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五反田の老舗酒屋が倉庫を改装し、角打ちできる酒販店「桑原商店」をオープン。アート作品のように酒を楽しめる日本酒ギャラリーとして機能

西五反田一丁目交差点からすぐの路地裏に立地。約45年間、酒屋の倉庫として使っていた物件をリノベーションした
手前は、コンテナを重ねた簡易テーブルを並べた立ち飲みスペース。奥はテーブル席を置いて着席できるゾーン。着席でもスタンディングでも、お客が思い思いに日本酒を楽しめる空間だ
店内奥には約200種類の日本酒を格納する、幅4,2m×高さ2,3mの巨大な冷蔵ショーケース。温度管理を徹底し、照明は日本酒が劣化しにくいLEDを使用するなど細やかな配慮は酒屋ならでは
日本酒は30mlを140円~から楽しめる。北欧のエスプレッソカップをお猪口に見立てて使用するなど、酒器にもこだわりが。フードは奥から「豚バラと輪切り大根の煮物」(350円)、「根菜たっぷりのっぺ」や「日替わり総菜3点盛り」(450円)、「あん肝の味噌漬け」など
桑原商店 代表取締役の桑原康介氏(写真右)と、桑原氏の祖母で同店の飲食部門の運営会社である酒蔵一番 代表取締役の桑原保子さん

五反田の「桑原商店」は、角打ちのできる酒販店だ。店内奥に設えられた巨大な冷蔵ケースには常時200種類の日本酒が並び販売されている。夕方からは、そのうち日替わりで40種類を角打ちで提供。地方の特産品を使ったフードも用意し、テーブルもしくは立ち飲みにて、キャッシュオンスタイルで気軽に楽しめる。同店は、大正4年に五反田で酒販店として創業した桑原商店(東京都品川区)が、長年倉庫として使用していた物件を改装し、2018年12月3日にオープン。リニューアルを中心となって進めたのは、桑原商店の4代目として代表を務める桑原康介氏だ。同氏は桑原商店を引き継ぎながら、ギャラリー運営や芸術祭の企画など、アート関連の仕事に携わる人物。桑原氏のアート関係のネットワークを生かし、日本酒の魅力を発信し、人と人をつなげるコニュニティースペースとして店を作り上げていった。

日本酒はアート、アート作品を集めたギャラリーを目指した角打ち

桑原商店は五反田で酒販店「常徳屋」として大正時代に創業して以来、この地で時代に合ったビジネスを展開してきたという。「もともと酒販業とアートを融合させた何かをやりたいと考えていました」と話す桑原氏。アートの仕事に関わる中で、JTQの谷川じゅんじ氏やスキーマ建築計画の長坂 常氏などのクリエイターと出会ったことで、それをきっかけに同社が倉庫として使っていた物件をリニューアルする計画が持ち上がった。

「日本酒や特産品は、蔵人や生産者の方々が丹精を込めて創るアート作品だと思うんです。私がいくつものアートプロジェクトなどの企画運営の仕事もしていることから、アートも日本酒も加工品もすべてをフラットに同じように扱う店を目指しました」と桑原氏。開業の約1年半前から、店舗ではアートや日本酒、料理に関するワークショップを開催し、それによって実験&フィードバックを繰り返しながら店の構想を固めていった。「店づくりのテーマは『予定不調和』。最初から完成形を決めず、ワークショップを通じて店の理想形をあらゆる角度から模索しました。計画が始動したのは2017年夏ごろですが、設計図が完成したのは2018年9月と、だいぶ時間をかけて少しずつ形にしていきました」と桑原氏。

大前提として「家族でできる範囲で営業すること」を念頭に置いたという。飲食店の経験がなく、また2~3人の少人数でも可能なオペレーションを検討した結果、キャッシュオンスタイルを採用。フードは複雑な調理を必要としないものを中心に揃えている。

日本酒は巨大冷蔵ショーケースで品質管理を徹底。常時40種類が30mlから楽しめる

日本酒は桑原氏とつながりのある酒蔵を中心に全国各地から揃え、冷蔵ケースに約200種類、さらにクラフトビールが瓶で30種類に加え、焼酎、リキュールも少々だが取り揃え販売。日本酒はそのうち常時40種を角打ちで提供し、価格は銘柄により30ml 140~390円、60ml 260~700円、180ml 700~1890円だ。特注の巨大冷蔵ケースで厳密な低温管理のもと保管し、照明は日本酒が劣化しにくいLEDを使用している。角打ちで提供する日本酒の多くは四合瓶で、2~3日で飲みきれるようにしていることもポイントだ。店内の一角に設置した低温調理機の湯を利用して、お燗をつけられる点もユニークだ。

フードは桑原氏が出合った各地の特産品をアレンジした品を20品程度用意。オーダー後にすぐに提供できる作り置きの品が中心だ。下関産のあん肝を使った「あん肝の味噌漬け」(400円)や、越後妻有の郷土料理の「根菜たっぷりのっぺ」(500円)など、日本酒に寄り添う優しい味わいの家庭料理を揃えている。

テーマは「予定不調和」。お客の思うがままに日本酒を楽しむ場

店内は、倉庫で使っていた古びたスチールに、イタリアから取り寄せた大理石を組み合わせて作ったテーブルや、コンテナを無造作に積み上げた簡易的なテーブル、イタリアのデザインスツールなど、一見、新旧が混在するちぐはぐな姿だが、エッジの効いたミニマルな空間として「予定不調和」の中から生み出されている。
「最初から『これ』という形は決めない。お客様には、自由な使い方で思い思いにお酒を楽しんでほしい。それはアート作品と同じ。アートにも楽しみ方に決まりはないですから」と桑原氏は話す。店は連日多くのお客でにぎわい、1杯だけサクッと利用するお客もいれば、腰を据えてゆったりと楽しむお客もおり、利用の仕方は実に多様。客層も男女や年齢もバラバラで、地元住民もいれば遠方から目的をもって訪れる人、さらに海外の人まで様々だという。「アートは国籍や属性に関係なくフラットに楽しめるもの。当店の客層も本当に多様で、様々な使い方をしてくれている。それこそが私が思い描いていた姿。理想が実現されつつあり嬉しいですね」と桑原氏は話す。

(取材=大関 まなみ)

店舗データ

店名 桑原商店(くわばらしょうてん)
住所 東京都品川区西五反田2-29-2
アクセス 五反田駅から徒歩4分、大崎広小路駅より徒歩3分
電話 03-3491-4352
営業時間 飲食:17:00~21:00(LO)
定休日 日曜・祝日
坪数客数 30坪6席+立ち飲み20~30名程度
客単価 1000~5000円(中心は2000円程度)
運営会社 飲食部門:有限会社酒蔵一番(酒販を行う株式会社桑原商店の関連会社、2社協業で運営)
オープン日 2018年12月3日
関連リンク 桑原商店(FB)
関連リンク 桑原商店(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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