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編集長コラム

「ポートランド」で感じ、考えたこと!

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。

10月中旬、米国西海岸北部のポートランド、シアトル、そしてサンフランシスコに飲食マーケットの視察に行ってきました。日本の飲食店オーナー4名と現地で落ち合い、一週間で約50店舗の店を見てきた。詳しいレポートは特集記事で連載する予定だが、今回の主目的だった「ポートランドスタイル」について、現地で感じたこと、考えたことのみ、ここでまとめておきたい。


「ポートランド」がいま飲食業界のアンテナの高いオーナーの間ではキーワードとなっている。ポートランドといえば、クラフトビール業界関係者の間では“聖地”と言われている。実際、ポートランドには67のブリュワリーが存在する。一都市としては全米最多。そのほとんどがいわゆる「マイクロブリュワリー」である。今回、アテンドをお願いした「オ州(オレゴン州)酒ブログ」主宰のレッド・ギレンさんによると、「ブリュワリーはもっと増えますね。ポートランドではクラフトビールとは呼びません。なぜなら、ビールといえばクラフトのことですから…」とのこと。それだけ、クラフトビールが街中に浸透しており、パブやレストランだけでなく、スムージーやベーカリー、ドーナッツの店にもタップ(ドラフトサーバー)があった。67のブリュワリーが個性を競い、さまざまな種類のビールのテイストを発信していた。さらに「サイダリ―(サイダー醸造所)」もいま次々に増えており、日本にも入り始めている。

一方、ダウンタウン、ニュータウンを問わず、個性的なコーヒーショップも多い。やはり、ハンドドリップのクラフトスタイルの店がほとんど。ポートランドでは、コーヒーもビールもサイダーも、そしてワイン(マイクロワイナリーも増えていた)も、「クラフトが当たり前」なのだ。世界一「クラフト」という言葉が似合うのがポートランドだといえよう。改めて、「ポートランドとは?」というテーマで、キーポイントをまとめてみた。
・DIY(自家製)、クラフトというモノづくり、手づくりの文化が定着している
・都心部と郊外の自然の環境が溶け合い、自然のものを大切ににする、サスティナブルな考え方を食生活に取り入れるというライフスタイルが確立している
・当然、オーガニック、自家製調理ということが飲食店でも当たり前のコンセプトになっている
・地域、コミュニティを大事にするという人間主義が貫かれている
・ユニークな業態、他人と違うことをやることがリスペクトの対象になり、そこにおカネが集まる
・仲間、協業の相手を大事にする「コラボ」がキーワード。縦の関係ではなく、フラットな関係性を重んじる
・「おカネじゃない、やりたいことをやり抜くために仕事と人生がある」という発想で起業する人が多い

こういった「イートグッド」なカルチャーがまさにポートランドという都市全体に満ち満ちている。そのことを実感した。ポートランドビールの輸入販売を手掛け、札幌で「ビアセラーサッポロ」というビートランドビール専門店を運営している「枯れずのビール」の青木栄一さんは、昨年の5月に初めてポートランドを訪れ、「この都市は、街全体が“商店街”だ。モールの似合わない街」と感じたそうだ。そこからポートランドの魅力にハマり、「こんな美味しいビールが日本で飲めないのはおかしい」と一念発起していまの仕事に賭けたという。外食業界で世界的に限界が来ている「効率主義」「利益市場主義」という考え方を超えた未来の姿がそこにはあるような気がする。ひるがえって日本の外食産業、飲食店のあり方を考えるいい機会だ。少しずつだが、「山が動いている」と私は思う。「イートグッド」という考え方、取り組み、時代のパラダイムへシフトが一気に奔流となるタイミング、それはそんなに遠い先ではにような気がする。それを感じたかったら、いますぐにポートランドに行くべし!

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