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インタビュー

コミュニティ機能を持ったバル「vivo daily stand」。都内600店舗の出店を目指し、フランチャイズビジネスを本格始動させたVIVO PRODUCTION TOKYO株式会社代表取締役の鈴木健太郎氏にインタビュー

定義は“コミュニティ機能を持ったバル”。人と人が繋がる新しいコミュニティバル「vivo daily stand」の各駅1店舗、都内に600店舗出店という目的を具体化するため、フラインチャイズビジネス(以下FC)を昨年から本格始動させたVIVO PRODUCTION TOKYO株式会社代表取締役の鈴木健太郎氏にインタビュー。
学生時代、スペインで出合った本場のバルにインスパイアされてから、構想10年。脱サラして2007年、中野に1号店「vivo daily stand」(以下vivo)を出店。現在、直営は10店舗、FC4店舗を展開する。FC店舗は1号店茅場町店、四谷店、神田店、そして4月11日に東中野店を出店。今年はさらに12店舗のFC展開とセントラルキッチンの移転拡張を目指す。


「コミュニティ機能を持つバル」とは

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まずは 「vivo」を出店するにいたった経緯を教えてください。

学生時代にしたスペイン旅行で、現地のバルにインスパイアされました。お店のコンセプトであったり、コミュニティ機能、地域のコミュニティとしての役割を担っているところが、日本社会に向くのではないかと。いつか作ろうと思い続けながら、サラーマンを10年経験後、脱サラし「vivo」を立ち上げました。

日本でもバルが多くなってきていますが、あくまで飲食機能と思います。「vivo」はワインバルということではないのですか。

「vivo」 の定義はコミュニティ機能を持ったバルです。しかし、会社内の見解ではバルの機能を持ったコミュニティで、主従が逆なんですね。飲食という手段を使って、コミュニティをやっているということですね。ただ、売っているのがワインなので、業種、業態としては、ワインバルと言っても間違いではないのですが、他のワインバルと違うのがコミュニティ機能を持っていることですね。説明する時、一般的には混乱するので、コミュニティ機能を持ったバルとしていますが。

どのようなコミュニティとして機能しているのでしょうか。

地域の人が、老若男女を問わず集まる場所、コミュニケーションする場ですね。これは最初の中野店からも、今後どの地域に出店しても永遠に変わらないですね。ビールやワインを飲みに行こう、店員さんに会いに行こうと、利用動機は、他のお店と同じです。でもその利用動機の種類が他のお店に比べめちゃ、めちゃ多いですね。例えば、ワインを飲みに行く、料理を食べに行く、店員さんに会いに行くなんて当たり前ですよね。でも夜でもコーヒーを飲みに行く、本を読みに行く、常連さんに会う、誰かに会いに行くとか。時には雨宿りするということも。実際、トイレだけ借りに行くとか、他のワインバルに比べて多いですね。

1号店の中野店を立ち上げた時、コミュニティ機能としての店造りのこだわりはどのように作りましたか。また、どのように、工夫されましたか。

立ち飲みスペースをしっかり作ったことですね。もう一つは、ファサードはガラス張りで、透明性を意識しました。今でこそ、当たり前ですけど、丸見えだから飲みづらかったとも言われました。近所の人に見られちゃうなんて、当時は新鮮だったと思います。また、私自身も店に立ち、積極的に人と人を繋げる接客を意識しました。だから、オープン当初から自然にコミュニティの場になりました

人と人が繋がる場。日本でも必要と感じましたか。

オープンする前から、人と人が繋がるこういう場を必要とする時代が来ると考えていました。創業した2007年の4月1日の日経MJ一面にそのことについて、載っていました。ちょうどmixiをはじめとしたSNSの走りの頃で、人と人が繋がる場がネットの世界へ移っていると言われ出していました。2007年に単身世帯が、お父さん、お母さん、子供2人がいる標準世帯を上回ったのですね。今では完全に単身世帯の方が多いでしょうね。その日経MJ一面で、養老猛氏がインタビューで、「人は一人では生きていける動物じゃなく群れで生きていく、何らかの形で、人と人の繋がりで生きていく」と言っていました。「単身者が増えれば、人と人が繋がる場をどこかに求め始める」と。そして「今までは、職、つまり、会社の中での関係者、同僚などの人とのつながりがあったが、これからは趣味や地域など、職ではない人と人の繋がりが起こってくるだろう」とも語っていたのですね。それは、僕が考えていた日本にコミュニティ機能を持ったバルを作ることと一致していました。日本でも、地域社会のコミュニティ機能を持った場所といえば、昔は銭湯があり完全に世代を超えたつながり作っていたましたけど。

つまり、「vivo」は世代間を超えたコミュニュティの場を作ったということですか。

今はまだ作っている途中発展途上です。小学生、中学生も来ない、70、80代も来ない。集まっているのは、20代から40代、50代の層で、うちのコアなターゲットです。やはり商売ですからそこに向けてのマーケティングをしています。今は小学生のために何かをするようなことはやっていないですね。スペインのバルでは小学生や高校生くる、んですね。高校生が、学校帰りにバルにより、ジュース飲んだり、お菓子を食べたりしている。おじいちゃん達は朝一の散歩帰りに集まり、奥のテーブルでカードゲームをしている。それを見ながらサラリーマンが新聞を読んだり、コーヒーを飲んだり、食事したりといった、そういう場がスペインのバルにはあるのです。つまりオープンでパブリックでないとダメなのですね。ただ、現在「vivo」では限られた世代しか来ないので、まだまだ、オープンパブリック性は出来ていないですね。時間はかかると思いますが近い将来には可能と思います。

それは新しいコミュティの文化をつくるということでしょうか。

そうです、まさにカルチャーです。今、来ているコアの20代に続けて来てもらい、20年後にはその子供達と一緒に来てもらうと世代が広がります。さら40年後にはその下の世代も来てもらう。3世代くらいが集まるには40〜50年はかかります。そうすると、すべての世代に来てもらえるのです。小学生、おじいちゃんが来るような、マーケティングはまだ、出来ていないですね。難しいですね。

「各駅1店舗、都内600店舗」展開を目指す

vivos31号店を立ち上げ、現在、直営10店舗ですが、当初から各駅に1店舗、東京に600店舗を目指していたのでしょうか。業態のイメージも当初から考えていましたか。

はい。1駅に1店舗、東京に600店舗を目指し起業しました。スペインでバルを知ってから10年の間、温めましたね。脱サラし起業した時には、しっかりと考えを練り、事業を組み立てることができていました。

600店舗を目指し、会社の規模や成長をどのように考えていますか。また、現在のような形態での限界はどのように捉えていますか。

私自身、経験がないのでわからないですけど、やりながら大きくなっていくということでしょうね。自分が見るには、30店舗くらいが限界でしょうね。きっと、来年あたりには見えてくるでしょうね。規模が大きくなり、本部の機能が増えてくる、そうすると職種も増えてくるでしょう。今は自分がやっている仕事を別の人間が、物件開発、スーパーバイズする人間、内装の仕事をする人間など、仕事が増えれば、「vivo」のなかでキャリアプランができる。そうすると、人が辞めない会社になりますよね。飲食店って、お店に立って働くだけだけど、「vivo」はキャリアプランが見えるような職種がある組織を目指したいです。

それは将来的に600店舗に増やすだけではない企業を目指すということですか。

そうですね。「vivo」という飲食店をやっているけど、極端に言えばロジスティク事業だけをやっている。ワインとデリだけを動かすとか。また、「vivo」を立ち上げる開発部門や運営するコンサルティング事業を行う企業となる。飲食業にとどまらない会社にしたいですね。

「都内600店舗」構想を支えるvivo流FC戦略

FCビジネスはいつ頃から考えていたのでしょうか。また、直営を10店舗で止めたのはどうしてですか。

FC構想は、最初から、1店舗目からありました。だって600店舗をやるには、直営では無理ですよね。飲食では初期投資をかけ、回収していく方法で、キャッシュフローでなんて絶対はありえませんよね。だから多店舗を直営するには、重すぎますから、FCは必須です。直営10店舗がFC事業の許容どころでしたね。実際、10店舗くらいやっていないと加盟店も出てこないし、ブランド力もない、またノウハウもできあがらないですしね。

実際ブランド力もノウハウも確立し、昨年からFC展開を始めましたが、「vivo」のFCの特徴はどんな点でしょうか。料理はすべてセントラルキッチン(以下CK)からのデリバリーですよね。

特徴は、やはり料理とワイン、商品力でしょうね。多店舗化を目指すことを踏まえ、常に高いクオリティを保つために最初からCKにしました。今は専用のデリバリーカーで各店に配送します。ワインは、内部に多くいるソムエリが厳選し、アルコール類、コーヒーなどドリンクメニューも全て供給します。

なるほど。しかし、CKというと画一的な味と工業的なイメージもあるように思えますが。

CKですが、うちはすべて手作りなので、味わいにも個性があります。ただ、将来店舗数が増えた時は、大量生産のため工業化することが課題となるかもしれません。それでも料理に個性、味わいを持つことができれば、〝本物〟になると思います。それに、最後のひと手間はお店で行っています。オリーブオイルをかける、レンジアップし、オーブンで温めるといったようなことですが、それが、多分ヒントになると思います。

クオリティ管理はどのようされているのでしょか。

提供する各商品のデリ料理には、賞味期限の日付に従うこと、温度管理を徹底的に指導
しています。また、調理マニュアルもあり、それに従えば誰でもできるようになっています。毎週2種類のデリが新しくなるのですが、そのデリについては中野の本部に集まりレクチャーをおこなっています。直営は店長、FC店舗では店長以外でもいいのですが、必ず、出席することが、決められています。店舗が増えても、地域毎などに振り分け行います。

では、具体的にFC加盟の条件を教えてください。vivos4

最初に加盟金100万円で、保証金50万円がイニシャルコストですね。毎月にランニングが5%、ロイヤリティですね。売り上げの目標は、オーナーさん側に任せますが、同規模の店舗や、類似の立地の数字など、ケーススタディとして参考程度に提示します。売り上げが伸びない場合はオーナーさんとともに課題を見つけ指導します。撤退する場合は解約料100万円です。立地条件は、原則として内規で駅より徒歩3分以内、1階路面、規模は10坪以内となっていますが、例外もあります。条件の合致する物件が出た場合はその都度、指導します。

10坪以内という規模の理由はなぜでしょうか。

ワンオペレーションで回せることと、コミュニティを作りやすいサイズだったという認識でやってきました。今までは、その認識で展開してきましたが、今後は変わるかもしれませんね。もう少し大きい規模の店が増えてくるかもしれません。

地域によりマーケットの状況が変わりますが、その対応はどうしていますか。

全くやっておらず、全部同じで対応しています。マーケティングなどもしていませんね。600店舗をやるので、物件を見て、通りの感じ、物件の内装などに、内規に沿って条件が揃えば、決めます。ワクワクするような直感を大事にしています。今年の目標はFC12店舗を出店したいと思っていますが、そうなると、中野のCKが限界となるので、CKの移転が課題となります。実際、FCの話も進んでいますが、1店舗、1店舗、様子を見ながら、丁寧に作って、状況を見ています。ただ、実際に、13、4店舗以上の出店となると今の中野CKが限界となるので、今年後半には、CKの移転ですね。CKを移し、規模を拡大すると、当然、FC生産能力は上がりますが、ランニングコストもかかるので、売る場所が必要となります。ですから、まとめの大量出店とCKの移転はセットとなるでしょうね。今、CKは花本(同社役員)のほか、4人のスタッフがおり、デリの手作りやMD開発のなども始めていきますが、店舗が増えても、基本は何も変わらず、運営上の例外もありません。

ところで、直営、FCともに既存店舗の空間は、個々違いますが、その点はどうなのでしょうか。

うちは、居抜きを使うことが多いので、それぞれの個々の違いが出来ます。ただ、バルなので、必ず、カウンター作る、ガラス張りにして、通りがかりの人から見えるとかですね。パッケージングまでやると初期投資もかかるので難しいですね。ただ、FC1号店の茅場町店のようにスケルトンから作ったオーナーもいます。実は茅場町店は元事務所で、飲食店としてのインフラがなかったからうちが取れたのですね。うちはガスを使わない、排水、排煙もないので、インフラの設備がいりません。なので、飲食店が嫌だという大家さんも説得しやすいですね。だから、飲食不可の物件に切り込んでいけます。

では、今後はどうような形態でFCビジネスを考えていますか。vivos5

今後の加盟店のメインターゲットとなるのは、現在、飲食店をやっている既存店のオーナーとなるのでしょうね。バーをやっているとか、料理人が辞めてしまった、また、売り上げが上がらないと言った、現場に問題を抱えている既存店の「vivo」化、リプレイ化ですね。今、飲食業界の人手不足は大きな問題ですよね。でも「vivo」は、CKからのデリバリーですから、料理人さんもいらないので、人手不足は解消されます。また、バー営業の店で料理を出したいなどに対応できますね。それに、内装とか立地の問題も最初から解決されているので。

現在、少数精鋭で、運営していますが、FCのビジネスモデルは外部に委託したのですか。

FCのビジネスモデルはDIYです。全く、外部も入れず、契約書作りまでの自分たちで、やりました。今後、コンサルティングなど外部を入れることも考えるかもしれませんが、とことん自分たちで出来るところまでやります。そこが、ビジネスとして一番面白いところとであり、楽しいところと思い、やっていきたいです。

本日は長い間ありがとうございました。

(聞き手・にしやま とみこ)

鈴木健太郎氏プロフィールvivos3
三重県出身。1973年10月12日生まれ。京都産業大学卒業後、1997年カルチュアコンビニエンスクラブ株式会社入社。2003年株式会社ディーツーコミュニケーションズへ転職。2007年vivo daily standを創業。2009年VIVO PRODCUTION TOKYO株式会社を設立し、代表取締役就任。

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