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編集長コラム

シンガポール飲食マーケット最新事情(後編)

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。

シンガポール視察レポート後編。今回の視察のミッションのうち、
4、ローカルマーケットの最先端エリアの動向をチェックしたい
5、日系外食企業、飲食店のシンガポール進出状況の整理
6、ジョホールバルの飲食マーケットを見たい(ここで飲食ビジネスを起業する北爪さんに半日アテンドしていただく)
について、レポートしたい。


まずは、ローカルマーケットの最先端エリアの動向。いま、シンガポール最先端の飲食エリアといわれているのが、「Duxton hill」。欧米人が集まるエリアで、日本人客はほとんど目にしない。もちろん日系飲食店もまだない。そんなエリアで最も人気なのが、メキシカンの「Lucha loco」だ。いまシンガポールで最もイケてるレストランということだろうか。サンフランシスコもそうだったが、やはりメキシカンが世界的にキテいるのだろうか。でも、私は違うフィルターで視たい。世界的に“ネオ大衆”スタイルがキテいるんだと。メキシカンのラテン的ノリ、自由さ、フードのカジュアルさ、そして野菜が多いというヘルシーさ。それをいまのカスタマーが求めているのではないか。さらに、いまホットな人気店が“BBQビストロ”をコンセプトとする「Keong Saik」エリアの「Burnt end」。シンガポールの最先端業態といっていいかも。店内に巨大なBBQ用の釜が設置されている。そこから焼きあがったばかりのBBQメニューが客席に運ばれる。「Hong Kong street」も最近のエリア。カクテルバーの「FOC」は最近オープンしたばかり。。すべてのカクテルメニューに、味のマトリックス表が付いている。日本ではワインや純米酒では当たり前だが、カクテルでこれをやるのは斬新だと感じた。「Duxton hill」「Keong Saik」「Hong Kong street」の3エリアはこれからもどんどん新しい店が増えていくだろう。。

日系外食企業、飲食店のシンガポール進出状況については、前編で触れたポートキーエリアに出店する店が増えているいるほか、マリーナベイサンズに近いサンテック、ミレニアウォークに日本食レストランが増えているという情報をキャッチ。さっそく訪問した。モールの2階フロアでは「ジャパンフードストリート」計画が進んでいた。確かに日本の祭りよろしく提灯のディスプレーが目立ってはいた。しかし、テナントもイマイチ感たっぷり。ストリートとしての空気感はまったくない。モール1階には、先行していくつかの日本食レストランが開業していた。ひと際目立つのが「三代目文治」。デザインが斬新で、ここならシンガポールのグルメにもウケるだろうと思った。しかし、シンガポールは物価が高く、日本人の感覚からすると感動はない。おでんが売りだが、大根、しらたき、一つ250~400円。蒲鉾の塩辛、4.9シンガポールドルだから450円。ポーションが小さい。生ビールは中ジョッキ12シンガポールドル、約1000円。日本感覚なら2500円ぐらいの軽い飲み食いで支払いは5000円。これがシンガポール日本食スタンダードなのだと思うと悲しい気持ちになった。ある方が「シンガポールの街場の最先端エリアでは日本食は勝てない」と言い切っていました。日本のものをそのまま持って行って原価率にこだわったMDをやる。すると、貧弱なメニューになってしまう。まあ、そんなところだろうか。根本的に発想を変えた日本食ネオスタンダードが出てこなければ、街場で勝つのは難しいということだろう。オーチャードパラゴンのはす向かいのShaw centre4階に一風堂がオープン。そして、ニュースなのが一風堂が初めて日本酒バーに挑戦した「Bar IPPUDO」。シンガポールでの新たな日本酒発信基地になるかどうか。

最後はマレーシアのジョホールバル視察。ジョホールバルへは、国際タクシー乗車地があるブギスからタクシーで55シンガポールドル(約4000円)。途中、イミグレーションがあり、約1時間の距離だ。今回、アテンドしてくれたのは、東京でケータリングビジネスをやりながら、ジョホールバルに進出を決めた「クリエイティブママ」の北爪大輔さん。シティスクエアというモールで落ち合い、まずはローカル人気店でランチ。行列のできるフィシュヘッドカレーの店だった。ジョホールバルの物価はシンガポールの3分の1。一人300円だった。ジョホールバルは旧市街地よりも、郊外が発展している。とくにジョホール州の王様(スルタン)が住むエリアは発展著しい。政治も経済も王様中心に回っている。現在の王様、イブラヒム・イズマイルは大の高級車好き。フェラーリ、ランボルギーニ、ブガッティ、ハーレーなどの最重要顧客リストに名を連ねているという。王宮の近くに常宿のホテルがあり、グルメ王でもあるとのこと。プロサッカーチームも所有しており、2連覇したとかで屋内練習場をチームにプレゼント。いま建築中という。

北爪さんが3年かけてリサーチし、「アジアに出るならジョホールバル」と決め、ようやく手にした物件は、王宮と王様がリムジンでハーレー警護団と通うホテルの間に建った新築モールの角地。「本物の日本食レストランをやれば、必ず王様が来てくれるから。王様用のVIPルームもつくります」と北爪さん。契約した物件は3階建て、300坪はある大バコだ。ここで、エンタメを取り入れた寿司和食レストランを開業する。オープンは来年2月予定。北爪さんは、アジアのあらゆる都市を回り、飲食ビジネスを起業するならジョホールバルと決めた。3年前、初めて来たとき、住宅開発完成予想図を見て、自宅として購入した。一目惚れし、4ベッド庭付き一戸建てを約3000万で購入した。ヌサジャヤ地区のブキインダという街。イオンもあり、商業地も近くて環境もよかった。その自宅を見せてもらった。「買ったときは、土地はまだジャングルでした。ここまできちんと開発されるとは、マレーシアもたいしたものと感心しました」と北爪さん。

東京でケイタリングビジネスを成功させた北爪さん、最初はこの自宅で料理教室やパーティーを開催し、近隣住民向けのケイタリングを考えていた。しかし、イスカンダル計画や新都市開発、王様の未来型の施策に刺激され、飲食店を初めてやってみようと思い立ったという。東京から新店準備のために呼び寄せた料理長も北爪さんに影響を受けて一戸建てを購入したとか。シンガポールとクルマで1時間の近さ。船に乗れば40分でセントーサ島に着く。マレーシアではクアラルンプールに続く第二の都市。広大な土地を活かした未来型都市計画が進む。ベイサイドにはいま巨大なコンドミニアム&モールがいくつも建設中。ヨットハーバーに隣接するベイサイドレストラン街はすでにテナントが埋まり、毎夜、近隣の高級住宅地に住むセレブが集まるという。どの都市も行ってみなければわからない。北爪さんにとっては、日本人として誰よりも早く、ジョホールバルの可能性に賭け、大勝負に出た。彼の辞書に「凶の文字」はない。果てしない夢との格闘技を楽しみたいという情熱があるだけだ。3年後、5年後はどうなっているのだろうか。シンガポールからジョホールバルまで地下鉄がつながるのは2021年といわれる。地下鉄がつながれば、ジョホールバルは「広域シンガポール経済圏」になるだろう。ジョホールバル=ムスリムという先入観も裏切られた。やはり、KL同様にチャイニーズマレーシアンが飲食マーケットのリーダー役だ。彼らをターゲットにしないと勝てまいということだ。香港と深センの関係みたいに。ジョホールバルの“深セン化”のイメージが頭の中で膨らんだ。

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