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スペシャル企画

目からウロコの「分煙術」vol.2 予算15万円で実現! 喫茶店やカフェでの効率分煙手法


「飲食店がサービスの一環として分煙を考えるのは今や常識」。そんな流れになりつつある昨今だが、食材費や人件費などさまざまな面でコストカットを強いられる店側にとって、分煙のためだけに数百万円もの投資をするのはかなり厳しいのが実情だ。そんな中、15万円という低コストで分煙を実現し、よりよい店作りに上手く繋げているのが、株式会社三桂(東京都板橋区・代表取締役社長川崎公美氏)が営む喫茶事業、B&B COFFEEだ。“低コストの分煙設備導入で効率的な営業に繋げる”、その方法とはいかに?

喫茶で気持ちよく一服
吸わない客も心地よく・・・

神奈川県の受動喫煙防止条例が施工されたのが2010年。その頃からにわかに騒がれ始めてきた飲食店での受動喫煙問題だが、株式会社三桂が営む喫茶ブランド、B&B COFFEEでは、その随分前から分煙について真剣に取り組んできた。

「うちはもともとサンドウィッチの製造販売がメインで、商品を実際に味わっていただく場として喫茶事業を始めました。喫茶であるからには、“タバコとコーヒーで一服”という時間を楽しんでいただきたい。かといって、サンドウィッチがウリなので、タバコの煙が苦手なお客様にも気持ちよく過ごしていただきたい。そんな思いから分煙には非常に気を配ってきました」と、B&B COFFEEブランド作りを担う統括部長の萩原武寿さん。

1店舗目の丸の内店では、タバコを吸う人と吸わない人とのエリアを分けるため、店内を完全に天井まで仕切り、間口1メートルほどの出入り口を設置。手前側に禁煙席を、奧の排気がある方に喫煙席を配して、セルフ式で扉が設けられなかった代わりに煙が高いところへ流れる特性を利用し、フロア高低差をつけ、禁煙スペースに煙が流れないようにと工夫した。ところが、実際には喫煙席の排気が若干弱く、喫煙スペースにわずかに流れる煙や匂いをどう遮断するかという問題に突き当たった。

「ちょうどその時期、ある展示会で分煙がテーマのブースに遭遇しました。株式会社トルネックス(東京都中央区、松井周生代表)が分煙に関する機器を扱っているというので相談したところ、風の流れで空気の壁を作る分煙機器“エアカーテン”をご紹介いただいたんです。喫煙席と禁煙席の出入り口の天井部分にエアカーテンを設置すると気流を遮断する空気の壁ができ、さらに喫煙スペースに適切な排気量を確保することで仕切りの開口部分に毎秒0.2メートル以上の空気の流れと同等の効果を生じさせることができ、扉がなくても煙や匂いが流れてこない。その論理に納得し、コストも15万と予算内だったので導入を決めました。実際設置してみると、煙も匂いもしっかり遮断でき、スタッフからも、お客様からも高評価。満足しています」(同上)

ちなみに、同手法は現在施行されている神奈川県の受動喫煙防止条例にも適合しており、基準を満たす分煙を創りだすうえで、最も低コストで導入できる分煙機器のひとつである。(※店のレイアウトによっては、パーテーションや施工費用などが別途必要)

分煙で生じる客の回転効率の問題は
喫煙カウンターの設置でクリア

早い段階から取り組むと、さまざまな問題への対処も早くなる。B&B COFFEEでは、タバコの煙や匂いの漏えいをクリアすると、次に“席の回転効率”の問題にぶつかった。しっかりした分煙をするには固定の間仕切りを設ける必要があるが、そうすると席比率が決まってしまい、時間帯や曜日で席の回転率に影響がでて売上に響いてしまう。そこで考えたのが椅子を置かず“喫煙カウンターの設置”をすることだった。

ガラス張りの喫煙エリア

「お酒を飲みながら長居をする業態だと難しいかもしれませんが、滞在時間が長くても1~2時間の喫茶やカフェであれば、喫煙カウンターを設置するのが有効だと思います。というのも、喫煙する人の多くは、コーヒーなどとともにさっと一服したいというニーズがあります。であれば、店内にいつでもタバコが吸える場所(喫煙カウンター)をきちんと確保してあげれば、禁煙席を多めにしても、喫煙客をとりこぼすことは少なくなります。また、グループの中にタバコを吸う人と吸わない人が混在する場合、最近の風潮として、「じゃあ、禁煙で」、となりがちですが、喫煙カウンターがあればタバコを吸う人も、「ちょっと吸ってくるね」、と気持ちよく過ごせます。要は、分煙の捉え方だと思うのです。席をいかに分けようかと苦心するのではなく、タバコを吸える場所をどのように作れば両者が居心地よく滞在できるのかを考える。B&B COFFEEでは、共有スペースに喫煙所が設けられている秋葉原UDXのビルインタイプの店舗でも、ガラス張りの喫煙エリアを設け、一角にカウンターを設置しています。客層はサラリーマンやOLがほとんどでMTG利用も多いのですが、グループの中で目上の人がタバコを吸わない場合、当然のように禁煙席を利用します。すると、タバコを吸う人は、いくら同じビル内とはいえ共有スペースの喫煙所までいくのは気が引けるけど、店内の喫煙カウンターであれば雑談中にちょっと一服!なんていうのもやり易い、などという声をよく聞きます。実際、このようなスタイルにして、客入りも、店の売上も非常に好調。今後も同じ考え方で店舗展開を図っていこうと考えています」(同上)

分煙について、席で区切ろうとするから難しくなる。自分の店の客の需要を改めて見つめ直し、たばこを吸う人、吸わない人が一緒に居心地よくいれる環境をいかに提供するかということを、今一度考えてみてはどうだろうか。今回のB&B COFFEEの事例は低コストで分煙を実現し、なおかつ集客UPにも繋げている好事例といえよう。飲食店にとって、分煙は“他店との差別化”を図る上で重要な要素の一つとして考えられるようになってきているのかもしれない。

【店舗データ】

B&B COFFEE 丸の内店

住 所: 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビルB1F
電 話: 03-5221-0380
営業時間: 7:00~20:00、土11:00~18:00
定休日: 日・祝・ビル休館日
客単価: 400円
B&B COFFEE 秋葉原UDX店

住 所: 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル5F
電 話: 03-6859-3335
営業時間: 7:00~20:00、土11:00~18:00
定休日: 日・祝・ビル休館日
客単価: 400円

B&B COFFEE 秋葉原UDX店

 

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