飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

多数の居酒屋で研鑽を積んだ店主・武居佑真氏が三軒茶屋で独立。客がわがままを言える店とのコンセプトで居酒屋「三軒酒屋 あかんぼ」がオープン

駅前からバス通りの商店街を抜けて路地に入ると見える。丸く切り抜かれた入口が目印
カウンターをメインとする店内。北斎の絵が印象的
「おばんざい盛り」1,200円。酒と共に数品の料理を楽しめてお得
名物の「あかんぼ割り」と「あかんボール」(共に450円)。自分の加減でココナツミルクを入れられる
店主の武居祐真氏。来る人が甘えられる店を目指す、と話す

(取材=別役 ちひろ)


東急田園都市線・三軒茶屋駅の北側、バス通りから一本路地に入った位置に11月11日、「三軒酒屋 あかんぼ」がオープンした。店主の武居佑真氏は、地元・三軒茶屋を中心に、10代の頃から飲食に関わる店に従事。その面白さに惹かれ、多くの店で経験を経て独立に至った。コンセプトは「客がわがままを言える店」だ。

多くの飲食店で培った考えを反映

武居氏が経験した飲食店は多岐に渡る。学生時代、三軒茶屋のパン店「フォルサム」(現在閉店)で食品に携わる仕事の面白さに目覚めた。大学で幼児保育を学ぶものの、卒業後は「料理人のいる魚屋 ガシラ」(ユニバーサルキッチン、東京都渋谷区)に就職。鮮魚の扱いを学び7年ほど勤め、その後も人気の海鮮居酒屋や炉端焼き店など複数の店舗で研鑽を積んだという。

海鮮系居酒屋での経験が目立つため、店のスタイルも鮮魚を売りにしたものかと思いきや、「楽しい憩いの場を提供したい」(武居氏)と、大皿料理でおばんざいをメインとするメニュー展開となっている。「ワンオペレーションで展開し、店主一人でお客様の顔を見ながらやりとりできる店にしたかった」と話す。そのため店内もカウンター7席をメインとする22席の展開で、客とのやりとりを楽しみながら、時に冗談や軽口を叩きながら楽しい時間を過ごしてもらえるように、と考えられている。この考えは店名にも表れている。「自分はこの業界でまだ産声をあげたばかり赤ん坊。そしていつまでも初心を忘れないようにこの屋号にした。提供する料理もおばんざいを盛った大皿料理をメインとしていているが、『汁物は何かないか?』など、お客様のその時の気分や状態によって臨機応変にメニューにないメニューを提供したい。そんな母親にわがままを言う子どものように、お客様のわがままを聞けるような、そんな気兼ねなく来ることができる店にしたい」と武居氏は想いを話す。

居抜き物件を賃貸し、オープンした同店。「先輩から、居抜きで開店するにしても、前の店の雰囲気を払拭する造作をした方がいい、との助言を得て、少し手を入れました」と武居氏が話すように、入口からよく見える場所に葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の絵が飾られている。また元からあったカウンターは、前を立ち上げることで、厨房の目隠しとし、大皿料理が置けるように造作した。

迎える料理はおばんざい。独自のユニークなアイディアも

メニューはおばんざい一品につき500円。2品頼めば900円、3品で1,200円の展開だ。同じ1,200円でも「おばんざい盛り」を注文した場合、5種のおばんざいが楽しめ、また武居氏の気遣いで、好き嫌いやその日の体調などを鑑みてメニューを選んでくれる。色々メニューがあって決められない場合は「おつぽん」と言うシステムも。「おつまみガチャポン」の略だが、入口横にガチャポンがあり、500円で運がメニューを決めてくれる。通常のおばんざいメニューもあるが、中には大根と牛タンを煮込んだ「風呂ふき舌根」(1,200円)といった高額メニューも入っている。ちなみにガチャポンは税込で500円なので、「何かアテが欲しいけれど、なんでもいい」といった場合はお得だ。

ドリンクメニューも面白い。武居氏が日本酒好き、ということから、ワンカップがおよそ30種(各500円)あり、客が自分で選び席まで持ち運ぶシステムを採用している。「地元のお酒だ」「このお酒、ワンカップあったんだ」など、宝探しのような気分で日本酒を選ぶことができて、興味や楽しさも倍増だ。ちなみに二号瓶は1,000円で提供する。その他、名物として「あかんぼ割り」と「あかんボール」がある(ともに450円)。「赤ちゃんが飲む母乳のようなドリンクを作れないか、と思った」(武居氏)と、焼酎をココナツミルクで割り、「〜ボール」はそこにソーダを入れたものだが、なんとも言えないクセになる味で、密かな人気を呼んでいる。ちなみに通常のチューハイやハイボールと同様、焼酎のみ、割材(ココナツミルク)のみの追加(ナカ・ソト)のオーダーも可能だ。

冗談を笠に、独自の居酒屋論を実践

冗談を交えつつ、自身の抱く居酒屋論を展開する武居氏。多くの店舗で学んできたノウハウを生かす自らの城を構え、ますますアイディアが溢れている様子。今後について問うと、大きな野望を話してくれた。「多店舗展開は行いたいですね。それも焼肉、焼鳥、立ち飲み、それに寿司屋と展開したい。今までやってきたことをこれから自分で解放し、展開したいと思っています。ただ、ワンオペレーションですべてを展開する、ということは考えていません。多くの店舗でチームワークの大切さも学んだので、これから仲間を増やし、時が来たらまた面白い展開を考えたいです」(武居氏)。飄々と、冗談で煙に巻く体を装うが、今まで学んだことを最大限生かす・生かしたいと発奮する武居氏の目には、多くの人に愛される居酒屋の姿が映っているに違いない。

店舗データ

店名 あかんぼ 三軒酒屋
住所 東京都世田谷区太子堂4-30-27 カーサピッコラ三軒茶屋1F

 >> GoogleMapで見る

アクセス 東急田園都市線三軒茶屋駅 徒歩8分
電話 03-6453-2292
営業時間 16:00〜翌5:00
定休日 不定休
坪数客数 11坪22席
客単価 2200円
オープン日 2018年11月11日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.