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インタビュー

ジリオン吉田裕司氏独占インタビュー~後編~「大衆ビストロ ジル」&「酒場シナトラ」、東京駅2店舗同時出店の快進撃!その狙いと今後の組織づくりに迫る。

2013年4月、目黒の雑居ビル地下1階に創業した「大衆ビストロ ジル」。 “大衆スタイルの本格ビストロ”である「大衆ビストロ」業態を打ち出し、街に活力を与えるエナジースタンドとして、今や大繁盛店へと成長。その魅力的な店づくりは、多くの業界関係者からも注目を集め、飲食店オーナーのベンチマークとされているほどだ。運営は、ミュープランニングやグローバルダイニングを経て独立した吉田裕司氏率いるジリオン(東京都品川区)。現在は、「大衆ビストロ ジル」に加え、「大衆ビストロ 煮ジル」、「酒場シナトラ」、「和ビストロ JB」、「Osteria&Bar GONZO」の計5業態を運営する。そんなジリオンが、2018年6月28日、東京駅構内の商業ゾーン「東京グルメゾン」内に、「大衆ビストロ ジル」と「酒場 シナトラ」の2店舗を同時オープンさせた。これによって創業からわずか5年で11店舗(FCの2店舗は除く)の開業を達成した同社。フードスタジアムは、東京駅出店の経緯や狙い、今後の展望について、吉田氏に独占インタビューを行った。


前編では、東京駅出店の狙いが明らかに。後編では、同社の新卒採用をはじめとする人事戦略や、今後の展開について迫る。
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「大衆ビストロ ジル」&「酒場シナトラ」、東京駅2店舗同時出店の快進撃!その狙いと今後の組織づくりに迫る。ジリオン吉田氏独占インタビュー~前編~

「応募数=採用数=定着数」が理想

―今年から新卒採用を始めたんですね。

創業から3年目までは人材採用は中途のみでしたが、次第に社内の体制が整ってきたことから、今年から新卒採用を開始しました。新卒採用の一番の目的は「共通言語で会話できるスタッフを育てる」こと。当社の理念や目指すべきビジョンを共有できる仲間を増やしたい。

―ジリオンではどのようなリクルーティングを行っているのでしょうか?

普通、飲食店の採用面接と言えば、1回で済ませているところがほとんどではないでしょうか。ですが、当社では採用において、何段階かのステップを設けています。新卒採用であれば、まずは店に食事に行ってもらって、そこで働いているスタッフの姿を見てもらいます。そのうえで「うちで働きたい」と思うのであれば、会社説明会に参加して理解を深めてもらい、それから本応募してもらいます。その後、何度か現社員との面談を経て、最終面接。そこまで合意を取ってから初めて採用ということになります。

―昨今、飲食業界で人手不足が叫ばれているなか、あえてそこまでの手間をかけて、採用の過程にこだわるのは何故ですか?

何よりは採用のミスマッチをなくすことが目的です。極論ですが、理想は「応募数=採用数=定着者数」にしたい。人が採用さえできればよい、という考えではなく、人材が定着し、長期にわたって活躍してくれることまでが重要。せっかく採用してもその人材がすぐに辞めてしまっては意味がないですからね。

定期的に開催する会社説明会では、よいことだけでなく悪いことも隠さずに話すので、それを聞いたうえで働きたいという人が応募してくれます。この時点でもミスマッチを大幅に減らせますが、さらに、選考に段階を設けることで、本当にうちで活躍したいと考えている人、うちで目標を持って働ける人かどうかを見極めます。会社説明会や研修などには相応の金額をかけていますが、こうすることで、応募者が採用「前」に描くジリオンと、採用「後」にわかる実情のギャップをなくし、「応募数=採用数=定着者数」をめざします。

採用される方としても、それだけの選考をクリアしてくると、会社のことも理解してくれるし、自分が選ばれたという意識が芽生え、ここで働くことに少なからず誇りを持ってくれる。入社した時点で会社に対する理解が深い状態なので、入社後の順応は早いです。今年4月に入社した新入社員も、5月にはバリバリ即戦力として活躍しています。当社は「人が足りないから」人を採用するのではなく、「いい会社を作りたいから」採用します。こうして採用したスタッフとともに「いい会社」を作っていく。そうすることで、そのスタッフの姿を見て、「ここで働きたい」と後に続く人が来てくれる循環が生まれればと思っています。

開業時は“60%の力”でスタート

―創業から5年で11店舗を達成したわけですが、このスピードで出店していながらも、1店舗1店舗、しっかりとした存在感を放っているのがジリオンのすごさだと思います。その秘訣は何なのでしょうか?

出店を重ねると、一時的に人の力が薄まってしまうのは避けられない。オープンしたばかりの店舗は、人の力が60~70%の状態。でも、100%の状態が整ってから出店をしていると、チャンスを逃してしまう。だから60%の状態でもオープンし、そこからPDCAをまわして、なんとか100%まで戻していく。これまで当社はそうやってきました。ただ、そうした戦略はどこでも通用するわけではない。このサイクルが可能なのが、先ほど話したような「トレンドダウンしない街」なんです。60%を100%にするまでには、ある程度、長期的な視点が必要。瞬間的に集客できても、その後が続かないような流行り廃りが激しい場所はダメ。だから、長く続けられて成長の余白を感じられる立地にしか出店していません。

ジリオン代表取締役:吉田裕司氏

スタッフの満足度向上が第一

―5年で11店舗を達成した今、次なる目標は?

独立当初からの5年で10店舗という目標を達成はしたので、今後の数値目標は検討中です。しかし、目標は果たしたものの、ES(従業員満足度)やFS(従業員の家族満足度)が100点だったか?と問われると、正直、そうではなかったと思います。採用や教育制度、福利厚生の充実には取り組んでいるところですが、まだまだ課題は残ります。

今後、経営戦略として、例えばさらに出店ペースを上げたり、年商を伸ばしたり、上場したり、さまざまな選択肢があると思うのですが、そういったことは、スタッフの働く環境を整えたうえで、スタッフのためになると判断されるのであれば、取り組むべきことだと私は思っています。当社は、今後はちょうどいい売上や店舗数を保ちながら、スタッフやその家族の満足度を上げていけるような組織にしていきたい。

そして、ジリオンとスタッフで、いかに信頼関係を結べるか。スタッフには、自分がジリオンの一員であることを誇れるような会社にするのが何よりの目標です。そうして、スタッフ全員で同じ目標に向かって同じ方向を向く。例えば、一般的にスタッフが離職する理由として、人間関係が挙がることは非常に多いですよね。同じ店で働く先輩とソリが合わない、上司との相性が悪い、とか…。でも、みんなが同じ目標に向かって努力していたら、そんなことは気にならないはずなんです。私が目指すのはそういう組織。つまらない人間関係のいざこざにとらわれず、全員が共通の目標を達成するために、同じ方向に進んでいく。そのために採用や教育にも手間やお金をかけています。

―直近では、どのような予定がありますか?

年内2019年1月末~2月の間に恵比寿方面に2店舗の出店が決まりました。さらに、2020年にも、もう1店舗の開業が決定。今回の東京駅の店舗についても、売り上げは順調に推移しています。さらなる高みに向けて、来期は60%に薄まった人の力を100%まで戻し、CS・ES・FS、すべての数値を上げていくアクションを加速させていきたいです。

―ありがとうございました! これからもジリオンの活躍に期待しています。
■店舗情報
大衆ビストロ ジル 東京店
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街 H-1
電話:03-6551-2080
営業時間:11:00~23:00、日祝 11:00~22:00(LO:閉店30分前)
定休:無休
酒場シナトラ 東京店
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街 H-4
電話:03-6551-2070
営業時間:11:00~23:00、日祝 11:00~22:00(LO:閉店30分前)
定休:無休

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