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「選ぶ権利はお客様にある」。日本調理師会が“分煙”支持する活動を拡大


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“飲食店でタバコが吸えなくなる!?”、そんな嘘のような話がじわじわと現実味を帯びてきた。この夏、神奈川県に続き、兵庫県でも「受動喫煙防止条例」の制定がほぼ確実となったのだ。しかも、先月末、兵庫県の受動喫煙防止対策検討委員会が井戸敏三知事に提出した規制案によると、その内容は神奈川県以上に過激なモノだった。もし、この規制案がそのまま条例化されるようなことになったら、県下の飲食店はもちろん、現在、検討が進んでいる千葉県を始め、他県追従の引き金となり、業界にとって大打撃となることは間違いない。

そんな中、自主的な取組みにより強引な条例化推進に歯止めをかけようとする動きが活発化し始めた。4万人の会員を有する「社団法人日本調理師会」も、そんな団体のひとつだ。行政による世間への周知の甘さや、出来レースかのように強引に制定されていく「受動喫煙防止条例」の拡大に危機感を覚えた同団体は、“分煙推進”を掲げ、本格的に取組みをスタート。この春、全国の自社会員4万人に配布している会報誌にて“分煙推進”の重要性を説くとともに、喫煙、禁煙、時間帯、エリア分けなど、4つのパターンを示したステッカーを同梱。店外への表示を呼びかけた。

「飲食店の喫煙環境を一律規制するというのは非現実的です。お客の来る来ないは本人の意思だし、従業員に関しても募集の際にタバコを吸う店だと明記して面接をすれば問題ない。それ以上、法的に縛るのは大上段過ぎるでしょう。どうしてもやるなら全面禁止にすべき。ただし、タバコは嗜好品です。嗜好を禁止するというのは非常にナンセンスだし、次はお酒・・・と、きりがない」。そう話してくれた日本調理師会専務理事の戸塚雄三氏。

「我々のスタンスは、互いに理解し合い快適な空間を創りだすことです。車道や学校など、公共の場であれば自粛してマナーアップを図るのが当然でしょう。ファミレスでタバコはいかがなものか。でも居酒屋やバーはいいじゃないかと。店に来る人々の目線で、路面店ならその距離感、大通り沿いなら走行中に見えるよう表示をすればいい。住み分けさえできれば法的に縛る必要はない。一緒くたにしようとするからムリがでるんです」(同氏)

もうひとつ、現在、各自治体で進められている受動喫煙の条例化について飲食関係者への周知がなされてない点が非常に問題だという。というのも、今回、会員にステッカーを配布したところ、同問題について知っていたのは1割に満たなかったそうだ。「これだけ重要なことが現場で周知されずに決まっていくということが最大の問題でしょう。今まで認められてきたタバコを規制するのであれば、世論にしっかりと耳を傾けるべきです」(同氏)

さらに、飲食業界も、今後はもっと団結して数の力で意見を発していくべき、と戸塚氏。
「実は、調理関係の課題の解決を図るために、昨年10月、我々は調理関係団体の連合会を立ち上げたんです。9~10団体トップをつなぎ、登録会員数にして20万人程度。その家族や中小団体を含めたら軽く60万は超えますね。調理師として免許を取得した人間が過去360~370万人、亡くなった方もいますが、今も、年間5万人ずつ輩出してます。その中には、板前もいれば経営者も多く、業態も規模もさまざま。これだけの声が集まれば、その意見は非常に力を持つ。我々はすべての人がウィンウィンになるために“分煙”を推進しているんです」(同氏)

40年の歴史を持ち、業界でも影響力のある日本調理師会が分煙を推進していることは、他団体への影響も大きい。後に続く流れを期待するとともに、これを機に飲食業界が組織としてまとまり、さまざまな課題に対して、力を発揮することを、今後、強く期待したい。

ステッカー1:禁煙 ステッカー2:喫煙
ステッカー3:時間分煙 ステッカー4:禁煙・喫煙

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