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【飲食業は教育産業② 】PJ Partners~後編~1日9時間のディスカション24回という 「企業理念講習」が培う特徴的な企業文化

飲食業は「人材」によって成り立っている。人材の成長は自ら学ぶ姿勢をもたらし、店や会社の礎となり、そこに関わる人々をハッピーにして、社会から尊敬される存在になる。それをもたらすのは、店や会社の”教育的環境”に他ならない。

この連載では、フードサービス・ジャーナリストの千葉 哲幸が、今日注目されている飲食業の「教育」にフォーカスし、同社のビジョンに沿って、教育や研修の仕組みについて解説していきたい。これらに倣うことによって、飲食業はますます磨かれて憧れの業界となっていくはずだ。


「フィロソフィー」の順番で企業理念を浸透させる

受講者に企業理念を浸透させていく方法は、冒頭に述べた「フィロソフィー」の順番で行っていく。
〈創業の念い〉『世界は食によって結ばれる』
私達は「世界の本物を日本へ、日本の本物を正解」それぞれに食文化輸出入する事で、“世界と日本を繋ぐ港であると考えています。PJとは「Port Japan」の略。各国の食文化をターゲットにレストラン運営を通し、日本と世界の架け橋となるように発展していく。

〈PJPステイトメント〉『世界には、きっと、もっと美味しいものがある』
世界の食文化を探求し、まだ知られていない食文化を紹介していくこと――それはPJPが目指す宣言なのです!

その後、理念の「MISSION」「VISION」「VALUE」の確認をしていく。

「MISSION」
『記憶に残る喜びと幸せを創る』
「この店に出会えてよかった、ありがとう‼」
感謝の言葉をもらえる事が最高のやりがいです。

「VISION」
『「本物へのこだわり」「オリジナリティ溢れるおもてなし」
“ここにしかない”食体験の提供を目指す!』
期待値を超える価値の提供、満足の先、“感動”を生み出します。

“ここにしかない”特徴的な食体験を提供するために

「VISION」の部分にはこのような解説を加えている。

「会社の特徴は、日本におけるレストラン文化としてはニッチなマーケットのブランドを展開していること。それはオセアニア・ポルトガル・ブラジルで、この日本に馴染みの薄い業態を運営するということは、その国の食文化を普及することが私達の手に委ねられていること」

「つまり、『私達は食文化の伝道師』なのです。私達がメッセンジャーとなり、その国の食文化を伝えなければならないという事です」

「ゆえに『本物へのこだわり』を持つこと。そのためには『本物』をきちんと知ること、偽りなく再現すること。このことにとことんこだわるのです」

「ただ伝えているだけでは特徴的な食体験の提供になりません。感動領域の商品提供に不可欠な要素は、ホスピタリティ『おもてなし』です。世界最高レベルであると誇ることのできる日本の『おもてなし』を、恥じることなくグローバルに発信できる価値観を創造すること。それは『オリジナリティ溢れるおもてなし』ということです」

「食文化の伝道師としてのこだわり、日本人としての誇るべきホスピタリティの2点を人財育成の在るべき姿として掲げ合致した時に、記憶に残る『“ここにしかない”特徴的な食体験』」を提供することができるのです」

「その結果として、お客様、従業員、ステークホルダーの「喜び」と「幸せ」に繋がります。それは期待値を超える『価値』の提供と、満足の先にある“感動”を生み出します」

こうして、「仕事とは『価値』の提供である」と確認し、外食産業における価値とはQ(Quality)・S(Service)・C(Creanliness)・A(Atmosphere)であるとして、これらを絶えず向上させることが重要であるという事を伝えている。

■ディスカション「自分の夢、使命、ビジョン」「感動創造のために何をしますか?」
――後に休憩に入る。

「VALUE」に込められた3つの思い

そして「VALUE」の確認に進む。この講習の内容を記事にすると膨大な量になるので、「フィロソフィー」にまとめられているものをここで紹介する。

「VALUE」は「向上心の追求」「人との繋がりを大切にする」「社会との共存」の3つで構成されている。

ここの「向上心の追求」とは「高い目標と企業家精神をもってスピード感溢れる進化を続けることで未来へ繋がる成長を目指す」ということ。これらの各論はこうなっている。

・人生の目的と目標を持つ
・リーダーシップと考え抜く力
・鉄は熱いうちに打て! スピード感と柔軟性
・ポジティブ シンキング
・論理的思考 ロジカルシンキング
・実行力とやり抜く力
・自己承認力
・成長型のマインドセット

「人との繋がりを大切にする」とは、「関わる全ての人を思いやり、そして尊重し、ハッピーで楽しめる“関係”と“環境”を築く」ということ。これらの各論はこうなっている。

・関わる全ての人に感謝
・相手を思いやる力を
・+尊重で最上級のホスピタリティ
・あなたの幸せの価値観は?
・楽しむ為には笑顔で接する
・関係構築に大切なのは 「傾聴力」と「自己開示」
・魔法の言葉「ありがとう」

「社会との共存」とは、「誠実に且つ公正に偽りの無い事業活動を行い、社会との信頼関係を築き貢献を果たす」ということだ。これらの各論はこうなっている。

・嘘はつかない
・フラットな姿勢でフェアに
・真面目で素直、真摯に取り組む
・法令遵守は当たり前
・信用を蓄積して信頼を得る
・仕事観は、貢献のモチベーションを目指す!

「VALUE」の各論ごとにディスカションを行う

「VALUE」をより深く確認するために、各論ごとにディスカションを行っている。それをここで列挙しよう。

■「向上心の追求」の部分。
・「人生の目的と目標を持つ」について:愛すべき人、部下や仕事関係の人、友人、家族、自分のお葬式で何を?
・「リーダーシップと考え抜く力」について:自分が思う理想のリーダーは?考え抜くという事について。
・「鉄は熱いうちに打て!」について:スピード感、タイミング、柔軟性について
・「ポジティブ シンキング」について:ポジティブに思う事で、どんな良いことがあるのか?
・「実行力とやり抜く力」について:人間は変化を拒みます。実行力とやり抜く力について。
・「成長型のマインドセット!」について:自分の事、認められていますか?仕事に対するマインドセット。

■「人との繋がりを大切にする」の各論
・「関わる人全ての人に感謝」について:自分の感謝の範囲はいかがでした?
・「相手を思いやる力を」について:思いやり、尊重、できていますか?
・「あなたの幸せの価値観は?」について:ついてないなぁ、なんで自分だけ。思った事ないですか? 幸せについて考え直しましょう。
・「楽しむ為には笑顔で接する」について:笑顔の大切さを感じた瞬間のエピソードを。
・「関係構築に大切なものは」について:今までのコミュニケーションについての認識について。きちんと傾聴して、要約も。
・「魔法の言葉『ありがとう』」について:心に残るありがとうエピソード。こちらも傾聴して、要約を。

■「社会との共存」の各論
・「嘘はつかない」について:嘘をついて、苦い思い出は?
・「フラットな視点でフェアに」について:自分が感情に飲み込まれた経験は?
・「真面目で素直、真摯に取り組む」について:自分の考え方はいかがですか?
・「法令遵守は当たり前」について:幸せの尺度は変わりましたか?
「信用を蓄積して信頼を得る」について:信用を貯めれていますか?信用してますか?されてますか?
・「仕事観は貢献のモチベーションを目指す」について:ご自身の仕事観はどこですか?

このように9時間に及ぶ企業理念講習ではディスカションが実に24回行われる。南山氏はじめPJP幹部社員の新しく企業文化を確立していく情熱が託されていることが感じられる。

外部のセミナーも有効に活用する

この他、「コーチング研修」「マネジメント研修」「リーダーシップ研修」「マーケティング研修」「心理学研修」といった管理職(主任以上)の社内研修は全て南山氏が講師を担当している。南山氏は、このように自身の講師としての能力を高めるために日本創造教育研究所で研鑚を積んできた。

また、「パワハラ」については人事労務担当の従業員、「計数管理」については経理部門の従業員、「クレーム・コンプレイン」については購買担当の従業員という具合に、社内研修の担当講師は社員が行う場合もある。社内での研修だけではなく、各種協会や団体のセミナーにも参加させている。

2018年8月から始まった今期の目標には「組織改革」「自己変革」「教育革新」などを掲げている。教育改革では理念研修を一本化し、さらに新しい職能講習の内容を増やしていこうとしている。

南山氏が社長に就任し新体制として動き出してPJPは丸5年となる。ここで紹介した濃密な内容の企業理念講習を重ね、さらに「フィロソフィー」を常に共有することによって、PJPは既存の飲食業が持ちえないはっきりとした事業展開の特徴をさらに際立たせていくことであろう。

(取材=フードサービス・ジャーナリスト 千葉哲幸)

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