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月島に「BAR 新井建具店」がオープン。サントリーのグルメ開発部出身の店主が演出する大正時代の建具を使った空間と和のカクテルで、唯一無二の風情を醸し出す

2019年12月9日、月島に「BAR 新井建具店」がオープンした。大正時代に古民家で使用されていた建具を随所に設えた店内と、店主・新井健太氏謹製の、和テイストのオリジナルカクテルが看板のBARだ。新井氏は、レストランやバーで約10年間勤めた後、サントリーのグルメ開発部で活躍。数多の飲食店の立ち上げや運営に携わってきた経験を活かし、独立第一歩を踏み出した。

大通りから一本横に逸れた道の、さらに奥の細路地に立地。もともとは民家で、開業前の店づくりの段階から近隣住民の注目の的だったという
一歩店内に入れば、樹木の香りが鼻腔を抜けていく。6席のカウンターのほか、奥に半個室で4テーブル席を用意。完全禁煙
シグニチャーカクテルの「二十四節季」。この日は小寒の米焼酎とウォッカをベースにスパイスを加えたミルクのカクテルで、鏡餅をイメージ
「建具店オリジナルハイボール」。「碧Ao」の開発に携わり、味わいを知り尽くした新井氏だからこそ作れる逸品だ
早くも近隣住民の心を掴んでいる新井氏。「月島は、バーホッピングをする方が多く、口コミが広がるのも早かった」と、語る

(取材=髙橋 健太)


ホテルのフレンチレストランの現場から、飲食の道に踏み出す

「実家が伊豆で、両親とも観光系の仕事に就いていたんです。そのため、自分もなんとなくそっちの道に進むんじゃないかなと思っていました」と、語る新井氏。最初の勤務は北海道のリゾートホテル「ウインザーホテル洞爺」でフレンチレストランのサービスに従事した。当初はフロント業務などを希望していた新井氏は、飲食の現場にそれほど魅力を感じていなかったが、当時、バーテンダーである上司の姿を見て考えが変わったと言う。「その上司のバーテンダーとしての所作の美しさや細かな気配りに感動しました。今、思えば飲食業に興味を持ったのはそれがきっかけでしたね」。その後、グランドハイアット東京やイギリスの4つ星ホテルなど、国内外のバーやレストランで約10年間の経験を積んだのち、独立を視野に入れてサントリーに入社。グルメ開発部でさらに約10年間を過ごすことになる。

商品開発や店舗設計、経営と、飲食に関わること全てを経験したサントリー時代

グルメ開発部での業務は多岐に渡っていた。「新店舗の相談を受けたら、物件探しから店舗レイアウトの図面、メニューの作成。果てはオペレーションや研修まで携わることもありました」と、新井氏。また、「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao」を始めとした様々な酒の開発にも関わっていた。新井氏は、「バーテンダーとして現場で培った経験と、たくさんの飲食店を見てきた知見、商品開発で得た知識が、現在の僕の最大の武器になりました」と、語る。サントリーに勤めていた10年間の中で、店舗のスタイルや商品構成、立地条件などから見る経営状態の良し悪しなども、様々なパターンがあることを理解し、経営に対する自信を得た新井氏。満を持して、自身の独立に向けて計画を立て始める。

日本人のDNAに訴えかける、和の世界観で勝負をかける

他には真似できない店舗設計をする上で新井氏がコンセプトに掲げたのは、「不変の和」だ。「希少な古材を使った建具に囲まれた店内で、和テイストのカクテルを味わう。日本人が、本能的に落ち着く世界観を作ろうと考えました」と、新井氏は語る。建具は、知人から紹介された1923(大正12)年築の古民家から調達。店名にもなっている叔父が営む建具店で修繕をし、店舗に設置した。「古材ではなく“古材風”に加工した内装では出すことができない本物の風情は、それだけで店の武器になると考えたんです」。現在では技術的に再現が難しいと言われる細かな造りの建具は、それ自体も希少価値がある。まさに、唯一無二の「和の世界観」を演出することを実現した。

シグニチャーカクテルは「二十四節季」(1300円~)。日本で古くから季節を表す「二十四節季」という言葉を冠し、一年の時期折々に合わせて味を変えている。また、カクテルの定番のジントニックに煎茶を加え、オリジナリティを生み出した「煎茶のジントニック」(1200円)も名物のひとつだ。それぞれに煎茶を漬け込んだ二種類のジンを、注文が入ったあとに混ぜるという一手間をかけているのは、「二種類のジンが、それぞれの味わいを引き立てられるようにするためです。別々に仕込んだ素材を仕上げでしっかりまとめる、和食の考え方をヒントにしています」と語る。さらに、自身が開発に携わった「碧Ao」を使用した「建具店オリジナルハイボール」(900円)も看板のひとつだ。その他、ビールは「サントリー マスターズドリーム」(900円)を採用。「モスコミュール」(900円)や「ソルティドッグ」(900円)、「マティーニ」(1000円)など、バーでは定番の顔ぶれはもちろん、所望のカクテルをリクエストすることも可能だ。

尽きることなき知識を活かし、さらに鋭く店舗を研ぎ澄ませていく

今後について新井氏は、店舗展開ではなく、現在の店舗をさらにブラッシュアップしていく方向で考えていると言う。空間と商品の両方で、和の世界観を表現するコンセプトは、日本人だけでなく、海外のお客にも伝わりやすく、そちらの層にも訴求する施策を練っている最中だ。「根幹のスタイルを揺るがすことなく、さらに研ぎ澄ましていこうと思っています」と、語る。長年積み上げてきた知識と経験の引き出しは、まだほんの一部分しか開かれていない。新井氏の今後の店づくりに注目だ。

店舗データ

店名 BAR 新井建具店
住所 東京都中央区月島3-7-5

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アクセス 都営地下鉄大江戸線月島駅から徒歩5分
東京メトロ有楽町線月島駅から徒歩5分
電話 090-6349-7337
営業時間 【月~土】18:00~翌2:00(LO翌1:30) 【日・祝】17:00~翌1:00(LO24:30)
定休日 不定休
坪数客数 7.5坪 10席 
客単価 3000円
オープン日 2019年12月9日
関連リンク BAR新井建具店(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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