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デザイナー兼飲食経営者「スパイスワークス」下遠野氏インタビュー 効果的な分煙による飲食店の未来像とは!?

昨今の飲食業界にとって、分煙は、経営を左右する重要問題となってきている。この問題について、“逆転の発想”とも言うべきアイデアを掲げ、すでに実践している業界のフロントランナー・下遠野亘氏に聞いた。


――下遠野氏は、飲食企業の社長であり、店舗設計・施工の技術者でもありますが、喫煙環境についてはどのように考え、店づくりを進めているのでしょうか?

やはりターゲット層次第ですね。この夏にオープンした当社の新しい業態で、総合居酒屋の「牛タン工房 鎌倉ハム 荻窪店」を例に挙げると、場所柄、ファミリー層が多く、女性やママ友会などでも利用してもらうことを考えると、自ずと、しっかりとした分煙の店舗設計になりました。実は、私自身、今は電子たばこを愛用していますが、愛煙家なんです。ですから、「たばこ」については最初から考えていました。喫煙者の方々は、周囲の人たちのこと考えて、副流煙や受動喫煙を配慮して、外で吸ってたりしますよね。環境的には、冬は寒いし、夏は暑いので大変なんです。それに、喫煙ルームがある場合でも、取って付けたようなスペースで、気が引ける場所で、ジロジロ見られている感じがする場所でしかなかった。

 

そこで、今回の店舗では、逆に喫煙している姿を見せたい気持ちにさせるような、豪華な喫煙ルームを設けました。広さ的には、4~5坪の専用スペースになっていて、ソファーもあって、コーヒーも飲めるようになっています。周囲の目を気にして、気を遣いながらたばこを吸っている喫煙者の方々のために、とっておきのゴージャスな喫煙ルームを作りたかったんです。たばこを吸いたくなる場所=あそこの空間行きたいね、と思わせる場所を作ってみました。

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今現在までのところ、お客様からの評価は上々です。しっかりとした喫煙ルームがあるので、子ども連れファミリー層のお客様にも安心してご利用頂いています。今後、この業態は、中央線・総武線沿線に、3年間で30店舗を目標に展開予定ですが、全ての店舗で、豪華喫煙ルームを目玉にしていきたいと思っています。

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入口から見える場所に「豪華な喫煙室」を配置し、喫煙者の取りこぼしを防ぐ設計。

 

――御社が、店舗設計・施工の依頼を受けた飲食店は、喫煙環境の傾向などありますか?また、店舗デザイナーとして、どのような点に配慮していますか?

業態にもよりますが、全面喫煙可のお店が減ってきて、分煙・禁煙を選ぶお店が増えてきている印象です。分煙を希望されている店舗様に対して、店舗設計をする立場としては、空気のきれいさを重視して、本来であれば、専用の換気扇(全熱交換器)などを設置して、しっかりと空気をきれいに、排気をちゃんとしたいところなのですが、皆さん、そこまでの予算は掛けられないのが現状です。そうなると、予算とのバランス、空気とのバランスを考慮しないといけませんから、ある程度のところで妥協が必要になってきます。

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――「たばこと酒」の関係については、どのように考えていますか?

お酒がある場所、特にカウンター席などは、たばこが気にならない空間というのもあると思います。店舗造りにおいて、通常は1坪に2席なのですが、横丁タイプの店舗ですと1坪に3~4席ほどでも大丈夫と言われています。密着度が高くなり、逆に個室感覚が生まれてくるんです。それが逆に心地良くなり、次第に隣が気にならなくなってきます。その空間でたばこを吸う人がいても特に気にならないんです。そして、なぜか絵になる空間が生まれます。「たばこと酒」は隣り合わせの場合が多いですし、一概に、全ての店で喫煙NGと規制するのはいかがなものかと思います。あくまでもTPO=業態、各層などを考慮していればOKではと思いますね。

 

――今後の日本の分煙環境は、どのようになっていくのが望ましいでしょうか?

先に述べたようにTPOに合わせて対応できるのが一番望ましいと思っています  し、各々のモラルが上がっていくことを願うばかりです。今後は、当社が展開する禁煙の店舗でも、電子たばこであればOKにしようかと検討もしています。喫煙する人も、そうでない人も、お互いの立場を気遣い、思いやれることが大切だと思います。

 

 

【下遠野亘氏 プロフィール】

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1974年、千葉県出身。株式会社スパイスワークス代表取締役、社団法人日本馬肉協会理事、社団法人日本居酒屋協会執行理事なども務める。高校を卒業後、建築関連の専門学校に進学。在学中及び卒業後に建築工務店で勤務した後、飲食業界に転身する。料理長、統括マネージャーなど調理技術・管理能力を磨いた後、ローマやシドニーなどの海外でも働き、見分を広める。2005年に帰国し、東京・水道橋で「仕事馬」をオープン。これを皮切りに、「飲食」に関わるトータルプロデュース力が評判となり、自社関連のみならず、多方面の様々な業態プロデュースも手掛けている。その活躍ぶりは、日本国内に留まらず海外にも及んでおり、常に飲食業界の最前線を走り続けている。

[提供:JT]

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