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飲食業関係者は全員反対を表明! 受動喫煙問題、生活衛生組合トップが集結

猛暑が続く夏空の下、兵庫県で6月に立ち上がった受動喫煙検討会が着々と進んでいる。行政としては、9月までの3ヶ月間で4回の検討会を実施し、その結果を汲んで来年度以降の指針を定めたい意向。ところが飲食店等サービス業関係者が検討会の不公正性を指摘し、8月4日、兵庫県全料飲生活衛生同業組合の会合が開かれた。兵庫県の検討結果が次なる自治体に多大な影響を与えることは必須。早速同会を取材し、現状を調べた。


● 行政的なやり方に関係者らが苦言を呈す

「もっと大きな都市がいくらでもあるのに兵庫が2番目に参入する必要はない」「税金で作ったところは分煙でいい。民間には網をかぶせるな」など、各組合理事長から口々に条例化に反対する声が飛び交う。

8月4日(水)、兵庫県神戸市にある兵庫県旅館会館で開かれた兵庫県全料飲生活衛生同業組合連合会の会合では、8団体組合理事のほか副理事を含めた10名が受動喫煙問題に関する討論に参加。先んじて受動喫煙防止条例が制定された神奈川を例に、今後の対策について話し合いがおこなわれた。

まず問題視されたのが検討会の公平性についてだ。兵庫県の受動喫煙検討会構成メンバーは禁煙者13人に対して喫煙者2人。そのうちのひとり、産業医科大学産業生態科学研究所教授は大の嫌煙家として名高い。「入室した瞬間、タバコ臭いと顔をしかめられた。こんな状態で公平な議論が成り立つのか。我々は、単に善し悪し、好き嫌いという判断でなく、サービス業としての立場で条例化による規制を懸念しているのだ。それに、そもそも飲食店を公共と捉えること自体が可笑しい。まずは“公共性とは”という議論から始めるべきでは!?」と、検討委員会に参加する飲食組合理事長の入江眞弘氏は話す。

それを受け、参加者からは、「ホテルや旅館はせっかく盛り返してきたのに、また団体客が県外に逃げていく」(旅館ホテル組合理事長)、「大手が残って小さい店は潰れていく」(料理業組合理事長)、「分煙は最低でも200万~300万。県がお金を出してくれるのか?」(喫茶組合理事長)、「20坪の店は分煙なんか出来ない。必然的に全面禁煙を選ぶしかない、すると売上が下がる。既に、よう見えとるわ」(鮨商組合理事長)、「有馬は力があるからいいが尼崎なんかは潰れるだろう。県境は厳しすぎる」(社交飲食業組合副理事長)、「家飲みに流れて飲食業界の雇用も激変する」(中華料理組合理事長)と次々に反対の声が上がる。

行政がこうした飲食関係者らの声に耳を貸さないわけでない。検討会推進委員会では、参考資料として当初調べた県民モニター1000人のアンケート(※回答者の8割が規制に賛成)について、サービス業関係者らから「回答者の9割が非喫煙者では偏りがでる」「年齢層が高い人ばかりだ」「飲食事業全てを一括りにするのはおかしい」といった指摘が上がったことから、再度、業種業態、規模感を細分化し、飲食店を4つに区分、旅館ホテルを2つに区分し、アンケート1000サンプルの取り直しを行うことに決めた。

このアンケートの叩きについても関係者から細かい指摘が入った。「一般人に禁煙、分煙、喫煙のどれが望ましいかと聞いたら、分煙が多くなるのは当然。しかし、これは分煙の真意が伝わっておらず誤解を招く。それより、表示があると助かりますか?という質問をメインにして欲しい」と行政に進言する理事長等。次年度以降の取組みを店外へのステッカー表示に留めたい意向を伝える。「分煙についてカウンターや一角を喫煙にすればokと、現場もお客もその程度しか思っていない。もし神奈川のような厳しい基準を設けるならば、事前説明が必須だ」と、行政側の説明不足を指摘する声も上がった。

今回の会合の結果、兵庫県全料飲生活衛生同業組合の意見として「サービス業は規制対象外にすること」をゴールに知事及び県議会議長に進言する考え。また未だ詳細を知らされていない県下飲食店関係者への啓発活動、神奈川で起きている被害の影響度を資料として提出するなど各方面からの働きかけや署名活動に取り組むことを決定。果たして関係者らの思いは伝わるのか、それとも…。検討会最終回は間近、今後の展開に注目したい。

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