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コラム

2010年の「飲食トレンド」を予測する!

2009年も最後のつぶやき"となった。そこで、今年1年を振り返り、来たる2010年の飲食トレンドを予測してみよう。また、来年の厳しい競争を乗り切るためのポイントとは何かを考える。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


2009年は、08年のリーマンショックに端を発する不況ムードが業界全体を覆い、9月に政権交代があったものの、民主党政治では「デフレ宣言」をするなど、業界をとりまく環境はまさに「不況、デフレ、値下げ」一色だった。そうした中で、消費者の“節約ニーズ”が高まり、外食頻度を減らしたり、低価格志向を強めるという動向が顕著になった。低単価のファストフードに人が集まり、「均一低価格」の居酒屋、専門店などが急増した。テレビを使って低価格イメージを打ち出した「餃子の王将」や「280円均一」を続けてきた「鳥貴族」がクローズアップされ、東京の居酒屋チェーンなどが「299円均一」「全品270円」と次々に「均一低価格」を打ち出した。一方、出店する側としては、不況のおかげで家賃が下がり、不振店の撤退跡に出店する“居抜き”が流行し、元気な個店や中小の伸び盛りのチェーンなどの出店が増えました。このように、不況で沈む外食企業と、不況を味方につけて店を増やしていく企業の格差がくっきり現れた1年であったとも言える。2010年は、前半は、デフレに加え円高が進んだこともあって、ますます“低価格旋風”が強く吹き荒れるだろう。しかし後半は、低価格路線への見直しが進み、「安かろう」から「良かろう」という価値観が戻ってくるでしょう。キーワードとしては、次の5つを挙げておきたい。①「均一低価格」店の選別が始まる~「均一低価格」店が急増しており、中には「安かろう悪かろう」の店も出てきている。2010年は「均一低価格」でも料理やサービスがいいかげんな店は淘汰される。②「○○酒場」が流行る~同じ低価格でも、老舗系の「大衆酒場」や「古典酒場」といわれる伝統の店へ新しい客が流れている。そうした大衆酒場の空気感を取り入れた専門店が登場し、人気化している。「餃子酒場」「鉄板酒場」「串焼酒場」など「○○酒場」というコンテンツに注目。③「魚系居酒屋」がピークアウトする~数年前から始まった“浜焼き”“鮮魚居酒屋”などいわゆる「魚系居酒屋」が東京では一気にマーケットを席巻した。しかし、この市場に大手チェーンや他業態からの参入が相次いでいることから、そろそろブームがピークを迎えるだろう(ただ、地方都市では、これからまだ展開の可能性がある)。「魚串」「魚鉄板」など“進化系”には要注目。④「一品入魂」の時代~低価格路線に乗らないで集客するためには、「価格」ではなく「価値」が問われる。料理やサービスの「価値」を理解してくれるリピーター(上客)を増やすには、総合点ではなく、“記憶に残る一品”を提供することが求められる。また「個店」から「固有店」への志向もみられる。業態で選ぶのではなく「あの店に行きたい」という志向。「一品」の強さを見直す機会である。⑤「B級グルメ」からヒットが生まれる~B-1グランプリが火をつけた「B級グルメブーム」が続いている。これは単にグルメ界の動きだけではなく、低迷する地方経済や商店街活性化の起爆剤になっている。飲食店でも、「B級グルメ」をメニュー開発のアイテムに取り入れる動きも出てきている。ヒット商品はこのB級から生まれるケースが増えてくるだろう。“2月危機説”もささやかれている外食業界、これから飲食のオーナーに求められているポイントは何だろうか?これだけ同じような飲食コンテンツが増えてくると、その中に埋もれない「存在感」と新しい客が行ってみたいと思わせる「新鮮さ」が必要だ。そのために重要なのは「オリジナリティ」に尽きる。しかし、腕のいい料理人や自信家のオーナーにかぎって“井の中の蛙”になりがち。それではマーケット競争に勝てない。流行っている店をどんどんリサーチし、流行っている要素を見つけたら、それを真似るのではなく、「私ならこうする」という改良点を追求していくのです。そうやって「誰にもできない」「どこにもない」オリジナリティを身につける。いわば“進化させる力”こそ重要になってくるだろう。 

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