でしたが、当社でも話題性のあるM&Aを支援でき、徐々にではありますが、市場は回復へと向かい始めている実感があります。今回はコロナ禍が飲食M&A市場に与えた影響とポストコロナと言われるこれからについてお話しします。
2020年3~6月頃、コロナ禍が深刻化し、遂には緊急事態宣言が発出されて飲食企業にも甚大な影響が出はじめたころ、当社で当時担当していた飲食のM&A案件は全てストップしました。
M&Aの過程は、大まかに分けると、
①相手先を探す・絞り込む、
②基本合意契約を締結する・デューデリジェンスの実施、
③最終契約の締結・決済
という3つのステップがあります。②まで到達すると、高い確率で成約に至ります。当時②の案件を私は2件、別のメンバーが1件担当しており、そのどれにも特に致命的なハードルはなく、3件ともに成約に至るのが基本路線だと考えていました。しかし、3~4月にかけて、3案件とも交渉中止となってしまいました。3件同じタイミングというのは私の約10年のM&A経験の中でもはじめてのことです。一様に、買収候補企業が、「とても買収できる状況ではなくなってしまった」、ということで時期の見直しを希望され、案件が保留状態に入りました。M&A実現への期待が高まっていた売り手経営者には大きなショックだったと思います。