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スペシャル企画

【特別セミナーレポート】Airレジ ミニセミナー Vol.5 スタッフ採用・教育実績延べ2万人の店舗経営コンサルタント直伝!スタッフが辞めないお店の秘訣


11月20日、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、代表取締役 淺野健氏)が主催する「店舗オーナー向け Airレジ ミニセミナー」が渋谷の「BOOK LAB TOKYO」で開催された。第5回目となる今回は、「スタッフ採用・教育実績延べ2万人の店舗経営コンサルタント直伝! スタッフが辞めないお店の秘訣」をテーマに、チームのちから 代表取締役 植竹剛氏が講師を務めた。



(チームのちから 代表取締役 植竹剛氏)

 

講師の植竹氏は、大学卒業後、ロッテリア、パチンコホール企業、コンサルティング会社に勤務し、計11の店舗で店長を務めた経験を持つ。これまで、100回以上の店舗立て直しを行い、延べ2万人を超えるスタッフの採用・教育・現場マネジメントを担当してきた人物だ。独立後はコンサルタントとして活動している一方、現在も自身で占いカフェを経営し、現役の店長としての業務も行っている。



(当日の会場の様子)

 

日本国内での生産人口の減少に伴い、飲食店をはじめとする店舗の人材不足の問題はますます深刻だ。当日は、飲食業や小売業などを中心に多くの参加者が会場に詰めかけた。

 

■スタッフが辞める理由を知ろう



冒頭で、「スタッフが辞める理由をきちんと把握していますか?」と語りかけた植竹氏。「スタッフが辞めたいと言った際、退職面談をしているお店はありますか」と参加者に疑問を投げかけたものの、実際に退職面談をしているという店舗はなかった。

「アルバイトが退職の意思を示した際、必ず“退職面談”を実施し、そのアルバイトに辞める理由を尋ねるようにしてください。そこから、店の改善点がわかることがあります」と植竹氏は話す。「しかし、実際にはアルバイトが本心を明かしてくれないことも少なくない。なぜアルバイトが辞めるのか、その理由について説明していきましょう」。

 

■なぜスタッフは辞めてしまうか?



アルバイトが辞めたいと思う、最大の原因は、「アルバイトを不安にさせること」だという。では、その「不安になる」要素とは一体なんなのだろうか?

 

・人間関係

もっとも多い退職原因が職場の「人間関係」。しかし、退職希望のアルバイトは「人間関係がなじめないので辞めたい」とはアルバイトは言わないという。「人間関係が原因で辞めたい、と言ってしまうと、なんで?なんで?の押し問答になってしまい、怒られてしまうのではないかという恐れを持つので、アルバイトは絶対にそうとは言わないでしょう」と植竹氏。

 

・ルールの未整備

ルールが明文化されておらず、しっかりとスタッフに伝わっていないことも退職を引き起こす。「よくあるのが、オーナーが店長を兼ねており、オーナーがルールそのものというお店。人間の考えは日々変化するものなので、するとルールも変わっていきます。オーナーの心理変化は、ちゃんとアルバイトに伝えないとわかりません。暗黙知でルールが明らかになっていない場合、アルバイトは不安になり、これも退職の原因となります」と植竹氏。

 

・教育の未整備

アルバイトの初期教育で、放置プレイされることも、不安になる要素だ。新人スタッフに対し、ほんの少しの説明をして、「あとよろしく!」というのは厳禁。「初期教育の仕組みやルールを作るだけで、入社3か月以内の退職がぐっと減ります」と植竹氏は話す。

 

・評価の未整備

これが退職を招くもっとも大きな要素だという。植竹氏が「スタッフの能力に応じて、時給が上がっていく評価制度が整っている店はありますか?」と参加者に疑問を投げかけたところ、会場では手が挙がらなかった。それに対して、「絶対やってください!!」と植竹氏。冒頭で、「人材は評価しないと絶対に成長しない」と述べた通り、昇給制度の整備が、アルバイトの退職を防ぐ一番の方法だという。

「もし、スタッフが辞める理由に興味がなかったら、その人はアルバイトを雇用する資格はありません。大変でも、オーナー一人で店の運営をやるべきです」と植竹氏は話す。

 

■スタッフが辞める店は“コミュニケーション不足”



先ほど挙げた「スタッフが不安になる要素」のすべては、根本には“コミュニケーション不足”がある。「例えば、新人スタッフが休憩室に入った際、そこにいた先輩スタッフへあいさつをしたとします。そのとき、先輩スタッフはスマホに夢中で生返事をするだけで、新人スタッフへの声掛けがない、というようなシチュエーションはありがちではないでしょうか。しかし、こういったことこそが、“コミュニケーション不足”そのものを表している事例なんです」(植竹氏)。

そこで、植竹氏がこれまでの経験をもとに編み出した、コミュニケーションを充実させる3ポイントが以下だ。

 

・観察

人材の変化に興味があるか。見た目やファッションなどささいなことでよいので、人材を「観察」し、小さな変化に気づいてあげることが大切だ。

 

・会話

「変化」を実際に「会話」で確認することも大切。「A君、今日はいつもとちがうメガネをしているね」などでいい。最初は、とくに若いスタッフにはうっとおしいと思われるかもしれない。しかし、「観察」と「会話」のシャワーを続けると、言われなくなるのが怖くなるのが人間だという。アクションはこちらから起こしてあげることが肝要だ。

 

・協働

オーナー自ら、スタッフとともに仕事に取り組む「協働」も欠かせない。たとえば、飲食店ではグリストラップの清掃が好例だ。悪臭がひどく、手間がかかるので嫌厭されがちな作業だが、それをオーナー自らがスタッフとともに取り組むことで連帯感が生まれ、スタッフにもとても喜ばれるはずだ。

 

「観察・会話・協働」、この3つを実践するだけで、スタッフが辞める確率はぐっと低くなるという。これらは、実際に今日からすぐにでも実践してほしい事項だ。

 

■スタッフが辞めない店を作る具体的施策例



先述の観察・会話・協働に加え、「スタッフが辞めない店づくり」を実践するために今すぐに始められる、具体的な取り組みの一例が紹介された。

 

・朝礼



植竹氏がとくに「必ずやってほしい」と強調するのが「朝礼」。毎日、店が始まる前にその日の確認事項をスタッフと共有することが大切だ。それが前述の「アルバイトを不安にさせない」ということにつながってくる。その日売りたい商品、売り上げ目標、集客人数など、朝礼で共有したい。スライドにあるようなAirレジの集計画面をスタッフに見せながら、具体的な数値を確認するのも有効だ。「オーナーの頭の中だけではだめ。もし、その日のおすすめ商品があれば、スタッフ全員で共有することで、スタッフ全員でお客様におすすめができ、売り上げも伸びるでしょう」と植竹氏は話す。

 

・終礼



朝礼と同時に欠かせないのが「終礼」だ。朝礼で決めた目標が達成できたのか、反省・検証しないと効果は半減してしまう。うまくいったことや、いかなかったこと、それぞれにその理由を振り返るべきである。これが、「スタッフを評価する」ということにリンクする。人間は評価を受けることで次の目標を設定し、辞めないどころか、勝手に成長していくというわけだ。

 

・ガイド

スタッフ間で認識を合わせるための「ガイド」の作成も欠かせない。同じ職場で働く仲間として、大枠のベクトルを合わせるためのミッション。それを作って浸透させることは必須だ。

 

・マニュアル

作業を行うためのマニュアルの作成もなくてはならない。マニュアルとは、「正しい作業の仕方が、見ればわかるもの」。作業手順が明確であることで、スタッフの不安は軽減される。マニュアルは「例外がないもの」とするのがポイントであり、たとえば変更や例外があった際は、すみやかにスタッフにきちんと共有すべきである。「以前、コンサルを行った店舗では、レジ締めマニュアルを作成したことで、頻繁にあったレジ誤差がなくなりました」と植竹氏。

 

・チェックリスト

作業の漏れやダブりを防ぐためのリスト作成も、スタッフが安心して仕事ができる環境づくりの一環。チェックリストには、「クロスチャック方式」と「ダブルチェック方式」がある。

ダブルチェック方式…AとBの作業を行った人が、CとDの作業をチェックし、CとDの作業を行った人が

クロスチェック方式…Aの作業とBの作業をやった人がCの作業とDの作業を確認し、一方でCの作業とDの作業を行った人が、A、Bそれぞれの作業を確認するもの

この2つでは、「クロスチェック方式」が、「ダブルチェック方式」に比べて圧倒的に抜け漏れが少ないという。

 

・定位置管理

店の物品の置き場所について明確にしておく必要がある。物が散らかることで、必要なものをすぐに見つけられず、仕事がスムーズに進まないことがあるという。



このスライドの写真は、植竹氏がコンサルをした店舗の様子だ。「掃除道具は雨ざらしになっており、蛍光灯が地べたに置かれている。もし蛍光灯をうっかり踏んでしまったら大変危険です。さらに、それらは外から見えないよう、パーテーションで隠している状態です。これらのものの定位置を設定し、その定位置で管理することを徹底させました」と植竹氏。



定位置管理後の写真がこちらだ。



さらに、上記スライドの写真のように、すべての用具について、何に使用するものかを明記。色分けをし、見ただけでわかりやすくした。さらに、チェックリストには「道具が定位置に戻っているか」という項目を追加。「ここまでわかりやすくすると、アルバイトの不安は相当減ります」と植竹氏は話す。

 

■定位置管理の基本は、「5S管理」



建設現場などでよく言われている、5つの「S」の「5S管理」が、定位置管理の基本となる。5つのSとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾のこと。※飲食業の場合は、これらに消毒、殺菌が加わり7Sともいう。「整理とは、“不要物を捨てること”。整頓とは、“定位置を決め、もとに戻させること”。そうすることで初めて清掃が可能になり、清潔になる。そして躾ができる、というわけです。よく、段ボールに物を入れて保管している店舗があります。ですが、段ボールはあくまで移動手段の道具であり、保存保管のためのものではありません。以前、勤務していた飲食店では、私の赴任当時、段ボールで物を保管しており、段ボールが水に濡れて染みてしまい、結果、ゴキブリの卵の温床になってしまっていました!床に荷物が直置きされていると、清掃が捗りません。ですが、アルバイトは捨てていいものとよくないものの判断ができないため、整理ができません。この『5S管理』は、必ず持ち帰って、すぐにでも実践してほしい事項です」(植竹氏)。

 

■≪コンサル事例≫沖縄県のふくろうのテーマパーク



ここからは植竹氏が実際にコンサルで経営建て直しを行った事例を紹介する。沖縄でふくろうのテーマパークを行う店舗だが、この施設は、スタッフは辞めていき人材不足に陥り、売り上げは赤字となっていた。経営建て直しのため、2017年2月から現在まで、植竹氏は延べ34回ほど沖縄へと足を運び、コンサルを実施した。結果、売り上げは前年対比平均137%にもなったという。



まずは、植竹氏が実践したのは、前述した「スタッフが辞めない店づくり」だ。人事が落ち着かなければ、そもそも営業戦略が組めない。この施設ではスタッフがどんどん辞めていき、人材不足も深刻だった。観察・会話・協働など、「スタッフを不安にさせない」を念頭に、オーナーはもちろん、植竹氏自らも粘り強くスタッフを指導。さまざまな施策を打ち出した結果、スタッフのモチベーションが向上。辞めるスタッフはいなくなり、それどころかスタッフからはさまざまな改善意見があがるようになったという。

 

■「ガイド」の作成で、スタッフの認識合わせを

コンサル当初、施設にはお客がまったく入ってこなかったという。その原因は「スタッフが楽しく働いていないからだ」と植竹氏は考えた。まずはスタッフが共有すべきガイドを作成。ガイドの内容は、「ゲスト(お客)を楽しませるために、まずは私たち(スタッフ)が楽しむというものだ。それまで義務感で“やらされている”というような姿勢がお客を遠ざけていた。「スタッフ自身が楽しむ」という文言を入れたガイドを作成し、スタッフ一人ひとりに浸透させることから始まった。

 

■マニュアルはスタッフ自ら改定

業務内容を明確にし、スタッフの不安を軽減させるためにマニュアルを作成。そのマニュアルは、現在、改定を重ねて第54版になっている。2017年4月1日に初版を作成したが、アルバイトが6月ごろから「変えてもいいですか?」という声があがるようになったという。そうして、合計53回の改定が、すべてアルバイトにより加えられた

スタッフのモチベーションがアップすると同時に、自発性が生まれ、アルバイトがマニュアルを付け足していった。さらに、閉店の締め作業に関するチェックリストも、アルバイトが自ら作成をしたという。

 

■人件費を上げると、売り上げが上がる

「人件費を上げると、売り上げが上がる」と植竹氏は語る。なぜか? 給料が上がれば、スタッフから売り上げアップに関する忌憚なき意見が出てくるからだという。「この施設のスタッフの平均年齢は約21歳。中には高校生もいますが、16歳の高校生が売り上げアップのために、改善点をあげてくるようになりました。人間には『認められたい』という承認欲求がある。スタッフの頑張りに対してしっかりと評価する土台が整っていれば、年齢にかかわらず、必ず結果を出そうと努力をします」と植竹氏は話す。

「評価制度を整えた結果、7月の売り上げは前年比148%、営業利益176%となり、スタッフ1人につき2万円の臨時ボーナスを支給。16名いるので合計32万円かかりますが、それでもあり余るほど、売り上げがアップしています」(植竹氏)。

 

■人事考課表の3つの工夫



(出典:株式会社チームのちから)

 

スタッフのモチベーションアップや、昇給制度の運用のため、スタッフ一人一人と、人事考課面談を実施した。そのなかで、「人事考課表」を使用。それを見ながら面談を行う。これが実際にふくろうのテーマパークで使用されている人事考課表だ。この人事考課表には、3つの工夫が施されているという。



ほぼ自分で記入してもらう

シートは、8割の項目がスタッフ自身で書く仕様になっている。「店長コメント」以外は、スタッフ自身が書き込む欄になっているのは、「自己評価」を基本としている表れだ。「ガイドでは『仕事を楽しもう』と謳っている以上、自主性を重んじています」と植竹氏は話す。

さらに、自ら設定した目標を書き込む欄も用意している。自分で立てた目標ならば、忘れないし、達成への意欲も高い。



②毎月評価を行い、成長を証明する

人事考課のタイミングは「1カ月」。3カ月や半年では、期間が長すぎて前回の内容を忘れてしまうだろう。「この施設のオーナーは、毎月約80時間をスタッフ考課に当てています。スタッフ考課には、それだけの時間を割く価値があります。各スタッフについて、成長については確認して褒め、次の考課面談までにクリアしてほしい課題を提示します」(植竹氏)。



③昇給額が明確

「昇給額が明確であるということは、“働き続けることが嬉しくなる演出”だ」と植竹氏は言う。人事考課表には、「能力効果」という業務に関する各項目があり、その項目をひとつクリアするごとに、時給が〇円アップ、という仕組みだ。それを人事考課面談の際に確認する。その店の「人材に投資している仕組み」をスタッフに対してわかりやすく開示することが、生産性の向上、ひいては売り上げ増につながる。

 

■業務外の悩み事にも相談に乗る

シートには、「店長に悩みを打ち明けられましたか?」という項目がある。これこそが、考課面談でもっとも深堀する点だという。たとえば大学生アルバイトであれば、大学の単位取得についての相談など、内容は業務にまったく関係ないことにも及ぶ。

「業務に無関係でも、その人材にとっては大きな問題。人事考課面談で、オーナーが『人生の先輩』としてアドバイスをすることに思いウェイトをおいている」と植竹氏。

 

■スタッフの教育、評価は根気強く!



「ふくろうのテーマパークのオーナーは、有名テーマパークでキャストを務めるなど、長年のキャリアがあり、非常に有能な人物でした。しかし、スタッフ教育については慣れていなかった。アルバイトは次第に減り、もっとも少ないときは3人しかいなくなってしまい、大きなチャンスロスとなっていた。現在、スタッフは16名に増え、人材不足による機会損失はなくなった」と植竹氏。

現在、この施設では、スタッフの勤怠管理を、シフト表から「ワークスケジュール」にシフトしている。シフト表が、時間に人を割り当てるものに対し、「ワークスケジュール」は、作業に人を割り当てるというものだ。

「大切なのは、人材評価に時間や手間を惜しまないこと。1カ月ならスタッフ20人までできる。それくらい時間を割いてほしい。それを最低1年は続けてほしい。そうすれば、スタッフが辞めなくなるでしょう」と植竹氏は会を締めくくった。

(取材=大関愛美)

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