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注目店クローズアップ

【注目店クローズアップ】総合居酒屋からの脱却に向けた挑戦。レインズインターナショナルが展開する「かまどか」が、4月25日より氷温熟成鶏をメインにしたメニューの提供を行い、注目を集めている

総合居酒屋が岐路に立たされている――。ちょい飲みニーズを捉えた「吉呑み」や「築地銀だこハイボール酒場」などの参入をはじめ、気軽に立ち寄れる大衆酒場の復権、素材にこだわった独自のメニューを提供する専門店の登場などもあり、総合居酒屋のパイが奪われている。これから総合居酒屋チェーン店は、どのようにして生き残っていくのか。その1つのヒントとして、レインズインターナショナル(神奈川県横浜市、代表取締役 根本寿一氏)の取り組みをレポートする


駅前の一等地を確保し、リーズナブルな価格で幅広いメニューやドリンクを揃えて、客を集客していく。そのような総合居酒屋のビジネスモデルが崩壊した。昨今、多くの大手居酒屋チェーン店がメインブランドの看板を変更して、新たな方向性を模索している。

こうした背景の中、総合居酒屋からの脱却に成功しているのが、レインズインターナショナルの展開する「かまどか」だ。業界初となる「氷温熟成鶏」をメインにしたメニュー展開を行って、話題を呼んでいる。「氷温熟成鶏」とは、氷温でひと晩熟成させることで、さらに旨みを引き出した鶏のこと。同ブランドでは、広大な山の麓で育てられた山麓鶏を使用し、骨付きのまま氷の中でひと晩熟成させている。かまどか運営部部長の小谷哲雄氏は「コンセプトは、原点回帰です」と語ると、次のように話を続けた。

「現在、当社では『かまどか』のリブランディングを行っています。その目玉となるのが、氷温熟成鶏です。それを中心としたメニューのラインアップにすることで、鶏料理屋としての専門性を高めていきたいと考えています」

「かまどか」のブランドが誕生したのは2003年頃である。店名の由来は、日本の食卓の原風景である「かまどの火」から来ているという。同ブランドができた当時、居酒屋マーケットは「ワタミ」などの総合居酒屋の勃興期であった。もともと「かまどか」は「釜飯と串焼 とりでん」というブランドであったが、そうした市場の状況や鳥インフルエンザの影響を踏まえて、路線を変更し総合居酒屋に参入。大手居酒屋チェーンが牽引するマーケット拡大の一役を担い、ブランド発足から10年あまりで、およそ70店舗を展開するまでに成長した。しかし徐々に、マーケットの風向きが変わりだす。総合居酒屋の不振が目立つようになってきたのだ。同社では、その動きをいち早くキャッチして、2014年に初めの一手を打っている。

「当時、北千住にオープンした『かまどか』の新店を、鶏をキーワードにした店舗にしました。居酒屋という言葉を看板から外し、店内も木目調のダイニングにして、これまでのブランドイメージとは異なる店にしたのです。そこで鶏料理に対する手応えを感じて、『氷温熟成鶏』をテーマにした店舗を出店することに決めました」

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木の温もりとシックな雰囲気で、若者から年配の方まで幅広い層がくつろげる空間

 

そのパイロット店として、今年の3月から渋谷店を「氷温熟成鶏と釜飯 かまどか」にリニューアルした。看板や内装を木の温もりを感じさせるスタイルにし、メニューも「鶏もものくわ焼き にんにく塩焼き」(890円)や「鶏もものくわ焼き トマトチーズ焼き」(890円)など、氷温熟成鶏を中心にした内容に変更して好評を博しているという。

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メインコンテンツである「氷温熟成鶏」と「釜飯」の文字はもちろん、看板メニューも掲げられているフロント部分

 

「氷温熟成鶏でこだわったのは、使用する鶏や熟成方法だけではありません。配送方法も氷詰めのまま行い、熟成させた鶏の旨みを保った状態で届けられるチルド配送体制を構築しました。また店舗でも専用保冷器で鶏を氷詰めで保管し、 1 日 3 回の温度管理(氷温)を徹底しています」

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氷温熟成鶏を使用した新メニュー「鶏もものくわ焼き にんにく塩焼き」(890円)

 

また今回、氷温熟成鶏以外にも、力を入れたメニューがある。それが釜飯と焼鳥だ。「かまどか」の原点である釜飯は13種類をラインアップしており、山形県産のはえぬき米を使用し、毎日、一番出汁を取るところから炊き上げまで全て店内で行っている。メニューには「焼鳥釜飯」(990円)や「鶏の釜飯」(ハーフ790円/レギュラー990円)など氷温熟成鶏を味わえるものはもちろん、「海鮮釜飯」(1480円)や「いくら釜飯」(1180円)も並ぶ。焼鳥では氷温熟成鶏を使用し、毎日、店舗スタッフが手捌きや串打ちも行っている。「もも」「ねぎま」「とりトロ」「むね」(各190円)などをはじめ、「お任せ五本盛り逢わせ」(890円)も揃う。

かにうにいくら釜飯

豪快に海の幸がのった「かにうにいくら釜飯」(1780円)は食べるだけでなく、目で見ても楽しめる

 

お任せ5本盛り

氷温熟成鶏の焼鳥の旨さを幅広く味わえる「お任せ五本 盛り逢わせ」(890円)

 

「渋谷店ではディナーの客単価があがり、女性客も多くなってきています。その好調ぶりを踏まえて、5月から既存店を順次リニューアルしていく予定です。しっかりとした専門性を打ち出せれば、ランチ帯の営業やテイクアウトだけでなく、これまで出店できなかったエリアにも進出することができるでしょう。そして何よりも『かまどか』を、より食事が楽しめるブランドにしていきたいですね」

人々のナチュラル志向の高まりから、「本当に良いものを食べたい」というニーズが広がりをみせている。そうした社会背景の中、専門性を追求していく「かまどか」の挑戦は、総合居酒屋から脱却する1つの方法を示しているだろう。専門店としてのポジションを確立しつつある同ブランドの次なる一手から目が離せない。

店舗データ

店名 氷温熟成鶏と釜飯 かまどか 渋谷店
住所 東京都渋谷区神南1-22-10 皆川ビル2階

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アクセス 各線渋谷駅から徒歩2分
電話 03-5728-2194
営業時間 平日・日・祝日 ランチ 11:30~15:00 ディナー 17:00~翌1:00 金・土・祝前日 11:30~翌5:00
定休日 なし
坪数客数 57坪 84席
客単価 3200円
運営会社 株式会社レインズインターナショナル
関連リンク 店舗HP http://www.kamadoka.com/
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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