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編集長コラム

2018年上半期の飲食トレンドを総括する!

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。

この上半期を振り返ってみると、これという大きな変化はなかったような気がする。昨年ブレイクしたような「インスタ映え」ブームについても、少しは落ち着いてきたのではないか。いま消費者は改めて「自分にとってのいい店とは何か」を深く考えて店選びをする傾向が強くなってきたのだと思う。やはり「価値消費」の時代が来ているのだ。


相変わらず、新しい店はどんどん増え続けている。様々な業態が出てはくるが、たいていはこれまでマーケットで少しブレイクしたような業態の着せ替え人形的なものがほとんど。最近は、大手チェーンも“サブマリーン戦略”で、社名を隠して個店的な業態を次々にオープンしている。「磯丸水産」を量産し、それが賞味期限切れとみるや、もの凄いスピードで業態転換をしているSFPダイニング。次から次へネオ大衆酒場業態に“衣替え”しているが、地域によって店名もメニューも少しずつ変えている。スシローはスパイスワークスに依頼し、大衆寿司酒場「杉玉」の展開を始めた。いま大手は雪崩を打って、ネオ大衆酒場マーケットに押し寄せてきている。

しかし、いまのお客さんは敏感だ。「ここは大手がやっているんだ」という匂いをすぐにかき分ける。チェーン的なオペレーションには嫌悪感さえ抱き始めている。もちろん、それを承知で通う層もいる。「鳥貴族」や「串カツ田中」にはシンパシーを感じているのだ。そのシンパシーの源は何かといえば、社風であったり、スタッフのフレンドリーさであったりする。お客さんは「この会社の社長は…」みたいなことを言い、コアなファンになっているのだ。決して安いから通うわけではく、2000円、2500円という各単価ながら、それ以上の価値を感じているから通うのだ。ワタミの新業態に199円生ビールを目的に飲みに行く客とは違う。本当に強いネオ大衆酒場の客層はかなり質がいいと私は見ている。

一方で、客単価2万、3万のレストランや鮨屋に通う人たちが増えている。私は高級店にはほとんどいかないが、たまたま最近恵比寿にオープンした「umi」に行った。オーナーは藤木千夏さんという女性で、パリで大旋風を巻き起こした吉武広樹さんの「Sola」で修業したシェフ。和の食材とスタイルでモダンフレンチを表現している。びっくりしたのは男性一人客が多かったこと。聞けば「皆さん、シェフの方々です」と。パリの最先端で星を取った店の料理とその表現法を学びに来ているのだ。私は料理が美味しいとか、クオリティが高いとか、クリエイティブであるとか、そういうことより、料理をつくる求道者とそれを学ぶ求道者たちと同じ空間と時間を共有できた感動が価値だと思った。大衆であろうが、高級であろうが、これからは「価値消費」を提供できる店が強くなるということを実感した。

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