飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

1本の日本酒をきっかけに誕生!福島の魅力をさり気なく伝える間接体験型“福島居酒屋”「原始焼 会津馬刺 すみお」が4月2日東京・浅草にオープン!

テラス席を備えた、全面ガラス張りの開放感あるれる店舗
原始焼という引きのあるメニューを看板商品に据え、客の関心を集める
赤身肉、そしてニンニクのきいた辛味噌を添えて食べるのが会津馬刺の特徴
この1本の日本酒からすべてが始まった。この店に多くの人が集い、ここから福島を発信できればと願う
右から代表取締役の吉野雅広氏、料理長兼店長の萩原裕紀氏、中原昌樹氏、マネージャーの松岡桃代氏

(取材=印束 義則)


最近、にわかに注目を集め出している業態が「原始焼」。囲炉裏に五徳風の器具を設置し、そこに高温の熱をまとったまっ赤な炭を立てかけ、まわりに鉄串を打った魚などの食材を刺して遠赤外線の火力で時間をかけ、じっくり、じっくりと焼き上げていく。高温の炭、新鮮な食材、直火焼とは違った炭と食材のほどよい距離感、そして素材をふっくら焼き上げるたっぷりの時間。それらが織りなす、そのシンプルなまでの提供法はまさに“原始”の調理法を連想させる。そんな贅沢なひと時と滋味深い料理を味わえるのが、昨今、原始焼が注目を集めている何よりの要因であろう。そしてまた、1店の原始焼の店がオープンした。東京・浅草の「原始焼 会津馬刺 すみお」。ただ、同店が他の原始焼の店と大きく違うのは、原始焼をとばくちにしながら、それをきっかけにその先にある「福島」の魅力を伝えられればという経営者の熱い想いが籠められていること。店名に掲げたもう一つの売り物の“会津馬刺”。それ以外、特に福島を前面に打ち出しすぎることはない。だが、客は食べ終わってみたら知らず知らずのうちに“福島”を体験していたと感じる、そんな間接体験型の“福島居酒屋”である。 同店を運営するのはメロー(東京都新宿区、代表取締役:吉野雅広氏)で、他に新宿にて「串焼き酒場 ブビタミン」「居酒屋 キャリフォルニア」を経営する。「ブビタミン」は商業ビル地下の飲食複合施設内一角にあり、「キャリフォルニア」はビルの4階に立地。代表の吉野氏は地下や階上だけでなくいずれは路面店でもやってみたいと考えていたところ、条件に見合う物件に巡り合ったことから開業を決意。福島出身の吉野氏は、いつか地元福島の魚をメイン食材に用いた和業態の店をやりたいと構想を温めていたが、未曽有の被害をもたらした東日本大震災の影響から泣く泣く断念。だがその後、人の縁に導かれながら一度は諦めたその想いが徐々に形となって動き出し、「すみお」の開業へとつながっていくのだから、本当に人生は分からない。 「すみお」で提供する日本酒に「あづまっぺで」という銘柄がある。これは山形・長井市にある鈴木酒造店が手がける純米酒で、この日本酒との関わり合いから「すみお」という業態が生まれていくことになる。鈴木酒造店は元々福島・双葉郡浪江町にあった酒蔵だが、震災の影響から福島での酒造りを断たれてしまった。だが、このまま諦めたくないという一心から山形に拠点を移して執念の復活を果たしたのである。そして、この鈴木酒造店を応援していこうと立ち上がったのが、若手メンバーで構成された東京の福島県人会「あづまっぺで会」だ。「あづまっぺで」とは福島弁で「集まろう!」という意味を表わす言葉で、文字通りみんなが集まって会の名前を冠したオリジナルブランドを発案。鈴木酒造店の「磐城壽」という酒に対し、「あづまっぺで」というブランドづくりを行ない、自分たちのネットワークを駆使して東京で広めていこうとしたのである。吉野氏もこの会に時おり足を運んでいたことからこの動きに賛同し、自らの店でも提供を始めた。 最初は自店で「あづまっぺで」を取り扱う程度だったが、やがて日本酒自体への興味が高まり、「日本酒の銘柄を福島オンリーにすれば“福島色”を打ち出せ、福島のことをアピールしていけるのでは?」との考えが浮かんだのである。「福島の魚を使った業態は難しいが、代わりに“福島”の日本酒を売り物にした業態ならば可能なのでは?」と着目。さらに、そこに福島名物の会津馬刺を組み込めば福島らしさを打ち出すことができる。こうして、一度は諦めた“福島居酒屋”の構想が徐々に固まっていった。それなら魚も、別に福島のものでなくても福島の日本酒と組み合わせれば、十分に福島をアピールすることができる。そう発想を柔軟に切り替え、魚料理の魅力の高め方を模索。そして、当初は刺身や塩焼きなどの提供法を考えていたが、「もっとインパクトの強いものを!」と考えるうちに導き出された答えが「原始焼」であった。まず、「原始焼」というネーミングから受けるインパクトの強さ。さらに、一般に原始焼業態は客単価が高めの店が多かったことからカジュアル業態に仕上げれば差別化が図れる。そう考えて構想を煮詰めていた頃に運よく浅草の物件と巡り合い、開業に向けて一気に加速していったのである。 そして生まれた業態が「すみお」。看板商品の「原始焼」は提供するのに30~40分と時間がかかるため、その間に「お刺身五品盛り」(1580円)、「会津馬刺し」(780円)などで日本酒を楽しんでもらい、ちょうど場が盛り上がった頃に表面はパリッと、中はふっくらと焼き上げた原始焼を供する。その他、「雛鶏の丸揚げ」(半身980円、丸1480円)、「出し巻き玉子蟹あんかけ」(680円)、「会津馬肉ハラミ焼き」(890円)などの酒肴も堪能してもらいながら、最後に「おまかせ握り寿司」(三カン780円、五カン1080円)、「会津馬肉寿司」(三カン680円、五カン980円)などの食事メニューで締めてもらう。魚介は築地からその時期のものを仕入れ、原始焼、刺身とも各6~8種のラインナップで構成する。例えば、原始焼は限定1匹の「カサゴ」(680円)、特価の「毛ガニ」(980円)、切り身の「サーモン」(780円)、「金目鯛カブト」(1180円)など。刺身は「マコガレイ」(680円)、「かつお」(880円)、「かんぱち」(880円)などを。刺身の盛り合わせは2~3人前の内容で、豪快に舟盛りで提供して客を感動させる。「会津馬刺し」は自家製辛味噌を添えた赤身肉のもので、サシの入った熊本の馬刺しとはまた違った独特のおいしさを味わってもらう。 福島らしさをハッキリと感じさせてくれるのは“会津”と謳った馬刺や馬肉料理と、「ぜーんぶ福島県」とメニュー表に書き添えた日本酒のみ。客は薄々と「福島が売り物の店なのかな?」と感じ始め、そのことを尋ねてくる。すると店側は、そこで初めて店の想いや福島の現状を伝えていく。復興支援や郷土料理といった要素を強く前面に打ち出すことなく普通の居酒屋として営業し、客には知らず知らずのうちに福島の魅力に触れてもらう。浅草という観光客も外国人客も多い土地柄、どんなに東京に不慣れな人でも、「浅草」の名前は知っている。こうした発信力の強い街で、頑張る福島の人たちの姿を伝えて行ければ。そして、食を通じて福島の魅力を広く知ってもらえればと、切に願う。1本の日本酒を導入した、ささやかな支援から生まれた「原始焼 会津馬刺 すみお」。「みんなここに、あづまっぺで!」。そんな吉野氏の想いが詰まった、まさに間接体験型の“福島居酒屋”だ。

店舗データ

店名 原始焼 会津馬刺 すみお
住所 東京都台東区浅草1-11-2 御所コーポ1階

 >> GoogleMap見る

アクセス TXT浅草駅から徒歩3分、地下鉄田原町から徒歩5分
電話 03-6802-8349
営業時間 12:00~13:30(L.O.)、16:00~23:30(L.O.22:30)
定休日 月曜
坪数客数 13坪・36席 (テラス席含む)
客単価 昼900円、夜3800円
関連リンク Facebook
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.