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飲食店激戦区・三軒茶屋の新勢力。2015年10月1日にオープンしたスパイス&ハーブ料理のビストロ「スパイスバル317(サンイチナナ)」に注目

ガラス張りの扉が通りに向かって大きく開放されており、気軽に立ち寄りやすい雰囲気をつくっている。店名の「317」の文字が浮かび上がる看板も印象的だ
木材をふんだんに取り入れた温もりのある内装。店内に入るとカウンターや二人がけのハイテーブルが配置されたスペースが広がる。奥には落ち着いた雰囲気のテーブル席がある
右手前から時計回りに「仔羊の丸ごとスペアリブ モロッコスパイス焼き」、「アボパクディップ」(680円)、「前菜全部盛り」(5種類1480円)。ドリンクは右から「生ビール カールスバーグ」(520円)、「317ハイボール」
看板メニューの「名物セキトリチキン」は、ボリュームたっぷり。この人気商品でスピンオフ展開を視野に入れる
「スパイスバル317」オーナーシェフ、ソムリエの増井沙織氏

(取材=望月 みかこ)


個性的な飲食店がひしめき、人気の高い良店が数多く存在する三軒茶屋。その中でも異彩を放つ話題の店がある。スパイスとハーブ料理をテーマにしたビストロ「スパイスバル 317(サンイチナナ)」だ。駅の南側に続く栄通り商店街を抜けたところ、駅から徒歩6分ほどの場所。飲食店が密集する駅周辺からは少し離れた立地だが、2015年10月1日のオープン以来、近隣住民を中心に厚い支持と信頼を得ている。オーナーシェフの増井沙織氏は、フレンチレストランやカリブ料理店などでシェフやパティシエとして10年以上のキャリアを持つ料理人だ。

「小さい頃から料理は大好きでよく作っていました」と話す増井氏。大学卒業後は飲食の世界に入ろうと決めていたという。地元新潟のフレンチレストランやカフェでシェフ、パティシエとして修行を重ね、メニュー開発や新店立ち上げなどに携わる。その後、独立にむけた研究のため渡仏。フランス全土の郷土料理を3ヶ月間ひたすら食べ歩いた。「フランス人の料理研究家に家庭料理を習ったり、地元の人に『毎日行っているレストランはどこか』と聞いて回ったり、どうやって作ったのかシェフに聞き込みしたりと、滞在中はとにかくいろいろ食べて、聞いて、学びました。フレンチはバターをたっぷり使うイメージがありますが、それはフォーマルなコース料理だけ。家庭料理は素材をいかした料理が多いです。この時、スパイスやハーブの使い方も覚えましたね」と当時を語る。料理に対する深い愛が、自然と知識、経験、技術を深めていった。帰国後は、ブルックリンダイナーで4年間シェフとして店に立ち、さらに腕を磨いた。店長として新店の立ち上げにも奔走した。そして昨年10月、念願の独立を果たした。「なにか個性のある洋食のお店にしようと考えていました。私自身スパイスやハーブの効いた刺激的な料理とお酒が大好きなので、『スパイス&ハーブの香りが溢れるビストロ』にコンセプト決めました」と、独立の背景を明かす。

メニューは「酒飲みのための食事」をテーマに考案。独自配合のスパイスとハーブをふんだんに使った刺激的で独特な味付けが、同店のオリジナリティを際立たせる。使用する食材にも妥協がない。「パクチーは埼玉県飯能市の契約農家の方にお願いして、無農薬、自然農法で8種類ほど栽培してもらっています。収穫の翌日には届くので新鮮でとてもおいしいんです。使わせていただいている食材は、基本的に現場を見てから仕入れています。スパイス使いは、モロッコに行って学んできました。それをもとに国産のスパイスやハーブを配合して、現地の味を再現したり、アレンジしたりしています」。一番人気の「名物セキトリチキン」(1180円)は、若鶏の半身を丸ごと揚げて、スパイシーなカレー風味に仕上げられ、ビールとよく合う。オーブンで2時間火入れして、トロトロにした「仔羊の丸ごとスペアリブ モロッコスパイス焼き」(2380円)も、モロッコで学んだ秘伝の調合スパイスで味付けがされている。〆までしっかりお酒が楽しめるように「酒呑みの炭水化物」として、酒蔵から直接仕入れる酒米・五百万石を使ったリゾット「マトンカレーソース」(980円)などを開発。同氏の豊かな食経験と自由な発想から生み出される料理は、五感すべてを楽しませてくれる。

ドリンクは世界各国からスパイス料理に合うものを揃える。ビールは、唐辛子が丸々一本入った「CHILLIビール」(メキシコ、720円)や、通常の4倍ものホップを使った「ヴィアディ ビッライ オッパーレ」(イタリア、750ml、2980円)など、パンチの効いたボトルビールがラインナップされている。ワインは、ソムリエでもある増井氏が厳選したもののみを取り揃える。今後シリアやレバノン、ルーマニアなど中東や東ヨーロッパのものとの合わせを提案していく予定だ。同店で最も人気の高いドリンクは「317ハイボール」(520円)。自家製のスパイスジンジャーエールでジムビームを割ったものだ。「このドリンク、みなさんやたらとクセになるようで1日100杯出ることもあります」と驚きを隠せない。

三軒茶屋という場所を選択したのは「前の職場が隣駅だったので、ただ仕事終わりによく飲みに来ていただけなんです」とくだけてみせるが、もちろん戦略的に考えた結果だ。「三軒茶屋は、商業・オフィス・住宅、3つの側面を併せ持つ珍しいエリアです。1号店にこの地を選んだのは、多種多様なお客様のニーズを掴むことができるから。これから店舗展開していく際、ここで集めたデータや経験があれば十分他のエリアでもいかせると思ったんです」と話す。今後について聞くと「小規模店舗で、人気商品のスピンオフ店の展開を考えています。オープンして間もないですが、ありがたいことに常連のお客様も増えています」と話す。飲食激戦区のこの土地で、”三茶“と言えば、名前が必ず挙がる新たな勢力となるか、今後の展開に期待が膨らむ。

店舗データ

店名 スパイスバル317(サンイチナナ)
住所 東京都世田谷区三軒茶屋1-7-12

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アクセス 東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋駅」から徒歩6分
電話 03-6450-8850
営業時間 17:00〜25:00
定休日 火曜日
坪数客数 20坪・44席
客単価 4000円
関連リンク スパイスバル317(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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