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“過去”と“いま”が自然な形で共存! “ネオ・大衆酒場”の雄「大衆鳥酒場 鳥椿」が6月26日、2店舗目となる雷門一丁目店を浅草にオープン!

人の往来もまばらな裏通りに立地。街の歴史にそっと溶け込み、これからもずっと人々の憩いの場であり続ける
古い店で時おり見かける、申し訳程度の大きさの昔ながらの小上がり席。こうした年輪を感じさせる席に思いを馳せる客も少なくない
まるで時間が止まった店だったことをイメージさせるかのような壊れた時計。その上には現代を象徴する薄型テレビが置かれ、“過去”と“いま”を自然な形で共存させる
スムージーの機械を用いて作る“フローズンアルコール”。歴史が息づく古びた店舗で、現代的な新しい売り方を取り入れる
写真右から店長の寺内優輔氏、店主の北野達巳氏、副店長の鈴木英雄氏。「爆発的な売上を目指すのではなく、店主が変わっても50年、100年と続く息の長い店でありたい」と北野氏は語る

形あるものはいつしかその寿命を終える。それは飲食店も同じこと。100年、200年と続く老舗の方が稀な存在であり、多くは必死にあらがいながらも、さまざまな要因でその寿命を全うすることになる。特に個店の場合はその傾向が顕著で、経営的不振や店舗の老朽化、あるいは経営者の体力的問題や後継者が育たなかったなど、一店に魂を注ぎ込んだ個店ならではの避けがたい宿命でもある。その一方で、形は変われどその店の“マインド”を引き継ぐ形で店が存続するケースもある。それは、屋号をそのまま引き継ぐ居抜き譲渡での開業であったり、あるいは前の店に通っていた客の新たな“受け皿”としての継承だ。そうした開業法で前店のマインドを引き継ぎながら、独自性をきちんと打ち出す出店法で注目を集めているのが「大衆鳥酒場 鳥椿」。2011年11月。東京・鶯谷に16年半続いた焼とり店を屋号ごと受け継ぐ形で「大衆鳥酒場 鳥椿 鴬谷朝顔通り店」を居抜き開業し、前店が長年築き上げてきた空気感を大切にしながらも、メニューなどの売り方はガラリと一新。“過去”を大切にしながら、同時にこれからの“いま”を作り出し、8坪・15席で月商190~220万円を売上げる。損益分岐点は120万円と効率のよい経営体質を作り上げている。その「鳥椿」が6月26日、同様の手法で2店舗目を浅草に出店。それが「大衆鳥酒場 鳥椿 雷門一丁目店」だ。店は13坪・28席の規模で、外に6席の簡易席を設ける。損益分岐点は150万円で、当面はこの数字を確実にクリアしながら、月商300万円を目指していく。 同店を経営する北野達巳氏は大山で「大衆鳥酒場 ひよっこ 大山店」を運営し、基本の売り方はそのままに屋号を変えたのが「大衆鳥酒場 鳥椿」である。鶯谷、浅草とも一部メニューを除いて売り方はほぼ共通させ、「名物鳥焼き」(450円)など串に刺さない焼とりの“鶏焼き”。「特製 煮込み」(350円)などの“鶏料理”。「名物チューリップ唐揚げ」(1個90円~)などの鶏料理を売り物に据える。その一方、100~300円で50円刻みに設定した各種つまみや、「ポテトサラダ」(350円)、「大根サラダ1号」「大根サラダ2号」「大根サラダV3」(各400円)などの各種“サラダ”。厚さ2.5㎝もある「名物ハムカツ」(300円)。バニラアイスがドーンとのった「ホットケーキ」(350円)などで脇を固める。 アルコールも大衆酒場ならではのメニューをひと通り揃えながら、その一つひとつに工夫を施す。生ビールは400mlの「中ジョッキ」(350円)と1ℓの「メガジョッキ」(700円)の2種を提供。最近では大ジョッキを置かない店も多いが、同店では大ジョッキのさらに上をいく1ℓジョッキで差別化を図る。また「ホッピーセット」(390円)、「メガホッピーセット」(590円)の“ホッピー”は、ホッピー、氷の入ったジョッキ、一升瓶の金宮焼酎の3点セットを供し、客に自分で好きなだけ焼酎を注いでもらう。濃いめのホッピーが好みの客には「これでもか」と焼酎をなみなみと注ぎ、逆に薄めが好みの客はちょっと少な目の分量に。さらに、同店の名を一躍有名にしたのが“チンチロリンハイボール”。「角ハイボール」「トリスハイボール」「ジンジャートリスハイボール」「キンミヤ焼酎ハイボール」「タカラ焼酎ハイボール」(各300円)の5種を揃え、客に2個のサイコロをふってもらい、その出た目の数で価格を変えるギャンブル性の高い商品。ゾロ目で無料、偶数目は半額と客は得するが、奇数目だと倍額になってしまい、客は終始ハラハラしどおし。とはいえ、奇数目で価格が倍になっても通常400mlジョッキのものを1ℓジョッキに変えて提供するため、分量は2.5倍に。結局、どの目が出ても客が得をする仕組みにしている。このキラーコンテンツとなり得る売り方に着目し、いまやいくつかの有名店もこの“チンチロリンハイボール”を採用するなど、酒の席を盛り上げる演出性の高い売り方として多方面に影響を与えている。 そして今回、「雷門一丁目店」で初の試みとして導入したのが“フローズンアルコール”。これはスムージーの機械を用い、シャーベット状のアルコールを楽しんでもらう商品で、客は冷蔵庫からグラスを取り出し、自分でレバーを引いて作る。酒の銘柄は適宜変わり、例えば「フローズン超辛」(500円)などその時々の銘柄を商品名に用いる。客が自分で作る演出性に加え、店側も作業の手間を軽減できるなど、両方にメリットのあるメニューだ。同商品は昔ながらの大衆酒場などで見かける、焼酎をサクサク、シャーベット状に凍らせた“シャリキン”からヒントを得たもので、冷凍スペースを必要とせず、作業オペレーションの手間を考えてスムージーの機械の導入を発案。だが、実際にやってみたところ思うようにシャーベット状にならず一時は断念しかけた。しかし、代わりに日本酒でやってみたところ見事なシャーベット状に。北野氏は糖質のある梅酒やいも焼酎などでも作れるのではないかと考えており、今後はもっとバリエーションを増やしていく意向だ。 今回、浅草の店を「鳥椿」にしたのは立地や店舗の雰囲気から決めたもので、朝10時営業開始の“朝飲み”“昼飲み”が可能な店は、今後も「鳥椿」として出店していく考えである。鶯谷の店同様、同店には昔ながらの申し訳程度の小上がり席がある。これは店内に手を加えることなく、何店もの店が居抜き営業してきたことの証であり、下町物件にはこうした例も少なくないという。同店も築50年は経つと言われる物件で、その前はそば店、天ぷら店、焼とり店と何店もの店が同所にて歴史を刻んできた。床はボロボロのクッションフロアを剥がしてコンクリート剥き出しにしたため、それが何とも言えない味わいを作り出している。売り方は変われど、そこに息づく“マインド”は続く。誰も手を出さなければそこで終わっていた“店”の歴史が、新たな店の出店でまた生きながらえるという事実。あるいは、内外装を完全に作り変えていたなら、そこを拠り所としてきた客の気持ちもそこから離れていったかもしれない。前の店の居心地のよさを残しつつ、自店のオリジナルさは大切にする。そんな客と店との微妙な“距離感”が保たれているのが「鳥椿」の特徴だ。例えば、「雷門一丁目店」にはかつてブラウン管テレビがあったであろうような場所に、現代を象徴する薄型テレビが設置されている。そしてその下にはなぜか、壊れて動かなくなった柱時計がポツンと置かれている。そのあまりにもアンバランスな組み合わせが、いったい何を意図するものなのか。そんなこと気にする客などほとんどいまい。だがそれはまるで、“止まった時間”と再び“動き出した時間”が共存する店だとそっと語りかけているかのよう……。つまり「大衆鳥酒場 鳥椿 雷門一丁目店」とは、そんな店なのである。

(取材=印束 義則)

店舗データ

店名 大衆鳥酒場 鳥椿 雷門一丁目店
住所 東京都台東区雷門1-16-12
アクセス 地下鉄田原町駅より徒歩3分、
地下鉄・つくばエクスプレス浅草駅より徒歩5分
電話 03-6231-7336
営業時間 10:00〜23:00頃(L.O.)
定休日 月曜日
坪数客数 13坪・28席(+外6席)
客単価 2000円
関連ページ 鴬谷朝顔通り店(記事)
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